【読書メモ】『推し、燃ゆ』(著:宇佐見りん)
「聖地巡礼」との言葉は、一昔前は「オタク」「オタ活」なんて言葉とともに若干の揶揄が先行するような言い回しが主体でしたが、「推し活」との言葉と共に大分フラットに定着してきているのでしょうか。
まぁ、揶揄していた主体がオールドメディアであったことを踏まえると、既得権益業界としての無意識下の防衛本能の発露でもあったのかなぁ、なんて感じながら思い出したのが、『推し、燃ゆ』との一冊。
確か芥川賞(164回)を受賞されたのかな、普段は賞を取ったからとの理由で手に取ることはあまりないのですが、デビュー作である『かか』で三島由紀夫賞もとられているとの帯に惹かれた印象が残っています。
当時、さらっと、風と共に駆け抜けるように読んだような覚えがありますが、疾走感というよりは没入感を強く感じた物語でした。
10代、20代、全てを削って、何がしかにハマった記憶を呼び起こされるような、ヒリヒリと灼けつくような、そんな印象を瑞々しさとともに。といっても、どこか薄皮めいた水面越しに眺めているようにも感じたのは、私自身がもはや同時代性を共有できていないからかな、とも見ています。
10代、20代で手に取った方は、30代、40代と社会での経験を積み重ねていく中でどう感じるのか、そう、自分の”社会”での立ち位置が変わったタイミングくらいに再読していくのも面白いのかな、なんて思いながら。
個人的にはふと『燃えよ剣』を再読したくもなる、そんな一冊です。
ちなみに個人的には、推しは増えるもので、減るものでも上書きするものでもない、と、とある血統を追いかけながら。ここ最近だとタイトルホルダーの産駒達が今から既に楽しみです、、3年後くらいからかなぁ。
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