やっぱり本が好き! chelmicoちゃんの読書の秋。おすすめの本、聞いちゃいました
夏真っ盛りから一気に肌寒くなってもう秋ですね。そして秋といえば文化の秋、読書の秋ということで、今回は普段から読書を嗜むchelmicoのお2人に、オススメ図書を伺いました。どんな本がレコメンドされるか乞うご期待!
取材&文/高木”JET”晋一郎 撮影/横山マサト
ーーーーchelmicoのお2人はTwitterやInstagramで「いまこの本を読んでる」といった発信をされることが多いので、2人に読書家のイメージを持っている人も多いと思います。
Mamiko 「年間何百冊読んでます!」みたいな感じでは全然ないけど、普通に本は読むし、お互いにも「この本、面白いよ」とか教えあったりはするよね。
Rachel あと楽屋で読んでるのを見て「なに読んでんの? あとで貸して~」とか。
ーー僕も以前、町田康の「しらふで生きる 大酒飲みの決断」をレイチェルに教えてもらって。
Rachel そんな話したね、うんうん。
Mamiko その本を読んで、お酒止めてたよね、レイチェル。
Rachel いまやその禁酒期間を取り戻すかのごとく飲んでる。鈍ってた肝臓鍛えなきゃ!って(笑)。
Mamiko 結局プラマイゼロ(笑)。
Rachel でも本を読むのってスマホ見るのとそんなに変わらない感覚なんだけど、「すごい」って言われるよね。読書してると上等な人間に思われがち。
Mamiko 賢い! みたいなね。でも確かに、同世代だと本を読む方かも。レイチェルは司書目指してたし。
Rachel そう。図書館の司書目指してたから。私は図書館が読書するようになるキッカケだったこともあって。
ーーそれはいつぐらいの話?
Rachel 小学校かな。
Mamiko その頃に読んでたのは「こまったさん」シリーズ(作:寺村輝夫、絵:岡本颯子)とか?
Rachel そうそう! あと「わかったさん」シリーズも。料理も「こまったさん」が食事系で、「わかったさん」がお菓子系だったよね。どっちかっていうと「こまったさん」の方が好きだったかなぁ。なんかずっと困ってるのがかっこ良かったんだよね(笑)。
Mamiko 私は「モモちゃんとプー」(作:松谷みよ子)とか「若おかみは小学生」(作:令丈ヒロ子)、「そして五人がいなくなる 名探偵夢水清志郎事件ノート」(作:はやみねかおる)……だから「青い鳥文庫」のシリーズが大好きだった。小学校が電車通学で、通学時間も長かったからそこで読書の習慣がついたのかも。
Rachel 江戸川乱歩も読んでたな。「怪人二十面相」とか子ども向けの。お母さんがギャルだから。
ーー乱歩の小説にギャル要素ないでしょ(笑)。
Rachel 「こういうの読んでるとかっこいいよ!」って(笑)。
Mamiko あと「チャーリーとチョコレート工場」の……。
Rachel ロアルド・ダール!
Mamiko ロアルド・ダールの本は全部オモロいし、子どものころ集めてたなぁ。「マチルダは小さな大天才」は最高に大好き。
Rachel 子供が大人をやり込めところがいいんだよね。
ーーレイチェルはダレン・シャンの本に血文字を書いていたという事実もこの連載で明らかになりました(笑)。
Rachel 本に心血を注いでましたよ。文字通り(笑)。
ーー2人は幼馴染ではないし、住んでる場所も違ったのに、読んでいた本が似ているのは面白いですね。
Mamiko (顔をマッサージしながら)性格似てるよねうちら。
Rachel 似てるよね……ってマミちゃん、ゴリゴリにリンパ流しながら言わないで(笑)。
Mamiko やべ、無意識でセルフ・マッサージしちゃってた。これから撮影あるから小顔にしなきゃって(笑)。
Rachel 美意識高いから。
ーーインタビュー中にマッサージし始めるのは意識激低です(笑)。中高生ぐらいになると?
Rachel 村上春樹とか読みはじめたり。
Mamiko 村上春樹読んでたの!?
Rachel 「こういうの読むとかっこいい」みたいなお年頃。あと太宰治とか……文学(笑)!
Mamiko 村上龍は?
Rachel 最近初めて読んだの、「限りなく透明に近いブルー」。最初のページと最後のページが最高だったんだけど、真ん中はずっとエッチしてた(笑)。
Mamiko アハハ!
Rachel 村上春樹も村上龍も小説でずっとエッチしてるな、っていうのが感想(笑)。あとオーケン(大槻ケンヂ)のエッセイに夢中になってたし、そのせいで……こうなっちゃった(笑)!
