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移住で後悔する前に考えておきたい7つの想定外ー軽井沢日記

2020年3月末に妻と3歳の娘の3人で長野県の軽井沢に移住した。

移住についてはここ1〜2年、夫婦で話し合いをしてきたけれど(おもに引越先の選定やワークスタイルについて)やはり最終的には「勢い」が必要だったと痛感する。その「勢い」のひとつになったのが、娘の幼稚園への進学。これがなければ、ここまで思い切れなかったかもしれない。

なにかと「ハードルが高い」移住のはなし。では、住む前と住んだ後で、どこにギャップがあったか。記憶のあたらしいうちに書き残しておきたいと思う。

1・想像以上に車社会

田舎大学だったこともあって、車の運転には不便がない。だが、妻は筋かね入りのペーパードライバー。都内で講習に通ったものの、「ブレーキとアクセルってどっちだっけ?」というレベル。移住前には、「慣れるまで当分の間は、電動自転車で生活を・・」と話していたくらいだった。

しかし。いざ移住してみると、自転車での生活は非現実的。お店も遠いし、雪やスリップの問題もある。ただ、必要に迫られると人はやるもので、なんと、妻は、数日のうちに車庫入れまでマスターするほど乗りこなすまでになった。

目下の問題は、車が1台しかないこと。

会社への迎えが子どもの就寝後(22時以降)になるとき、どうするか。通勤する側が乗っていくと、その日、車は使えない。「一人1台」。これが地方での暮らしのベースなのかもしれない。(都内にいると想像しづらいが)

2・細かすぎるゴミの分別

引っ越してきて、最初に戸惑ったのは、ゴミ問題。

リサイクルの意識が徹底されており、「10種類以上の分別」が義務化されている。間違うと、もっていってさえもらえない(実際に、ゴミ収集車にもっていってもらえなかった経験も…。)可燃・不燃以外に「容器プラスティック」の専用袋があるというのも、新鮮な驚き。

これ、都内に住んでいる人はわかると思うのですが、ゴミはほとんど可燃へ。お菓子やヨーグルトのケースに「プラマーク」を確認したことがある方はほとんどいないのでは…。

最近では、容器をみると、それがどんな成分でできているか、チェックする癖がつきました。不要なゴミももらいたくない。そんな意識も。都心にいて、どれだけ雑な暮らしをしていたか、痛感します。

3・気候の変動が大きい

引っ越しは3月20日。その後、2回雪が降った。一度は大雪(都内比)でかまくらと雪だるまをつくれたほど。

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気候のなかでも、とくに「霧」は注意。軽井沢の住むエリアを決める際にも知っておいたほうがいいでしょう。

これは移住コンサルの方に教えてもらったことだったのだが、

「軽井沢駅」付近は山からの吹きさらしで霧が発生しやすく、「洗濯物は干せない」らしい。中軽井沢エリアだとまだましで、追分エリアまで西へいくと、霧の心配はほとんどないそう。

うちは都内で幹線道路沿いに住んでいたので、洗濯物をベランダに干す、ということが悲願だった。せっかく長野に越すのだから、外に干せる!という期待値は高い。もし、霧の情報を事前に知らなかったら、がっくりきていたかも。ちょっとした住むエリアの違いですが、事前のリサーチは欠かせないだろう。

また、寒さ対策について、(2020年の例でいくと)3月であれば、寒さは、二階建ての一階に「FF ヒーター」1台あれば、家中をほぼカバーできます。(夜も暖房いらず)

4・生活コストが意外と高い!?

