見出し画像

【読書メモ】『セブン・イヤーズ・イン・チベット:チベットの七年』(著:ハインリヒ・ハラー / 訳:福田宏年)

何やら岸田さんの「言いまつがい」を、鬼の首を取ったように「媚中だ!」等々で騒いでいる自称ジャーナリストやその(不)愉快なファンネルたちがいるようですが、、やってることが低レベル(小学校のいじめ)過ぎて、正直食傷気味です(わざわざ記事にするオールドメディア群もアレな気もしますが)。

個人的に、岸田政権になってからの対中強硬の度合が可視化されるたび、むしろ共産中国(CCP)の暴発を呼び込むのではないか、今の段階ではまだ早いよ、なんて危機感を持つくらいなのですが、、

中国が南シナ海でフィリピンなどとの衝突を繰り返していることを踏まえ、共同声明に「最近の中国による危険でエスカレートさせる行動や他国の海洋資源開発を妨害する試みは国際法と整合的ではない」と名指しで批判。「台湾海峡の平和と安定を維持する重要性」も改めて表明した。

出典:「日米首脳、対中念頭に「グローバルパートナー」の連携強化へ 月探査でも協力合意」
(『産経新聞』2024年4月11日)

幅広い電子機器に欠かせない半導体は、中国がシェアを広げつつあり、経済安全保障の観点からも重要性が増しており、日米両国の政府が巨額の補助金を投じて産業の育成を進めている。

次世代半導体の開発に向け、両国の民間部門の「強固な協力を歓迎する」との文言を盛り込み、「レガシー(非先端)」半導体のサプライチェーン(供給網)の強靱(きょうじん)化に取り組むことも明記、中国依存度の低下を進める。

出典:「日米の半導体協力 共同声明で供給網強靱化など明記 中国依存度の低下進める」
(『産経新聞』2024年4月11日)

先の「重要経済安保情報保護・活用法案」の整備とも足並みが揃っていて、表立って立法に動いている政治家の皆さまもですが、恐らくは裏でもいろいろと各国との調整をしている官僚の方々の動きなども想像できて、頼もしくも感じています。

ジュネーブで行われた国連人権理事会の中国に関する第4回普遍的・定期的審査(UPR)において、日本は、「中国の人権状況についての懸念」を表明し、中国政府が「チベット族やウイグル族を含む少数民族の権利を保障し、…香港基本法の下で基本的権利・自由を擁護するとともに一国二制度を強化する」よう求めた。

出典:「日本政府、中国政府による人権侵害について再び懸念表明」
(『Human Rights Watch(公式サイト)』 / 2024年1月31日)

また少し前となりますが、平時は少し懐疑的にみているアレな団体でもある「Human Rights Watch」のサイトでも興味深い記事が出ていました。

こちら、産経新聞さんでは後追いもされているようで、こんな記事も出ていました。

日本で暮らす香港人やチベット人らの団体は、日本政府代表が1月の国連人権理事会の作業部会で中国側に対し、香港やチベット自治区などでの人権状況の改善を勧告したことについて、岸田文雄首相と上川陽子外相に感謝する声明を公表した。

出典:「香港やチベット人団体、岸田文雄首相らに「深い感謝」 国連人権理で日本政府が改善勧告」
(『産経新聞』2024年2月14日)

ざっと、ここ最近の一連の動き・経緯を見るだけでも、間違っても旧民主党(現・立憲民主党)と同じような「媚中政権」なんて評することはできないよなぁ、と思います。

岸田政権、想像以上の成果をたたき出しています、怖いくらいに。実際、共産中国(CCP)からは早速に過剰反応が出ているので、これは効いてるよなぁ、とも実感しています。

なんて風に考えながら、チベットと聞く度に思い出すのが『セブン・イヤーズ・イン・チベット:チベットの七年』との一冊(&映画)だったりします。

ヒマラヤ山脈になぞらえてか、世界の屋根、禁断の秘境、最後の聖地とも称されるチベット。著者であるハインリヒ・ハラー氏が、題名通りにそのチベットで過ごした7年間を記したノンフィクションの一編となります。

登山家であったハラー氏がエベレスト登頂に臨んだタイミングで、英国と独国が交戦状態(第二次世界大戦)に入り、その当時ドイツ人であったが故にイギリスに拘束され、インドの収容所に抑留されます。

その後、収容所を脱走してチベットに向かい、紆余曲折を経て、当時鎖国状態であったチベットに逗留、第二次大戦が終戦を向えても帰国せず、結局はそのまま7年を過ごすことになりました(1944-1951年)。

その中でチベット人として生活を続けるうちに、ダライ・ラマ法王とも親交をかわし、ついには「家庭教師」として、ダライ・ラマ法王と触れ合うことになります。

この関係はダライ・ラマ法王が亡命した後も続いており、終生の友ともいえる間柄とのこと。ちなみにハラー氏は、2006年1月7日に故郷オーストリアにて永眠されています。

そういったチベットでの生活や、チベット人の風習、チベットの原風景、そしてそれらの穏やかさ、美しさが、訥々と語られていきます、決して読みやすくは無いのですが、ついつい引き込まれてしまう何かがありました。