Mamiko オーケンに人格形成された(笑) ?
Rachel あと吉本ばななも好きだった。
Mamiko 私も! あと江國香織とか山崎ナオコーラ。買うのはやっぱりビレバンしょ?
Rachel だね。感性がビレバンだった、chelmico(笑)。
Mamiko わかりやすい方のサブカルだから(笑)。私はエッセイが中心だったな。お笑いが好きだから芸人さんのエッセイを読んでた。いまもオードリー若林さんの「社会人大学人見知り学部 卒業見込」、ハライチ岩井さんの「僕の人生には事件が起きない」とか読んでて。阿佐ヶ谷姉妹さんの「阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし」はホントに素敵な本だったなぁ。あと宮沢章夫さんのエッセイも好き。
ーーラジカルガジベリビンバシステムやシティボーイズなどを手掛けた劇作家ですね。
Mamiko あとは谷川俊太郎の詩集や、穂村弘や中山峻一の歌集も好き。短歌が好きになったのは、高校のときに知り合ったバンドの人が短歌を詠むようになったのがきっかけ。
ーー自分で書いたりは?
Mamiko 全く! 当時は受け取るだけでなんにもしない人で、詩や短歌を書くなんて恥ずかしくて!って感じだったけど、いまはリリックいっぱい書いてるんだから面白いよね(笑)。
Rachel 私はポエムを書いてたな。誰にも見せてないけど。
Mamiko どんな内容?
Rachel 主に恋愛系かな。「愛しのあの人、いま何考えてるんだろう」みたいな。
ーーモーニング娘。の「ザ・ピース」みたい(笑)。
Mamiko アッハッハ! モー娘。だったんだ。
Rachel つんく♂さんリスペクトだから(笑)。
ーーではここで読書の秋にオススメの本を、読者に向けてレコメンドをしていただければと。
Mamiko 私は「たいようのおならー子どもの詩集ー」(編:灰谷健次郎、絵:長新太)。子どもが書いた詩を灰谷健次郎が選んてそれにコメントするっていう内容なんだけど、すごく素敵な本なの。これは友達に勧められたのかな。
Rachel 灰谷さんのコメントが優しくて泣けるね。
Mamiko 優しい先生っていう感じだよね。詩を書いてるのは小学校に上る前とか低学年の子たちだから、誤字脱字もあるし語彙力も少ないんだけど、それを添削しないであえてそのまま載せていて。そういう間違ってる部分とか、手を加えてないピュアな部分が本当に胸に迫るものがあるし、子供ってすごいわ~って。特に好きなのは「犬は悪い目つきはしない」っていう詩。
Rachel パンチラインだね。でも犬ってときどき悪い目つきしない?
Mamiko するする(笑)。でもこの子にはしないんだよ。
Rachel この子の目にはそう見えないってことか。なるほどね~。
Mamiko 読んでると「今を生きてる」って感じがするんだよね。大人になると、来週のスケジュールのこれは嫌だな、とか、今日は失敗したなとか、悩んだりクヨクヨしがちだけど、子どもって全然そんなこと無いなって。とにかく「その時」を楽しんでると思うし、その姿勢に癒やされる……子どもになりたい……(笑)。
ーー話の方向性が変わった感じがしますが、レイチェルのレコメンドは?
Rachel 「いまだ、おしまいの地」(著:こだま)はマミちゃんに貸そうと思って持ってきたんだよね。
Mamiko ホント?
Rachel 最近読んだ本の中でベスト。
Mamiko マジで! そんなオモロいんだ?
Rachel オモロい! こだまさんっていう「夫のちんぽが入らない」を書いた人のエッセイ。山奥に住んで主婦をしている方なんだけど、お金を騙し取られたり、エッセイの内容が基本的に不憫(笑)。私は不憫な人にグッと来ちゃう「不憫萌え」の性癖持ってるじゃん(笑)?
Mamiko Uzhaanさんの不憫な目にあったエピソードとか大好きだもんね(笑)。
Rachel 大好物(笑)。こだまさんのエピソードもとにかく不憫なんだけど、そこで自己憐憫とか、不幸自慢みたいな部分がなくて、すごく淡々としてるのがクールでかっこいいし、面白く表現するっていう客観性も素晴らしいなって。登場人物もみんな変で、こだまさんも変なんだけど、そういう変な人を排除したり馬鹿にするんじゃなくて、みんなそうだよね、こういう世界もあるよね、って受け入れる感じがすごく素敵……って、マミちゃんもう本の上に自分のスマホ置いてるじゃん(笑)!
