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2021年6月読んだ本まとめ

 Twitterだと字数制限があるけど、noteだとないから、今月も長々と感想を書いてしまった。記憶を取り出してあげる作業の意味合いが強いから誰も読まなくても悲しくはないんだけど、不思議なことに、書けた!っていう文章よりもこっちの方が読まれていて複雑な気持ちになる。そんなこんなで2021年も半分がすぎてしまいました。「早い」じゃなくて「速い」の方が適切なんじゃないかな。

実力も運のうち 能力主義は正義か? / マイケル・サンデル

 少しばかりの恩恵を受けて、どっぷり能力主義の世界に浸かってきたので外の世界を見ずに生きてきた。途中から自分の運の強さの方へ意識を向けられたのはせめてもの救いだったけれど、高校時代は勘違い小僧だった。ほとんどの高校生が体験しているだろうことを犠牲に男子校に入学し、サッカーと勉強に力を注ぎ、自分はこれだけのものを犠牲にして活動に取り組んでいるのだから報われるべきであり、もし報われない人がいるのなら何も犠牲にせず努力が足りないからだと勘違いをしていた。たまたま成功に結びついた時には、その犠牲が報われたと思い、自分の努力のおかげだと思っていた。しかし、それは違う。「たまたま社会が評価してくれる才能を持っていることは自分の手柄ではなく、道徳的に偶然のことであり、運の問題なのだ」と著者が指摘するように、それはただ運が良かっただけのことであり、その運に対してよかったとおもう謙虚さ感謝が大事。忘れずにいたい。

消費社会の神話と構造 / ジャン・ボードリヤール

 数年前に購入してずっと積読だったが、ここにきてやっと読み終えることができた。とにかく表現が難しくてなかなかアタマにスッと情報は入ってこないが、読み進めていくとなんとなく概要は理解できる程度にはなる。
 消費とは結局のところ「差異表示記号」であり、他人と自分が違うことを主張するものに過ぎないことがわかる。それでもこの消費社会からは抜け出すことは難しい。資本主義社会が消費社会でもあり、資本主義社会から大きく方向が変わらない限りずっと他人との差異を示すために消費社会に居続けることになる。
 消費社会からは抜け出せないが、何を買い、どれだけ使用するのかは個人の選択次第だとおもう。最近は浪費はある程度減ったと感じているが、消費についても、他人との優劣を示すことが目的になってないか、見栄を貼りたいがための購入ではないか、と自問しながら自分に心地がいい消費を探っていきたい。

無敵思考 / ひろゆき

叩かれるから今まで黙っておいた「世の中の真実」 / ひろゆき

 『1%の努力』が面白く、好きな考え方の人の本は3冊読むことにしているのですぐに購入して読んだ。とことん論理的に考えているというか「論破王」と名がつくのもうなづけるぐらいの説得力。基本的に自分がロジックで考えたい人間なので、考え方としてはしっくりくるし憧れてしまう。ロジックで考えるんだけど、感情論を否定しているわけではなくて、感情と論理を分けて感情で判断するところもあるってところも好きなところの一つ。
 本の途中で「ムラのない人は優秀に見える」とあり、プレーヤーの世界としてはどうだろうかと考えてみた。ムラなく一番高いパフォーマンスを維持することがベストだけれど、0点と100点を試合ごとに繰り返す選手と80点を毎試合ムラなく発揮する選手とを比べるならばどうだろうか。ポジションにも寄るけども、後者の方が確かに優秀なイメージはあるし、使う側からしてもチョイスしやすいと感じる。やっぱり毎回安定したプレーをする0点を取らないというのは大事かもしれない。

