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散文

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エッセイです。いい文章を書くために、思ったことを書き散らしています。
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#なぜ私は書くのか

ことばを集めて新聞記者になった話(7)

バスで寝過ごした乗客みたいなものだった。 大学時代の僕が選んだバスは、最初、目的地に向か…

びす男
13日前
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ことばを集めて新聞記者になった話(6)

地方勤務を終えて東京で働き始めた。 自由に書き続けていた記者生活は、とたんに官僚的な色彩…

びす男
13日前
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ことばを集めて新聞記者になった話(5)

記者の仕事は楽しかった。車を乗り回して、ありとあらゆるものを取材した。片側1車線しかない…

びす男
2週間前
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ことばを集めて新聞記者になった話(4)

多くの人がそうである以上に、僕は恋愛において不器用だった。ぶつかって、何度も絶望し、そし…

びす男
2週間前
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ことばを集めて新聞記者になった話(3)

新聞記者となった僕は、まず地方都市に配属された。 研修で伝えられた、「初任地は第二の故郷…

びす男
2週間前
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ことばを集めて新聞記者になった話(2)

僕は名言をかき集めた。 歴史の授業で出てくるような小説や、勉強していた政治や経済、哲学に…

びす男
2週間前
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ことばを集めて新聞記者になった話(1)

その本は、実家にある書棚のなかにあった。日の当たらない、薄暗い書庫にあった。ほかの本はよく保存され、つやつやした光をわずかに帯びていたが、その本だけはカバーがなかった。表紙のガサガサした感じをむき出しにして、遠慮がちに並んでいた。 小学生の僕がなぜその本を手に取ったのか、今は覚えていない。タイトルも正確には覚えていないが、「名言大全集」とかいうやつだった。出会い、別れ、仕事、死別……といったテーマごとに、偉人や小説、映画などの名言がいくつも紹介されていた。 それは、本が好