Mamiko 読むのが楽しみだから借りていくの忘れないように目印つけとこうと思って(笑)。
Rachel 私が不憫だわ(笑)。「友がみな我よりえらく見える日は」(著:上原隆)は、「さよなら、俺たち」っていう男性のフェミニズムを紹介した清田隆之さんがおすすめしていた本で。いろんな市井の人達をインタビューした本なんだけど、「容貌」っていう章は、容姿にコンプレックスがあって、みんな自分を馬鹿にしてるって被害妄想を感じてしまってる女性の話で。その人に一緒にお出かけするような男性が現れるんだけど、ある日のデートの喫茶店で「お金を借してくれ」って言われて、その一瞬で全てを悟って。それに動揺して紅茶の中に砂糖と間違えて粉チーズを入れちゃうんだけど、動揺してることがバレたくないからそれを一気に飲み干して、ずっと胃が気持ち悪いって話がすごく怖いんだよね。
Mamiko それも面白そうだから貸して(笑)!
Rachel 私の荷物がどんどん軽くなる(笑)。あとはね、陳天璽さんっていう横浜中華街で育った台湾系の方が書いた「無国籍」っていう本を友達に紹介されて読んだんだけど、その中に出てきた「ロシアから来たエース―300勝投手スタルヒンのもう一つの戦い」(著:ナターシャ・スタルヒン)も興味深かった。
ーーロシア革命の動乱によってロシアから日本に亡命した家族の子どもで、戦前から1955年まで日本のプロ野球に参加したスタルヒンがテーマの本ですね。
Rachel この人も国籍が無くて苦労した人なんだけど、すごくヒリヒリする内容。外国人が日本で受ける視線って、昔の野球選手も、いまのコンビニ店員も変わらないんだなって思ったし、それは私も感じること。「どこに行っても、どれだけ頑張っても日本人として扱ってもらえない」っていうのが、すごくリアルに書かれてるのが、「無国籍」と「ロシアから来たエース」。歴史の勉強にもなったし、こういう本を勧めてくれる友達がいるのはすごくうれしい。
ーー2人とも本を勧めてくれる人、本を勧められる人が近くにいて、お互いにも勧めあえるというのはすごく健康的ですね。
Rachel 本を読むのって筋トレと一緒だよね。習慣にしてないと目が滑るようになっちゃうから。
Mamiko ルーティンにしていきたいよね。
ーーマンガに関しては、2人のおすすめ作品を近日中に発売される次号TV Bros.本誌の方でもご紹介させていただきますが、最近のマンガのチェックの仕方は?
Rachel Twitterで見つけることは多いかな。「契れない人」(著:たかたけし)もTwitterに1話が載ってて面白かったから買ってみよって。
Mamiko Twitterでマンガ読むよね。私は「ちいかわ」大好き!
ーー「ちいかわ」が更新されるとほぼ100%「鈴木真海子さんがいいねしました」って通知が出てきます(笑)。
Rachel 土井善晴さんと「ちいかわ」といえばマミちゃんだよね(笑)。
Mamiko 「ちいかわ」は最新話がアップされたら通知くるようにしてるから。
Rachel 読んでないだろ! ってぐらいの速さで「いいね」してるもんね(笑)。
Mamiko まずは「いいね」しておいて後から見るみたいな。だって良いに決まってるから(笑)。 本当に癒されるんだけど、かわいいのにダークだったりするのも好き。
Rachel あと「歯のマンガ」にも出してもらったよね、chelmico。
Mamiko chelmicoをキャラクターとか題材にしてくれるマンガが結構あってすごくうれしいよね。雑誌ものだと面白かったのは「九龍ジェネリックロマンス」(著:眉月じゅん)。「少女ファイト」(著:日本橋ヨヲコ)も好き。
Rachel 懐かしいところだと、「NANA」(著:矢沢あい)を久しぶりに読み返したくなったんだけど、全部読み返す時間は無さそうだったから、電子書籍で1巻だけ買った。そういう時に便利だよね、電子書籍。
Mamiko 「NANA」って読んだことないんだよなぁ。
Rachel もしかしたらマミちゃんはイライラしちゃうかも。ずっと男と女がすれ違ったり、馬鹿な男に女の子が騙されちゃったりする話だから。
Mamiko うわ~。ムカついて破いちゃうかもしれない。私「ろくでなしブルース」(著:森田まさのり)好きだから。
Rachel 武闘派だからね(笑)。
Mamiko くっついたり離れたりでウジウジしてるんでしょう? そんなの腕力で解決だよ!
ーーマミちゃんがいる限り世界から戦争がなくならないことが分かったところでchelmicoの読書の秋はこんな感じです(笑)。
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