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原書で読むダレン・シャンーその完璧なイントロダクションについて(英語の問題つき)

・ダレン・シャン原書のすすめ

…を前回けっこう熱を入れて書いた。今回はシリーズの冒頭、1巻のイントロダクションをご紹介したい。
本当は全文引用したいくらいだが、著作権くんのことも多少は気にするふりをせねばならない。私の余計なしゃべりも間に挟ませてもらう。

https://note.com/tyabudou/n/nfd406ecbf110

ついでに、英語の問題も出題する(!?)。ダレン・シャンを読むのに必要な文法・語彙・語法レベルがつかみやすくなるかな、という気持ちだ。
もちろん、以下の問題の答えがわからなくても原書は読める。一個も見当もつかない、となると厳しいかもしれないが……要は、読んでなんとなーく、おおざっぱでも意味がつかめればよいのだ。雰囲気だけ、何が起こったか?だけでもよい。下手に問題形式にしたばかりにチャレンジを妨げるようなことになりませんように……
 そして筆者の性格を反映してか、クソつまんねえ出題ばかりで申し訳ございません。
(以下、引用はCirque du freak p.7-9 by Darren Shan  ↓とは版が違うけど面倒だからそこまでは書かない)

・始まりの始まり

I’ve always been fascinated by spiders. I used to collect them when I was younger. I’d spent hours rooting through the dusty old shed at the bottom of our garden, hunting the cobwebs for lurking (1)(eight-legged predators). When I found one, I’d bring it in and let it loose in my bedroom.
It used to (2)( drive my mum mad )!  
 
(1) eight-legged predators が指すものは何か。文章中から1語で抜き出しなさい。
(2) drive my mum mad の言い換えとして適切なのは以下のうちどれか。
 アget on a car with my mum  
 イtake care of my mum
 ウmake my mum very angry

なんと完璧なイントロダクションだろうか。あまりに美しいため、穴埋め問題を作れなかった。私が1文目を音読するときは、I’ve always been fascinated by spiders. のように「トン、トン、トン」と3つ叩く感じでいく。英語を気持ちよく読めるかどうかは、リズムに乗れるかにかかっている。そしてこの英文の「乗りやすさ」はどうだ。
 
本当に問題に取り組みたい方もいるかもしれないので、答えはまとめて下の方に追いやっておく。
 

・ペットのタランチュラを……


Then, one day, I did something stupid. I’d been watching a cartoon in which one of the characters was sucked up by a vacuum cleaner. No harm came to him. He squeezed out of the bag, dusty and dirty and mad as hell. It was very funny.
(3)( So funny, I tried it myself.) With the tarantula.
Needless ( 4 ), things didn’t happen quite like they did in the cartoon. The spider was ripped to pieces. I cried a lot, but it was too late for tears. The spider was dead, it was my fault, and there was (5)( do / it / I / about / nothing / could ).
 
(3) カッコ内を言い換えるとき、以下の空欄に適切な語を入れなさい。
So funny, I tried it myself. → (   ) was so funny (   ) I tried it myself.
(4) 空欄に入るものを以下から選びなさい。
ア say   イsaying   ウto say
(5) 意味が通るように適切に並べ替えなさい。
... there was ( do / it / I / about / nothing / could ).

ここも平易でありながら、極めて悲惨な情景が目に浮かぶ。すばらしい描写力。dusty and dirty and mad as hell. もdの頭韻が心地よい。ぜひ力強く発音したい。cartoon=アニメ、は知っておくと児童書を読むとき役に立つ。

・シリーズの注意書き


I started with that tale from the past for two reasons. One will become obvious as this book unfolds. The other reason is:
This is a true story.
I don’t expect you to believe me - (6)( I wouldn’t believe it myself if I hadn’t lived it ) - but it is. Everything I describe in this book happened, just as I tell it.
...
One more thing: my name isn’t really Darren Shan. Everything’s true in this book, (7)( except for names). I’ve had to change them because... well, by the time you get to the end, you’ll understand.
 
(6) I wouldn’t believe it myself if I hadn’t lived it を日本語に直しなさい。
(7) except for namesの意味として一番近いものを選びなさい。
 ア 名前も同様に   
 イ 名前を除いては  
 ウ 名前を用いずに

たいへん重大なことがいかにも重々しく語られる。一文、ワンフレーズが短いのも緊迫感を醸し出している。「これはフィクションではない。」児童書の導入として100点満点ではないだろうか。
 
2文目の “unfold”はなじみがない語かもしれないが、fold「折り畳む」(書類を折り畳んで入れておくのがfolder「フォルダ」)。Un-がつくと逆の動作になるので、「折り畳まれていた物語が広げられる=徐々に内容が明らかになる、物語が展開する」とイメージしよう。
ラストのby the time ...は高校で習う構文。by the time SV「SがVするまでには」。最後にはどんな恐ろしいことになっちゃうんだろう、と期待させる、けれんみたっぷりのイントロダクションとなっている。
 

・英検2級レベル~の文法・語法・語彙

以上、ダレン・シャン1巻の冒頭から一部を抜粋した。きちんと数えていないが、全体で600語程度?ではないだろうか。一気に読める長さといえる。
文法は「仮定法」「現在完了」「関係詞」などが見られる。小説を読むとき、仮定法に気づけるかどうかは重要なポイント“would” “could”が仮定法の目印となる。Ifではない。
語彙的にはなじみのないものもあるだろうが、1文に2つも3つも意味の想像できない語がある、とかでない限り、ノリで(ノリが大事)読み進めることは可能なはずだ。多少「?」な語があっても、先を読むと文脈から察せられることも多い。もちろん、一つひとつ調べるのもよい。ここは各人の好みしだい。

・シリーズの幕開けを飾る作者渾身の序章

壮大なダレン・シャンサーガの幕開けを告げるイントロダクションは、一語一句に並々ならぬ気合いが感じられる名文である。一文入魂。シリーズを読み終えてぼうっとしてしまう読者も多かろうが、少し落ち着いたらイントロダクションを読むと、さらに深い体験ができるかもしれない。そして、この名文をぜひとも原書で味わっていただきたい。英語という言語が持つ簡明さ、力強さ、美しさがリズミカルな文章にのってダイレクトに届けられる。ぜひとも、音読してほしい。私が出会った洋書の中で(まあそれほど多くはないにしろ)、これこそは「声に出して読みたい英語」の最高峰である。 

・(蛇足でしかなかった問題の)解答例

(1) eight-legged predators が指すものは何か。 → spiders
(2) drive my mum mad を言い換えると → ウmake my mum very angry
(3) カッコ内を言い換えるとき、以下の空欄に適切な語を入れなさい。
So funny, I tried it myself. → ( It ) was so funny ( that ) I tried it myself. 
  ※いわゆるso~that構文「とても~なので…だ」
(4) 空欄に入るもの → ウto say ※needless to say「言うまでもなく」  
(5) 意味が通るように適切に並べ替えなさい。
... there was ( nothing I could do about it ).
(6) I wouldn’t believe it myself if I hadn’t lived it を日本語に
 → ぼくだって自分で体験していなきゃ信じやしないだろう 
  ※仮定法が見抜けたかがポイント
(7) except for namesの意味として一番近いもの → イ 名前を除いては



(英文学に興味ある人はこちらもどうぞ、と言いたいけれどもふざけすぎた記事なので読む人を選ぶ…かも…タイトルにすべて書いてあります↓↓↓)

 

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