「ない仕事」の作り方 / みうらじゅん

 この人の人生は絶対楽しいとおもう、というのが読後の感想。何かを好きになる過程が変態。(褒め言葉)「嫌だ、違和感があるというものをどうやったら好きになれるだろうか、と自分を洗脳していく方が、好きなものを普通に好きだというよりもよっぽど面白いことになる」「興味の対象となるものを大量に集め始める。好きだから買うのではなく、買って圧倒的な量が集まってきたから好きになるという戦略」圧倒的に普通の人と感覚が違って好き。
 あとは、映画を一言で「つまらなかった」と片付ける人に対して、その人は才能と経験がない人としていて、映画好きとしては心に刺さる。映画は面白いところを自分で見つけるものだし、観るっていう受動的な行動を能動的に見つける行動にする感じかな。
 この本は僕の師匠(@saeeeeru)にぜひ勧めたいが(もう読んでるかもしれないけど...)、個人的に他人に本を勧めることに抵抗があるので、読まれるかわからないけれど、こっそりココに想いをおいておく。

センス入門 / 松浦弥太郎

 松浦さんの文章が好きすぎて書店で見つけると手にとってしまう。今回は「センス」という言葉がテーマ。サッカーでもよく「センス」の話になる。松浦さんのセンスの定義は「何を選ぶか」「どう判断するか」であり、サッカーにぴったりと当てはまるのではないか。ドリブル、パス、シュートなどの選択肢がある中で何を選ぶのか、味方と相手が入り混じる複雑な状況のなかでどう判断するのか。サッカーをしている人でセンスがいいと言われている人の共通点としては大方当てはまっているとおもう。逆にセンスがない人の典型的なパターンでは、複数の選択肢がある中で「そこ選ぶ?」と言われることが多い気がするし、自分も言われてきたのでよくわかる。
 私生活でのセンスを磨くにはどうしたらいいか。松浦さんは重要文化財を見てまわることを提案している。これは本物に触れる経験を積むということ。それをサッカーで考えるなら、センスのいい人のプレーを見て盗むしかない。個人的に最近は試合を観戦することも含めて「みる」ことが足りていないと感じている。もっとみよう。

東大首席が教える超速「7回読み」勉強法 / 山口真由

 中学・高校はサッカーに割く時間が多く、勉強して賢くなりたいというよりも、いかにテストを効率よく乗り切れるかが勝負だった。クラスメイトより勉強にあてる時間が少ないなかで、コスパの良い勉強法は「読む」だった。とにかく、徹底的に教科書に印付けながら読んで、読んで、読んで、最後に書いて手で覚える感じ。(勉強法として圧倒的にマイノリティ)7回までは読んでいないけど、読む行為がメインだったのは間違いない。学生のときにはあんまり読書をしていなかったけれど、大学生になって読書にハマった理由がよくわかった。読む行為はもともと好きで、それが教科書から本に変わっただけみたい。
 勉強法とは関係ないけれど、印象に残ったところを。「失敗はミクロな視点で覚えておいて、マクロな視点では忘れちゃえというわけです。失敗したときには、次に同じミスを繰り返さないようにしないとなとは思うけど、” 私ってダメな人間 ”というように、その失敗が、自分自身の価値を下げるかのような考え方は一切しないようにしています」この考え方はミスのスポーツとも形容されるサッカーにおいてとても大事なマインド。失敗の原因だけを覚えておいて「失敗それ自体は忘れる」これができる人間はスポーツの世界では強い。

高瀬舟 / 森鴎外

 テーマは「足るを知る」と「安楽死」だろう。
足るを知る
 以前『老子』を読んだときにも「知足(=現状を満ち足りたものと理解し、不満を持たないこと)」の話が出てきて、本当に足りないモノって意外と少なくて、足りないものを探すよりは今あるものでいかに心を豊かにできるかが大事なんじゃないかと考えた記憶がある。その時期に『ドイツ人はなぜ、年290万円でも生活が「豊か」なのか』という本も読んで、自分を満足させるために必要なコストが高い人は一生お金がかかるし、日光浴やピクニックで満足できるならそれに越したことはなくて、最近はお金をかけずにを心が豊かになるための体質づくりを意識している。お金があればあるでプラスαで考えられるし、なくても満足できるのならそれがいい。実際に昔はブランドもののTシャツや見栄のための消費をしていたが、今はせいぜい読書するための本と珈琲、あとは少しの甘いものがあればなんとかなる。主人公・喜助の時代と今の時代は少し違うから、知足の基準は違うのだろうけど、現状に不満を持たないこと、それに対してストレスを持たないことは必要なスキルといっていいとおもう。

