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日本国憲法と2024年入試を考える

 今日は憲法記念日です。メディアや政党が日本国憲法について見解を出す日でもあります。
 日本国憲法は日本の最高法規です。そのため毎年日本国憲法を振りにした問題が出ます。
 去年と一昨年も日本国憲法と時事問題に関する記事をnoteに掲載しました。
日本国憲法と2022年入試を考える|中貴社|note

日本国憲法と2023年入試を考える|中貴社|note

 今年も時事問題と関連づけて日本国憲法について考えてみたいと思います。
追伸:2024年で狙われる時事問題も近日中に提示したいと思います。

1,2024年入試で注目したい日本国憲法



 日本国憲法は11の章からなります。そこで、各章の重要度を表にまとめました。



 誤解して欲しくないのは、「無印=出ない」ではないというわけではありません。あくまでも時事問題と関連づけて出題しやすい章というだけのことです。公民分野の学習を通して日本国憲法そして条文を理解して欲しいと思います。では、関連度に合わせて紹介していきたいと思います。


(1)内閣

 内閣については行政機関全般のニュースも含まれます。2023年に2つの行政機関で大きな動きがありました。

①文化庁が京都に移転
②こども家庭庁発足

 ①は中央に省庁が集中していることが背景にあります。おそらく

「京都に移転した行政機関は。」

 といった一問一答形式の問題が出ることでしょう。ただ、文化庁の機能まで扱うのは細かすぎるので問われることはないでしょう(文化庁の機能を説明するリード文を基にした出題はあるでしょうが)。

 ②は「こども家庭庁」を聞く問題が2023年入試でも複数校で出ました。正式には「こども家庭庁」ですので、漢字とひらがなの使い分けに気をつけましょう。

 「こども家庭庁」は来年の入試にも出る可能性が高いです。理由は以下のキーワードからです。

A:ヤングケアラー
B:フードバンク
C:少子化(対策)

 特にCはこれにいくつかの要素を加えて「人口」をテーマに出題する可能性が高いです(これについては後日、別に書きたいと思います)。

 また、AとBのように、子どもを取り巻く課題は多いです。同世代の中には受験生とは別の理由で大変な思いをしていることを、入試問題を通して知ってもらいたいという学校は思っているはずです。その流れで「こども家庭庁」が聞かれると思います。

(2)憲法改正

 2022年参議院議員選挙で改憲勢力が発議に必要な3分の2以上の議席を獲得しました。今後改憲に向けて議論される可能性があります。押さえるべきは第96条の条文、すなわち

「第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国  会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。」

を覚えておけば大丈夫です。ポイントは

●発議は総議員の3分の2以上の賛成が必要
●国民投票で過半数の賛成で憲法改正が成立
●改正した憲法は天皇が国民の名の下で公布

です。

(3)国会

 衆議院を解散して総選挙となったら注目される可能性はあります。ただし、今のところそうした噂はあっても具体的な動きは起きていません。

 他に可能性があるとしたら、今行われている通常国会で注目される法律が成立した場合です。現段階では具体的な動きが分からないので、こちらも今後の動き次第です。だから、(  )付きにしました。
 ここまでの条文は来年の入試で話題になる可能性があります。しかしこれから紹介するものの方が出題される可能性が高いです。それが何か紹介したいと思います。


(4)今年の入試で注目するべきテーマ①人権問題

 基本的人権に関するものの中でも特に自由権・平等権・社会権の3つが重要です。それらと関係するニュースと絡めて紹介します。

①労働環境
 日本国憲法では第27条が関係します。

第27条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。

 新型コロナウイルスの影響で労働環境に変化が起きました。テレワークにより会社以外で仕事を認めるところが増えました。一方で、新型コロナウイルスが理由で需要が減り、倒産した企業、仕事を失った人が多くいました。ただ一方で外国人労働者を求める会社もあります。

 こうした労働に関する話題はここ数年取りあげられることが多いです。先述の日本国憲法の条文は少しこじつけではありますが、労働について関心を高めて欲しいことに変わりありません。

②育児

 こちらも遠回しになりますが、関係する条文として生存権が当てはまります。

第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。


 育児に注目する必要があるのは先述した「少子化」があるからです。現在の日本は少子化が進み、人口減少の一途を辿っています。そうした中、政府は少子化対策に力を入れようとしています。ただし、少子化対策は多岐にわたる必要があります。例えば親の育児休暇、育児休暇によって仕事に影響を及ぼさない配慮、などが考えられます。条文に子どもに直接関するものがありませんが、関連づけた出題が考えられると思います。

そして、人権問題に関しては第14条の平等権が重要です。

第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 人権に関する問題は毎年様々なテーマで問題になります。他にもジェンダー平等も平等権を通して考えさせる可能性があります。

(5)今年の入試で注目するべきテーマ②平和主義

 もう1つは平和主義です。理由はもちろんロシアのウクライナ侵攻です。

今回のことで論点になるのは次の2つだと思います。

①自衛隊
 自衛隊を含む日本の防衛費の増大について最近話題になっています。また、スーダンにいた日本人の退避など、自衛隊の幅広い活動も話題になっています。こうした自衛隊の活動と憲法改正について考えさせる可能性があります。

②核兵器(非核三原則)
 これもロシアのウクライナ侵攻以降、しばしば話題になります。しかも、今年は広島でサミットが開催されます。改めて核兵器への考えについて色々な意見が飛び交うと思います。

 この2つは日本国憲法の条文には記載されていませんが、当然第9条と絡めた出題が考えられると思います。

第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

2,まとめにかえて


以上、日本国憲法と2024年入試のポイントは以下の通りです。

①時事問題に関わらず日本国憲法は押さえるべき
②来年の入試も2023年入試同様基本的人権と平和主義が狙われやすい。

この2点は条文とニュースを関連づけての対策が効果的です。

 正直、去年とあまり変わらない形になりました。言い換えると、社会の関心・課題が去年から続いていることの裏返しとも言えます。そして、それを受験対策にも活かすことができます。

 今回は日本国憲法に時事問題を関連づけて考えてみました。時事問題だけで見ればまた結果は変わってきます。後日、2024年入試と時事問題でそれを紹介したいと思います。


 それでも日本国憲法に関連づけた問題は時事問題に関わらず出題されます。授業で習ったことを基に、ニュースの内容を理解しようとしてください。






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