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制作日記:過去絵を描き直すことについての考察

過去絵をなぞる

制作日記を書くのは久しぶりな気がします。
現在は色彩心理受講の備忘録を執筆
詩画集の編集
油絵の制作
F4号二枚(完成)
F6号一枚
M30号一枚

自分でも詰め過ぎじゃないかと思いますが、昨年は制作自体出来なくなるのでは?と思う年でしたので、「後悔しないようにやってみよう」の精神で制作をしています。それに昔なら「一つの事に集中しろ」と自分に言い聞かせて、一つを選びその他を辞めていたので〈諦めた後悔〉もあって、思いついたら並行して制作することにしています。

「作品は日記のようなもの」

油絵を制作する過程で〈色彩心理受講〉の振り返りである備忘録は欠かせません。
なぜなら油絵を再開するきっかけになったからです。
セッションを受けて「自分が楽しいと思えた事」を会話で思い出し、「楽しい」という感覚を心臓の鼓動で理解するという体験を経ているので、その過程を記録するのは、制作をするにもこれからの自分に大切な事なのではないかと振り返ります。
セッションを終えて外に出た時に浮かんだのは、過去に個展で発表した2枚の同タイトルの作品でした。
それから2週間で3作品ほど描き出しました。

過去絵と現在の絵を見ての考察


2024年制作油絵
「silence」2022年グループ展参加

ペン画で描いた時は「静かな場所に行きたい」とただ切に願っていた時に描いてモノでした。ペン画での制作は自分の空間に「幕」を張るようにマットな背景にすることが多かったように思います。
表情も少し悲しげです。
2024年に制作した油絵は、明るい背景と明るい表情に自分自身でも驚きました。ペン画制作時には〈表情〉が上手く描けず苦心していました。
まるで「兆し」に気が付いたように上を見るその表情が浮かんだ時に不思議と迷いなく「描けるな」と確信があり描いた記憶があります。

2022年制作「undo」
2024年制作 油絵

上記ペン画と同じ展示会に参加した作品です。
解けていくようなイメージで描いたのですがタイトルの「undo」というのは元へ戻す、取り戻すという意味もあるそうです。意味合い的には〈起こってしまったことは、元に戻せない〉後悔のような印象をうけます。
2024年の油絵は浮かんだ時間が特殊でした。
色彩心理講座の受講中にイメージが浮かんで一気にメモしたのを覚えています。色は「珊瑚」色彩心理で唯一なにもイメージが冒頭で浮かばず自分自身愕然としたのを覚えています。
講師の小池安雲さんに色の意味を解説してもらい、自分の気持ちと過去とを照らし合わせセッションをする中で浮かびました。
「この絵の色は今まであえて使ってこなかったのかな」と受講中、そして受講を終えた今振り返ります。その〈気付き〉がこの表情を生んだのかもしれません。

2024年制作中 油絵


2017年初個展「深い森」
出展作品「春眠」

詩画集も作りました初個展「深い森」に出品したペン画の作品。
花に形どられた体に骨、魂のイメージの蝶。
「深い森」という物語は、生きる事に絶望した一人の女性の物語を考えて制作しました。〈絶望感〉〈孤独感〉は長年、自分自身で抱えていた事にセッションで気が付きました。
気付いた時はショックでしたが受け入れた今は〈知らず、自分自身を描いたのかな〉と振り返る事が出来ます。
そして、制作中の油絵は、肉が付き表情もつきました。
備忘録でも書きましたが、「価値観の変化」その中に「生き直したい」という自分の新たな希望を見つけ、きっと自分自身の心境が表れたのかなと思いながら描いています。

2024年制作 油絵M30
久々の大きい作品
2017年初個展「深い森」出展作品
「木霊」→「虚無」

2017年「深い森」で一番気に入っている作品〈虚無〉でも個展当時は
「木霊」という題名で発表しました。
「木霊」という作品を描こうと思いついた最初の作品だったので、それ以外のイメージが浮かばなかったのですが数年のあいだに手元に置いて眺めている間に〈虚無〉という題名になりました。
〈虚無〉なにもぞんぜぬ。虚しい事。
当時は「自分自身で作ったキャラクターの気持ちを表現する」という思いがあったと思いますが、詩画集で振り返った後は〈自分自身だな〉という分析をしました。
セッションを終えて「油絵を再開する」と決めた時、最初に浮かんだのがこの〈虚無〉という縁がの作品でした。
油絵の中では、掴む腕があり、別れることなくつながっていて、枯れ枝ではなく現在は葉が茂っています。
何の変化があったのか描き途中なのではっきりとしませんが、分かる事は
「何もない事は、無くなったんだな」という前向きな気持ちです。

久々の30号です

見える変化と現在の制作

現在はF4号とF6号は完成。M30号の制作中。
6月にはグループ展の参加を決めたので、その時に油絵で初めて参加しようと思います。
ラフを詰めていますが、しっかり表情が描けるようになっていたので自分でも不思議な気がします。ペン画の時もしっかり考えて制作していたのですが、見直すと寂しい表情が多いような気がします。
私は10年間何をしてきたのかな・・と思う事もありますが、必要な事だったのかなとも制作しながら思います。
昔の作家の作品を見ても、時代や作家の心情など色濃く出ているものが多いので〈何かを作る〉という行為には〈自分自身〉が出るものなのでしょうか?
自分は制作人生のまだ最初の段階だと思うし、価値観が昨年変わったばかりなので答えはまだ出る事は無いと思います。
色彩心理受講の備忘録という自分の記録
詩画集の編集という文章の制作
油絵の制作
いろいろ向き合いながら答えを出したいなと思います。

昔、90歳の先生に言われた言葉で
「90歳の僕はまだヒヨコだから、君は生まれてもいないよ」
その先生は油絵・文章・版画・陶芸と多彩な方でしたが、それでも探求を辞める事は無いと笑顔で笑っていらっしゃいました。

表現、制作とは奥深いものですね。

詩画集




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