【7】商標登録の申請から完了までをラクする方法とは?

こんにちは、商標弁理士Nです。
最近、なぜか急にタンバリンを叩きたくなりました。

さて、前回の記事では、「商標登録をするために必要なこと」について、お話ししました。

それはすなわち、「特許庁に登録の申請をして、審査にパスする」ことでした。そして、実際に申請をするためには、申請書となる「願書」の提出が必要だということでした。

商標登録をするために必要なこと自体は、このようにシンプルです。

一方で、実際に申請手続をするにあたっては、自分で願書を作成したり、オンライン申請のための準備をしたりする必要があります。ですから、毎日忙しい企業経営者にとっては、これらに手間をかける時間などなく、「とりあえず保留」の状態となってしまうことも少なくないと予想されます。せっかく商標登録に興味を持ったのに、大変残念なことです。

しかし、すでにお話ししたように、商標登録は「早い者勝ち」です。
長く保留すれば保留するほど、事業リスクは大きくなってしまいます
いつまでも、見て見ぬふりを続けるわけにもいかないでしょう。
(※詳しくは、【5】なぜ、商標登録をしないと怖いのか?をご覧ください。)

じゃあ、なんとかならんのかい!?」という話ですが、実は、経営者の皆様が、ラクをして商標登録の申請から完了までをする方法があるのです。

というわけで、今回は、その方法についてお話ししたいと思います。

1.ラクして商標登録までを完了する方法

ズバリ、知的財産の専門家である「弁理士」に依頼をすることです。
弁理士が働く「特許事務所」に、商標登録の依頼をします。

特許事務所に依頼をすれば、弁理士が貴社の代理人として、商標登録の願書の作成から申請、登録完了までのすべての手続を進めてくれます。

ちなみに、弁護士も弁理士業務ができますので、弁護士に依頼することもできます。(ただ、商標登録などの商標実務については、やはり弁理士がプロパーです。)

2021年2月末の統計では、わが国には11,579人の弁理士がいます。
特許事務所としては、だいたい5,000くらいあるようです。

なお、当たり前ですが、タダで弁理士に依頼ができるわけではありません。
依頼にあたっては、サービス料金(弁理士報酬)を支払う必要があります。

2.自分(自社)で対応する場合のリスクとデメリット

弁理士や特許事務所に依頼する場合はお金がかかると聞くと、とたんに躊躇してしまう経営者も少なくないと思います。そりゃそうですよね、こんなご時世ですし、できる限りコストをかけたくないという気持ちは、私も経営者なので痛いほどわかります。

しかし、前述のように、自分(自社)ですべて対応しようとすれば、はじめての場合は特に、その準備にはかなりの労力と時間がかかるのは間違いありません。

また、なんとか申請手続までが済めば安心というわけでもありません
願書に何か不備があれば、特許庁から指令が来ますので対応が必要です。また、審査で引っかかった場合には、その理由に応じた適切な措置も必要です。審査の結果、スムーズに「登録OK」となった場合でも、商標登録料の納付手続が必要となります。

通常、これらの対応には期限があり、適切な手続がされないと、登録拒絶となったり、申請却下となってしまいます。もし、経験がない状態ですべて自分(自社)で対応しようとすれば、その都度かなりの労力を要することになってしまうでしょう。

ちなみに、弁理士や特許事務所に依頼しない場合でも、印紙代だけはかかります
弁理士費用をケチって自分(自社)で対応したものの、何度も失敗を繰り返してしまっては、最初から弁理士に依頼した方が、トータルコストとしては安くて済む場合もあるかもしれません…。

そもそも、このような言い方をすると失礼かとは思いますが(すみません)、我々から見れば、はじめての方が自分(自社)で商標登録をしようとするのは、所詮は「素人レベル」です。何らかの失敗をする可能性が高いと言わざるを得ません。

ネットを検索すると、「自分でも商標登録ができた!」とか、「自分でも商標登録はできる!」といったブログ記事などをたまに見かけますが、あまり鵜呑みにはしないようにしてください。事業内容、商標、商標を使う商品・サービスなどは事業者ごとに異なるものですから、自分(自社)で対応できる商標登録の難易度というのも、ピンキリなのです

ですから、「自分でも商標登録ができた!」とか、「自分でも商標登録はできる!」と言っている人たちは、その人(会社)の業務がシンプルで、かつ、運が良かったからスムーズに登録できただけ、という可能性もあるのです。また、商標登録は一応できているけれども、実は指定商品や指定役務をミスしており、実質的にまったく役に立たない登録をしてしまっている可能性だってあります(これ、意外と多いのです)。

このように、商標登録を自分(自社)で対応しようとした場合、特にはじめての方々にとっては、かなりの不安要素があると言わざるを得ません。

3.弁理士や特許事務所に依頼するメリット

弁理士や特許事務所に依頼にすれば、これらの不安要素を解消できます。
すなわち、次のようなメリットがあるのです。

1.自社で対応する場合にかかる労力や時間を大幅に削減することができる。
➡ 費用は多少かかってしまうとしても、必要となる労力や時間をコスト換算すれば、トータルでは弁理士に依頼をした方が安くすむ可能性も。

2.特許庁から指令などが来た場合に、適切な対応が可能となる。
➡ 商標登録の機会損失や手続のミスを極力減らすことができる。

3.適切な商標登録や、商標の使用等についてアドバイスを受けられる。
➡ 意味のない商標登録の回避、他社との商標トラブルの回避につながる。

私自身が弁理士をやっているからというわけではありませんが、このように見てみますと、やはり商標登録は、弁理士や特許事務所に依頼することを強くオススメする次第です

なお、弁理士や特許事務所に依頼する場合でも、すべてを丸投げできるわけではありませんので、ご注意ください。弁理士は、貴社の事業内容や具体的な商標、商標を使う商品・サービスなどの詳細を的確に把握した上で、はじめて適切なサポートが可能となります。

よって、どうしても事前のヒアリングや打ち合わせにはご協力いただくことが必要です。面倒に感じられるかもしれませんが、これが非常に重要な過程となるのです。

それでは、実際に弁理士や特許事務所に依頼する場合、どのように選べば良いのでしょうか?次回は、この点について、お話していきたいと思います!

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