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千字日記

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#音楽

オフパコ☆メモリアル(デビュー編・その3)

オフパコ☆メモリアル(デビュー編・その3)

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 柱を背にして、少し俯き加減のエミに「はじめまして」と話し掛ける。

「はじめまして、エミです。今日は来てくださってありがとうございます」

 そう微笑みを交えて挨拶を返す彼女。メッセージの文面と同じく、丁寧な口調が彼女の育ちの良さを窺わせる。

 白い肌に薄い唇の紅がよく映えるエミの笑顔は、清楚さを保ちながらも、花開くような艶やかさを帯びており、息を呑むよ

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まどろみの75度

まどろみの75度

 関東は梅雨入りしたようで、これから寝苦しい日々も連なってやってくるのだろう。 眠らないことには次の日がキツイことくらい分かっているのだが、かといって眠れないものは眠れないのだ。

 そこで焦って「眠らなければ」と思えば思うほど、その緊張ゆえかまどろみは遠ざかってどんどん目は冴えてゆく。

 そこはもう諦めることにして「一晩くらい寝なくても死にはしない」の精神を持つことにする。そうすれば、リラ

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すばらしい日々

すばらしい日々

 老親にしろ、上司にしろ、なんで連中は何度も何度も同じことを俺に言いたがるのか。

 重要度が高いため日々繰り返す必要がある事柄であるとか、挨拶や世間話の延長であるとか、そういうジャンルの話ではない。 全く面白くない冗談を会うたびに繰り返し、こちらが笑うまでその話題から離れようとしない、そのような類のうざったさである。

 俺とて社会人の端くれゆえに、それに対しては愛想笑いを返すこともあれば、

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Strawberry Fields Forever

Strawberry Fields Forever

草臥れた夜は無性にStrawberry Fields Foreverを聴きたくなる時がある。 親父は昔からThe Beatlesが好きで、ヤニ臭くてボロい自家用車のカセットデッキから、しばしばそれを流していた。

俺が子どもの頃の家族旅行といえば専ら自家用車による海水浴で、その移動中によくこの曲を聴かされていた。そのため、Strawberry Fields Foreverは潮騒と共に

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