安楽死
 昔も今も変わらず、賛否両論あるテーマ。全く縁のない話だとは思っていたが、『高瀬舟』が読み継がれ、この時代まで残っているということは、多くの人にいずれ降りかかる問題なのかもしれない。喜助の場合は弟だったが、もしこれが自分の親や子どもの場合だったら、どう考えるだろうか。苦しむ姿を見るのに耐えられるだろうか。日本では選択肢としてそもそも安楽死の手段を取れないが、時代が変わったら何が起こるかわからない。立場を変えて、自分が喜助の弟だったらどんな気持ちだろうか。早く楽にさせてくれと思うだろうし、それを頼れるのはやっぱり血を分けた兄弟しかいないという思考になってしまうのだろうか。
 またどこかで出会うテーマかもしれない、アタマの片隅においておきたい。

武器としての「資本論」/ 白井聡

 資本主義の世の中で生きているのは間違いないが、おそらく資本主義についてほとんど何も知らない。自分が住んでいる世界のルールや仕組みを完全には理解できなくても、少しでも理解するように努めてはいきたいと思っている。いずれサッカー選手のキャリアを終えれば、会社などで働くことになる。働いてみないとわからないことが多いはずだが、情報としてストックしておき、いつか役に立つと信じて、知識を寝かせておきたい。

銀河鉄道の夜 / 宮沢賢治

 みんなが幼いときに読んでいた名作や昔から読み継がれている作品をスルーして突き進んできてしまっているので、そこらへんも押さえながら、時間軸を前後に伸ばしつつ読書に取り組んでいきたい。
 近頃、読み継がれている名作なるものを読んでいて思うことは、答えが1つに決まらないテーマについて書かれているものが多いのでは?ということ。『高瀬舟』であれば、知足や安楽死についての問題であり、この作品であれば「ほんとうのさいわいは何か?」というテーマである。書かれた時代背景も異なるので、今の時代にそのまま当てはめることはできないが、もう少し作品中のテーマに沿って「さいわい」を絞っていけば、他者貢献のための自己犠牲は是か非か?というところになるのかな。僕はどちらかというとGiveは巡り巡って自分に戻ってくると信じているタイプなので、自己犠牲に対してポジティブな意見側だが、生死が関わってくると難しいな。今でも夏に川や海で溺れた人を助けに飛び込んだ人が、一緒に溺れてしまいどちらも助からなかったというニュースを耳にする。人のためを思って行動した自己犠牲は改めて評価が難しいな。友人であればなおさら白か黒かでは判断できない。読み継がれているものは読み継がれるだけの理由がある。やっぱり結局は正解はないから、自分なりの意見を持てるかどうかだと思う。

精神科医が見つけた 3つの幸福 最新科学から最高の人生をつくる方法 / 樺沢紫苑

 『OUTPUT大全』『INPUT大全』を書いた樺沢さんの幸福についての本。以前誰かがインスタグラムで面白いと言っていて、いつか読もうと思っていた。自己啓発系の幸せや幸福に関する本はあまり読んだあとに血肉になっていない感じがして読まないことが多いのだけど、これは読んでよかったと感じたし、書店でメインの位置で売られている理由もわかる気がした。
 幸福の意味合いは著者や本によって変わる。ここでの幸福の定義は「幸福に関わる物質が脳内で出ている状態」としていて、その状態を目指すことが幸せにつながるとのこと。幸福に関わる物質もたくさんあって単一ではたらくというよりは複数の物質が同時に関わっているらしい。その中でも大きく関わる3つの物質(セロトニンオキシトシンドーパミン )と具体的な日常での行動が紹介されていた。