また、なんとも西洋人らしいハラー氏自身の感覚が、徐々に穏やかな価値観へと切り替わっていく、そんな様子も、後年の筆でありながらもストレートに伝わってきて、なかなかに興味深かったのを覚えています。

そんな穏やかで楽園のような生活も、共産中国(CCP)によるチベット侵略で幕を閉じることになります。これは決してフィクションではなく、今現在もそこにある危機であると、折々で思い出させられる一冊です。

なお、ブラッド・ピット氏主演で1997年(日本公開は1998年かな)に映画化もされています。限られた時間の中ですから原作のエッセンスの抽出にとどまっていますが、チベットの美しさを丁寧に表現されているかと、、それだけに共産中国(CCP)による虐殺を伴うチベット侵略の悲惨さがよりいっそう、浮き彫りにもされていますけども。

こちら、定期的に地上波でもやればいいのに、、それこそ公益性を標榜されている「某公共放送」さんとか。早く、公益性の高い天気・災害情報以外の放送についてスクランブル化してくれないかなぁ、、BBCさんと同じように。でないと、やってることは(公益性を欠片も見いだせない)押し売りと変わらないですよ。

まぁ、最近ではウェザーニュースさんがあるので、天気・災害情報での優位性・存在価値も希薄になってきていますけども、これ以上の「情報災害」を引き起こす前に、是非ご対応いただきたいところです(受信料の無駄でしかない)。

ちなみに、今回の訪米に伴う日米首脳共同声明の全文はこちらで確認できます。

分野は幅広く中々の長文ですが、個人的には、、

欧州・大西洋地域とインド太平洋地域の結びつきがかつてなく強くなる中、日米両国は日・北大西洋条約機構(NATO)及び(日本、韓国、豪州、ニュージーランドを含む)NATO・IP4との間のパートナーシップを強化するために引き続き協力していくことを期待する。

我々が直面する課題は地理的側面を超えている。日米両国は、国連憲章を含む国際法を堅持するというコミットメントにおいて揺らぐことなく、全ての加盟国に対し、いかなる国家の領土一体性や政治的独立に対する武力による威嚇又は武力の行使を慎むことを含め、同憲章の目的及び原則を堅持するよう求める。

我々は、常任理事国及び非常任理事国の議席の拡大等を通じ、国連安全保障理事会(安保理)の改革に引き続きコミットしている。バイデン大統領は、改革された国連安保理において日本が常任理事国となることへの支持を改めて表明した。

我々は、インド太平洋における誤解と誤算のリスクを低減し、紛争を防止するため、全ての当事者が開かれた意思疎通のチャンネルと実際的な措置を促進することの重要性を強調する。

我々は特に、首脳レベルを含め、中国との間の率直な意思疎通の重要性を強調し、共通の関心分野において可能な場合に中国と協力する意思を表明する。

出典:「日米首脳共同声明「未来のためのグローバル・パートナー」全文 中国の「危険な行動」に言及」
(『産経新聞』2024年4月11日)

との辺りが印象に残っています。この他、興味深かったのは、AUKUS(オーカス)、キャンプ・デービッドとのフレーズがきちんと使用されていることや、中国、北朝鮮、ロシア、ハマス、イスラエルは名指しもされているあたり。なお、ハマスが絶対的に悪いのは確かだが、イスラエルもやりすぎだから少し落ち着こうぜ的な論旨は、個人的には非常に納得がいくものです。

日本の対外的な元首とみなされる天皇陛下の国賓訪問と区別するため、国家元首の訪問に準じる国賓待遇と説明されている。

訪問するのが国家元首かどうかの違いだが、内容は大きくは変わらない。国家元首の場合、ホワイトハウスでの歓迎式典では21発の礼砲が鳴るが、岸田氏など首脳の場合は19発になっている。

日本の首相の国賓待遇での公式訪米は、2015年の安倍晋三首相(当時)以来。安倍氏の訪米の際も公式夕食会などで歓待を受けた。米政府は、岸田氏を安倍氏と同じ待遇で受け入れたいと伝えてきたという。

出典:「国家元首訪問に準じる「国賓待遇」 岸田首相の歓迎式典礼砲は19発」
(『毎日新聞』2024年4月10日)

そういや、晩餐会などでのバイデン夫妻のドレスコードとかをあげつらって、岸田さんが他国の君主・元首より格下の待遇だ、軽んじられているなんて騒いでいる方々も散見されたのですが、、あくまで日本の元首は「天皇陛下」ですから、他国の元首と比べると事務方TOPとの立ち位置になる総理の待遇が一段下がるのは、むしろ外交儀礼上当たり前の対応だと思います。なので礼砲も19発となっているはずです、、と、どことなく悔しさが滲んでいるようにも見える毎日新聞の記事から(礼砲の数が明示的に出ていたので)。

礼砲(Gun Salute)
 礼砲は、国家の敬礼方式の一つで、要人の公式訪問、軍艦の公式来航などの際、敬意を表するために発する空砲のことです。
 その数は、相手の地位によって異なります。①君主、大統領 21発、②副大統領、首相 19発、③大使、大将 17発。

出典:『[改定新版]国際儀礼に関する12章(2004年発行)』

この記事が参加している募集

#読書感想文

191,135件

#わたしの本棚

18,647件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?