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楽しい気持ちと踊る

もし「楽しい」という感情がアニメのキャラクターのようになって目の前に現れたら、どんなことをしますか?

会釈する。いつもありがとうと感謝する。「今はそれどころじゃないの!」と追い払う。待ち侘びていたと涙を流す。「そんな場違いな格好でくるなよ」と怪訝な眼差しを向ける。
いろんなことを想像できると思います。

私なら、ここではないどこかへいって一緒に踊ると思います。それってとてもワクワクすると思いませんか?
そんなに呑気にしてられないよ、と言う人もいるかもしれません。私も常にハッピーなわけではないし、どちらかというと心の奥底は常に陰鬱になりがち。「踊る」という言葉とは縁遠い人でした。
きっかけはあるバンドの音楽。私をその世界へ連れていってくれたのです。

久しぶりのnot Nikky記事。ありったけの愛を込めて、Barbaraというバンドのお話をしたいと思います。


Barbara

私は少し前から京都のインディーレーベルSECOND ROYAL RECORDS(以下「セカロイ」)を箱推ししています。

セカロイに所属するアーティストは全て魅力的で、思わず京都へ駆けつけたくなる(!)ほど楽しそうなイベントもたくさん開催している、大好きなレーベルです。
そんなセカロイが今年3月末に20周年記念パーティー東京編を開催。ここぞとばかりに遊びに行きました。その時に知ったのがセカロイ所属のバンド、Barbaraでした。
(Barbaraは出演していなかったけれど、ボーカルのOKUさんがお手伝いで一緒にいらしていたのです)

2019年に結成、関西中心に活躍しているバンド。ボーカルのOKUさん、ギターのMaruさんの2人体制で活動しています。今の日本の音楽シーンにはなかなかない、ディスコポップを奏でるバンドです。

あまり馴染みのない音楽だと感じる人もいるかもしれません。一見、脈絡のないところへ突然現れたようにも思えます。
確かに、80年代のエレクトロポップや90年代のディスコミュージックをベースにしているけれど、それらをしっかりと自身の中に取り込んで昇華してから現在の音楽シーンに繰り出しています。だから親しみやすいのではないかと思います。
私も以前からジャパニーズインディーは好きだったけれど、Barbaraの音楽は全くの新機軸。それでもスッと自分の音楽世界に馴染んでいきました。

さらに彼らは常にベースとしているあるテーマがあります。だからこそ芯の部分はブレずに、常に最高を更新する音楽を生み出しているのです。


Vacation Disco

Barbaraが掲げるテーマです。Disco(=踊れて)、Vacation(=ここではない気持ちのいいどこか)へ連れて行ってくれる という意味を持っています。

どうやってこのテーマに辿り着いたのかということはこちらのPodcastでお話されています。

さらに、「言葉で説明するだけじゃイメージしにくいから」と「Vacation Discoへようこそ」というプレイリストも公開されています。

曲順も選曲も良くて、掲げるテーマを的確に捉えているプレイリストです。今もう一度聴き返してみても「まさにこれ!」という感じがします。

私の場合、知らないアーティストの知らない曲ばかりだったので、未知のジャンルを開拓するようなワクワク感も味わうことができました。


2024/07/20 "Vacation Disco Release Party"

そんなBarbaraが6/19に発表した1st Full Albumが "Vacation Disco" です。

(アルバム発売日の私のお祝い具合はこちらのNikkyをご覧ください。1人でパーティーしてます。)

7/20は下北沢LIVEHAUSにて、このアルバムのレコ発でした。
ゲストはQPLO、ゲストDJはTA-1(KONCOS)さん、tanitomo8さん。

QPLOはこのレコ発きっかけで知りました。初めて音源聴いた瞬間に「Barbaraと相性いいこと間違いなしだ〜!」と感じたのを覚えています。
自由なパフォーマンスと隅々まで作り込まれたトラックに終始魅了されていて、QPLOの音楽に合わせて踊ることが癖になりそう。「もう一度観たい!」と思わずにはいられない素晴らしいライブ。

そして、KONCOSというバンドからTA-1さん。the chef cooks meつながりで以前からKONCOSのことが好きだったので、共演のお知らせを聞いたときはびっくり。
元々、Creepy Nutsの松永さん的手数の多いDJをしていたとのこと。「もしかしたら華麗なDJさばきを見られるかも…!?」と期待して行ったら、望み通り「わぁ〜!」と声をあげたくなるようなかっこいいDJプレイが観られました。うれしい!
先ほど紹介したBarbaraの掲げるテーマ"Vacation Disco"にピッタリの選曲で、始めから終わりまで良い曲たちに溢れていた時間でした。こんなにDJタイムを短く感じたのは初めてかもしれません。

tanitomo8(たにとも)さんは京都のクラブ・West HarlemのDJ。方々から「たにともちゃんのDJめっちゃいいよ〜〜!」と噂に聞いていたのでとても楽しみにしていました。たにともさんのsoundcloudにあるMIXはお気に入りです。

今回はオープンの時間にDJをされていたので、ドリンク交換の時間も惜しみ会場に着いてすぐDJブースの前に駆け込みました。(駅に着いてから会場の反対方向に歩いていったため遅れたのです、うぅ…)
どんな風にDJをするのか、どんな曲を選んで繋げていくのか、全部見てみたくて踊りながら手元を凝視していました。(圧を感じさせていたら本当に申し訳ないです…)