☑︎セロトニン   心と体の健康
☑︎オキシトシン  つながりと愛
☑︎ドーパミン   お金、成功、達成、富、名誉、地位

 人々が幸福に関わるだろうとする事柄とそのときにはたらく幸福物質を簡単にまとめると上記のようになる。ここで大事なのが追い求める優先順位があること。上から順に満たしていくべきで、そのバランスが崩れれば、幸せには近づかないということだった。これはなんとなく現実世界と重ね合わせるとイメージが湧く。どれだけお金を持っていても、孤独の人は幸せとは言えないし、体が健康でなければ、そのお金を使うこともできなくなってしまう。
 このことを今の自分に当てはめて考えるとどうだろう。まずは体が資本であるので、健康には気を使わないといけない。間違いなく最優先事項。そして次に、つながりや愛はサポーターやファン、家族や友人との関係性になるのかな。熊本のサポーターやファンの方からはロアッソ愛のようなものはひしひしと感じるし、個人的にも僕にはホームやアウェイなど全国各地に応援してくれる友人や家族がいる。ここは十分満たされていると思う。最後に、このクラブでリーグを優勝して、上のカテゴリーへといければ、もうこの上ない幸せだろう。
 これが逆ではダメなのも頷ける。目先の成功ばっかりを追って、クラブのことやサポーターなど応援してくれる人たちとのつながりも気にかけなければ確かに幸せな状態にはつながらないだろう。自分でも幸せになるためにサッカーをしているかどうかはわからないけど、サッカーを続けるなかで自分が幸せだと感じるかどうかが大切な要素なのは間違いない。

満月珈琲店の星詠み / 望月麻衣

 著者の方が、あとがきで、結構前から考えていた話だったけれど、しっかり星占いについて自分が勉強したあとに書くことにしたっていうエピソードを話していて、そういった見えない想いや努力ファあるからこそ多くの人に読まれるんだなと思った。その人の中で噛み砕いてしっかり消化されているからこそ、読者にもわかりやすく入ってくるし、読者はその感覚を無意識のうちに察してしまうんだろう。
  テーマ性としては「自分のしたことは、自分に跳ね返ってくる」というところなのかな。久しぶりに心が温まる小説でも読みたいなという人には、ちょうどいい分量だろうし、ここに出てくるドリンクや食べものがとにかく美味しそうでまた違った楽しみ方もできるので、ぜひ勧めたい。

輝ける闇 / 開高健

 知性と人間味ある気概やきちんとした文章、特に歴史小説は読んでいたほうがいいのでは?とアドバイスをいただき、お勧めしてもらったなかに「開高健」の名前があった。そのときは勉強不足で存在すら知らなかったので、後回しになっていたが、今回読んでみてお勧めされた意味が少しだけわかった気がする。
 ベトナム戦争を肌で感じた著者が、現地で経験した出来事をもとに描いた小説。作品中で「小説は匂いを書くべきか?使命を書くべきか?」という話題がでるが、この作品の場合は前者であって、とにかく匂いが見える小説だった。匂いの描写が多いのはもちろんのこと、僕はベトナムにいったことはないのだが、どこか見覚えのある場所にいったことがあるようなイメージを抱けるほど頭の中で視覚化できた。
 メインは戦争の話であるし、こんな感想では語り切れないんだけれど、いまはこの作品に対してこれぐらいしか書けないから、かけない事それ自体を一旦提示しておくのも悪くない。また他の作品も読んで成長して帰ってこよう。

ナナメの夕暮れ / 若林正恭

 オードリー・若林さんのエッセイがめちゃめちゃ良かった。アメトークの「人見知り芸人」で若林さんが出ていて、話している言葉に共感を覚えた記憶が残っている。周りからどうみられているかはわからないのだが、僕は人見知りで、内向的な人間であって、HSP(Highly Sensitive Person)だろうし、最近よく聞く言葉で言えば「繊細さん」だろう。それらに関する本は結構読んで、なんとなくそっちタイプの人間という認識がある。(かといって何か劇的に変えようともしていないんだけども)呼び名はどうでもいいのだが、若林さんもタイプ的には似ていて、それが文章に現れていて、共感できるところがたくさんあったんだと思う。共感した文章や表現を上げれば、本一冊読んでください見たいな量になるし、絞って書くにも恥ずかしさもあるからやめておく。
 読み終わってすぐに他のエッセイも購入。また一人好きなタレントさんが増えた。ラジオも聴いてみようかな。

ーーー

終わりました。
7000字らしい。
誰が読むんよ。笑


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