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読書感想

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読んだ本の感想。主に読書メーターから転載。たまに長いものも。
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2022年3月の記事一覧

読書感想-「独ソ戦」大木毅

今日も眠いので、これにて。
書き始めると、とまらなくなっちゃうので。
本当にここ1、2週間は仕事が手につかない。いまの時代に、普通に暮らしている人たちの生活が奪われ、武器や力によって圧倒されることがあるのかと。信じられない心地でいる。

片方の自分は、戦争について踏み込んだことを書くには「あまりに知らなすぎるから」と自重する。もう片方の自分は、「戦争について思ったことを書いてはいけない人間などいな

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読書感想-「同志少女よ、敵を撃て」逢坂冬馬

主人公セラフィマは家族を奪われ、故郷を焼かれ、復讐を誓った。その彼女ですら、教官に「なぜ戦うのか」と問われ、懊悩する場面がある。

敵を撃っても、禍根を断つことはできない。もし死んだ母親や村の人たちをよみがえらせることができたなら、彼女は復讐ではなく、そちらを選んだだろう。

時間を巻き戻して、失ったものを取り戻す、あるいは起きた悲劇をなくし、やり直す。これしか人間を本当に救う道はない。そして、そ

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読書感想-「完全なる証明」マーシャ・ガッセン

意図せず、またロシア(ソ連)が登場する本を読んだ。

完全なる証明、とタイトルにあるが、「完全なもの」は世の中とは相容れないことが多い。

ドストエフスキーの「白痴」は、まさにそんな話だった気がする。人間として完全でありすぎるがゆえに陥る不幸、みたいな。

しかしロシアという国は、人間の美も醜も、とことん煮詰めるようである。
不思議な国であり、外国人である僕たちが「理解できた」と勝手に思うのはきわ

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