「DJが良いってどういうこと?」と思う方もいるかもしれませんが、(超初心者の)私が考えるに、「イベントの雰囲気に合う&盛り上げる&知らなかったけれど良い!となる選曲」「曲と曲をいかに華麗にバトンタッチするか」「会場で一番楽しそうに音楽を浴びていて、一緒に踊ろうよ!と手招きしてくれるようなDJプレイ」など。今回のお二方はその全てが詰まっているようなDJをされていました。本当によかった。

嬉しくて最高で、イベント終盤に思わずたにともさんとハグしました笑
いつか絶対HarlemでたにともさんのDJ聴くんだーー!と決心しました。



Barbara's Performance

そして今日の主役、Barbaraのライブ。SEからワクワクしてしまうのはいつものことなのですが、今回は登場SEに飛行機の離陸音が混じっていることに気が付いてさらにワクワクが止まらない。しかも今日は1時間セット!60分だって!わ!!!

「Vacation Discoへようこそ!」という声で始まった曲、その名もVacation Disco

一気に「やった!やっぱりここにBarbara来てくれた!」という嬉しさが溢れ出てきました。
Vacation Discoという世界を丸ごとそのまま持ってきてくれる、単なる音楽ライブにとどまらないのが彼らのライブ。仰々しいセットは確かにないけれど、必ず現実世界とは違う場所へ誘ってくれます。それってかなりすごいことなのでは?と思うのです。

Run Run Runは5月に初めてライブで聴いた時より、自分の中のボルテージが何倍にも上がりました。

こんなに走り出したくなるというか、待ちきれない!という感情、自分の内側からこんなにも溢れ出てくるんだ!と嬉しくて、思わずふふって笑ってしまうほどでした。

Deeperは音源に増して密度の濃い感じ。

OKUさんの言う「クラブで踊っているときの自分の世界に入る感じ」はまさにこの感覚なのかもしれない!と聴きながら実感しました。グーっと地下空間に落ちていくよう。

アンコールのDon’t say a wordは今日一番の幸せの音がしました。

Barbaraが辿ってきた道のりをいろいろ思い出して泣きそうになってしまいました。でもそれ以上に、今日のライブが本当に楽しくて、来て良かったと思えて嬉しかったから泣きたくなる。

アルバムを聴いて真っ先に思ったのは「踊らざるを得ないリズムと共に、ここではないどこかへ連れて行ってくれる」ということでした。Barbaraのライブへ行くと、心に描いたその「どこか」の解像度がクリアに、まるで目の前に広がるかのような感覚になります。
もちろん音源も作り込まれていて素晴らしい作品。でも、それに加えてライブに行くともっといい。

Barbaraのライブが終わったあと、
こんなにも「帰りたくない、ここから離れたくない、ずっとここにいたい」と思ったのは初めてでした。
B to B(Back to Back)ももちろん楽しかったけれど、Barbaraの音楽を1時間聴けたという幸せなのか嬉しさなのか衝撃なのか。ぼーっとしてしまいました。

そんなに長くは生きていないけれど、この時間をずっと過ごしていたいと強烈に思う瞬間は、きっと人生の内にたくさんはないと思っています。多くはない瞬間の一番初めの大切な一回。
そして、あの場所にいた全ての人にスポットライトが当たっていてみんな輝いている。
そんな日でした。


唯一絶対ではないこと

Barbaraの音楽を聴いていて本当に良いなと思うことは「規定しないこと」です。
「ここではないどこか」という言葉を何回も使っていますが、その行先は唯一絶対でもなく、あらかじめ決められている場所ではないのです。私が描くVacation Discoとあなたが描くVacation Discoはきっと違う。あくまでも「楽しい気持ちと踊るため」の自由を与えてくれるのです。でも幸せだという感情になるのは同じ。

「マルかバツかどちらか」「こうじゃなきゃだめ」「あれはしちゃだめ」に塗れている世界で、唯一絶対ではなくむしろ自由を与えてくれるBarbaraの音楽はまさに今必要だと思っています。

私は決めつけられることがどうしても苦手です。抵抗したいとは思いつつも、枠にはめようと規定しようと網をかけてくる世界が存在しています。そして、往々にしてその中で生活していかなければいけません。

それでも、その網をするりとくぐり抜けて、楽しいという気持ちと踊ることを諦めたくはありません。好きなものを好きだと言って楽しむことをやめたくはありません。そんな時、味方となり助けとなり望む世界へ誘ってくれるのがBarbaraの音楽です。

話が広くなってしまいましたが、とりあえず私は「この人たちの音楽は世界変えちゃうよ!」と思っています。そのくらい新鮮で魅力的で幸せを運ぶ作品とパフォーマンスなのです。

Barbara、私はあなたたちがとってもすごいことをやってのけていると思うよ!


いかがでしたか?Barbaraの音楽、聴いてみたくなりましたか?
あなたの人生をきっとカラフルに色づけて、楽しい気持ちと踊れる瞬間をプレゼントしてくれるはずです。

私自身Barbaraの音楽にたくさん勇気づけられています。だから、さらなる活躍への祈りと感謝を込めて書きました。

いつもありがとう!
Barbaraの作品がこれから先、世界中の人へ伝わっていきますように!


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