【10】商標登録はいつまで有効なのか?

こんにちは、商標弁理士Nです。
今朝は近所の公園でカワセミを見かけました。

さて、これまでの記事では、「商標登録のメリット」、私の考える「商標登録の真のメリット」、「商標登録をしない場合のリスク」などについて、お話いたしました。

これらを知ったことで、「うちの会社も、商標登録しておこうかな…」とお考えになった経営者の方々もおられるかもしれません。

ところで、今さらの話になるかもしれませんが。
一度商標登録をすると、登録はいつまで有効なのでしょうか?
この点を疑問に感じていた方も、少なくないかもしれません。
というわけで、今日はこの点について、お話ししていきたいと思います。

・商標登録は、登録日から10年間有効。

商標登録をすると、「商標権」という権利が発生するのは、すでにお話ししたとおりです。したがって、商標登録がいつまで有効かというのは、この「商標権がいつまで有効か」という話につながります。

そして、この商標権は、原則として「商標登録日から10年間」有効です。
10年です!これは意外と長いと思われたのではないでしょうか?

ちなみに、「原則として」と言うからには例外があるの?という話ですが、場合によっては、10年を経過する前に、商標登録が取り消されたり、無効にされたりすることによって、商標権が消滅してしまうことがあります。

また、10年分の商標登録料を、前期と後期の2回に分けて支払うことにした場合に、所定の期間内にちゃんと後期分を支払わないと、商標権が消滅してしまいます。

・更新により、さらに10年間の延長が可能。

「え?じゃあ10年経ったらどうすりゃいいのよ?」と思われた方もいるでしょう。

商標登録の有効期間、すなわち、商標権の存続期間は、実は「更新」をすることができます。所定の期間内に、更新登録申請の手続をすることで、さらに10年間、権利を存続させることができるのです。

しかも、この更新は、何度でも繰り返すことができます
更新登録申請の手続さえ忘れなければ、50年、100年、150年・・・と、商標権を保持し続け、商標登録がされた状態を維持することができるのです。

ちなみに、「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」で古い登録商標を検索したところ、明治35年(1902年)に登録された商標を確認できました。これは実に、約120年も商標登録を維持しているということになります。スゲーですね(笑)。

ただし、更新登録申請はタダでできるわけではありません!
更新登録料」(そこそこ高額)を、特許庁に支払う必要があります。
ですから、更新をするかどうかというのは、このまま商標登録を維持することの費用対効果を考えた結果、多くは判断することになります。

・特許庁から「更新のお知らせ」は来ないので注意!

これまでの話を聞いて、「なんだ、運転免許の更新みたいもんやんけ」と思われた方もおられるかもしれません。たしかに、イメージとしては近いものがありますね。

ただ、運転免許の場合は、更新日が近付くと「更新のお知らせ」の通知が家に届きますが、商標登録の場合、特許庁からこのようなお知らせは来ません

したがって、更新期限日はしっかりと自分で管理しておく必要があることには、注意が必要です。失念していたら、いつの間にか商標登録がなくなっていた、なんてことになったら最悪ですからね。

・商標権(商標登録)は、日本国内でのみ有効。

ちなみに、専門家からすると当たり前すぎて意外と説明が抜けてしまうのですが、事業者にとっては非常に重要となる注意点があります。

それは、「日本でした商標登録や商標権というのは、日本国内でのみ有効」という点です。

日本国内であれば、全国的に有効です
神奈川県在住の私が商標登録をして、北海道とか沖縄で私に無断でその商標を使っている会社があった場合、私は商標権に基づいて、この会社に「ヤメレ!」ということが可能です。その会社が、めちゃくちゃ田舎にあって、細々とビジネスをやっていたとしても関係ありません。商標権は、非常に強力なのです

一方、逆に言えば、外国までは効力が及ばないということです。
外国でも商標を保護したいのであれば、当該国でも商標登録をすることが必要となります。

たとえば、貴社の商品に商標を付けて、日本だけでなく、タイやインドでも販売するという場合は、日本、タイ、インドの各国で商標登録をすることを検討する必要があります。

日本で商標登録をしておけば安心するものですが、貴社のビジネスが国境を超えるようになった場合は、外国での商標登録も検討する必要が出てくる点には要注意です。

ちなみに、中国、台湾、香港、マカオは、それぞれ別の商標登録となりますので、こちらも注意が必要です。

以上、今回は「商標登録はいつまで有効なのか?」をお話ししました。
次回は、一般の方々が商標で誤解しがちな「誤解あるある」シリーズ(?)として、「商標登録」と「登録商標」の言葉の違いについてお話しします!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?