暖房費などインフラのコストが上がることは、事前に見越していた我が家。しかし、いざ引っ越してみると意外なことに出費がかさむ。たとえば、温泉…。引っ越ししたてで珍しい、ということもあるかもしれないけれど、近くのトンボの湯に毎日のように通い、その度に、家族3人分。。そのうちに、トンボの湯の「住民割」という制度があることを知り、半額以下に抑えられたのですが、3日に1回でも想定外のコストです。

また、カフェのモーニングが充実している軽井沢・御代田周辺。やはり行ってみたくなるもので、食費は都心に比べても増えている感覚。ちなみに、噂のスーパー、ツルヤの質は相当なもので、毎日のお買い物がワクワクできる。これも味わってみなければわからない感覚だった。価格は都心に比べて安いものの、つい買いすぎてしまうのが玉に瑕。

5・新幹線通勤の肉体疲労

これも体感してみないとわからないことだが、新幹線通勤の肉体的疲労はなかなかしんどい。1週目は、それでも窓から見える景色が新鮮だったこともあり、楽しめたが、これを年間通じて行なうとなると、肉体的な疲労の蓄積は覚悟したほうが良さそう。

ただ、時間の有効活用という点で言えば、ちょっとした郊外で「満員電車」「立ちっぱなし通勤」に比べれば、机もあってパソコンも触れる1時間は貴重だ。おそらくこの往復2時間が、これからの当面の「インプット・アウトプット」の時間になるはず。読書とnote。このサイクルを回す時間、と割り切ってしまえば、通勤時間の負担をプラスに転じることもできそう

6・仕事への影響

これは、どうなんだろう。

移住1ヶ月でかんじている変化は、「さまざまなスピードが遅くなった」という自覚だ。レスや反応といった物理的なそうだけど、世の中の動きのスピードが「遅く」見える。東京にいた頃は、それこそ起きた瞬間から寝る前までネットにいたり、メール・メッセンジャーなどの仕事のコミュニケーションの中にいたりで、目まぐるしい感覚があった。結果、ニュースや情報は消費するだけ。

しかし、こちらにいると、生活が強制的にていねいにならざるをえない。前述のゴミ捨てもそうだし、送り迎えや雪かきや庭の手入れも発生する。生活の中で「やること」が増えるのだ。東京にいたときに「効率化」していた部分が、生活に乗っかってくる。すると、相対的に、仕事面でのスピード感は遅くなる。

ただ、それはマイナスなのか、というとそうでもないのかも、と思っている。生活者としての自分を取り戻することで、これまで眠っていたスイッチが押せるような、感覚が芽生えてくるような、そんな期待もある。

これについては、自分の変化と会社との関係、そして社会の変化を見極めながら、もう少し深めて考えていきたいと思います。

7・子どもの変化

じつはこれがいちばん大きい変化で、なおかつ強調しておきたいことなのです。

引っ越して3週間。子どもは目に見えてたのしそうである。突然の雪。初めての友だち。広い公園。牧場の動物。河とか山とか庭とか。はじめてがたくさんあるし、触れるものに奥行きがある。以前の暮らしでは、どうしても遊びがシステマティックになってしまいがちだった。東京は、最高級のものを見るには日本一の都市である。美術も演劇も文化芸能、世界に誇るサービスもあらゆるものがある。ただ、未就学児はそれらにアクセスしにくい。

その一方で、遊びは「定型化」されて、遊園地やキドキドや公園や、どこに行っても、「感じ方」や「遊び方」が決められたものばかりだ。そこに、自由度、ゆとりが少ないように感じる。どちらがいい・悪い、というのは一概には決められないと思うのだけど、ただ、好きなように楽しめる環境を用意してあげたいな、とはつねづね考えていた。

子どもの態度を見ていると、次になるが起きるかわからない、その偶然性みたいなものの中に身を置いて欲しかったのかなと、あらためて気付かされる。

いろいろな「想定外」はあるものだが、それも含めて、たのしみたい。そんな気分が、今の我が家にはありそうである。

(※移住後2ヶ月の追記)

学園も開校し始め、子どものあそびもすこしづつちからづよいものになりつつある。ニューノーマル、という言葉があるそうだが、この2ヶ月でいまを生きる人の感覚が大きく変わってしまった実感がある。とはいえ、このまま日常の重力に引っ張られて、戻っていくのだろうか…。果たしてそれでいいのだろうか。

(※2020.8.27 追記)

軽井沢で不動産を手掛けるロイヤルリゾートさんの企画で、「リゾートワーク」についてインタビューいただいた記事が掲載されました。移住までの敬意や働き方について、話しています。

「リゾート移住が家族のQOLを上げてくれた──

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