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【読書メモ】『学問のすゝめ(慶應義塾大学出版会版)』(著:福澤諭吉)

さて、息子も大学の大枠の履修登録(今はオンラインで大半が済むので便利ですね)が終わり、授業開始に向けての下準備は、、前日に教科書を買いに行ったりとかイマイチ緩めに始めているようですが、、前期授業も始まりまして、もうここからは自己責任デス。

で、家内も触発されたのか何か勉強(英語とか)を始めたいなぁとか言ってましたが、私も久々に体系的に何かを学びたいなぁ、、とか、社会人向けのオープンキャンパスとか探してみようかなぁ、なんて『学問のすゝめ』の背表紙を眺めながら。

天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず

出典:『学問のすゝめ』

何とも有名なフレーズで始まる一冊。発行当時の前のめりな世相を反映してか、大ベストセラーにもなったそうで。冒頭の言葉、一見するとアレな人権主義者が喜びそうですが、、実際には決して薄っぺらな「平等」をうたっているわけではありません。

賢人と愚人との別は、学ぶと学ばざるとに由て出来る

出典:『学問のすゝめ』

どちらかというと「学問をしないものはアレである」と、なかなかに手厳しく切って捨てています。もちろん「学問の機会」は均等であるべきとを大前提にして、全部で17編に渡り展開されています。

・実学を重視せよ、生活できるように稼いでこそ一人前
・誰が相手であろうと、臆することなくモノ(意見)申せ
・意見を申すには、相手を納得させるだけの「学問(教養)」が大事
・伝える力(スピーチ)は大事なスキル、できて当然
・理解できないのがバカとか、そんなことを言う方がバカ
・現場を知らない学者なんて、似非学者にすぎない
・「国を支えて、国に頼らず」との気概を持つのが本当の学者

今風にまとめるとこんな感じでしょうか、、なんか啓発本的な内容でもありますが、ある意味で煽っているようでもあり、今なら炎上しそうだなぁ、、と思いながらも、当時のベストセラーだったんですよね、これ。

旧来の幕藩体制が崩壊し、新しい時代に突入していた潮目に生きていた、その時代背景と雰囲気を踏まえれば、時代の変わり目においては、このくらいの気宇壮大さはむしろ歓迎されていたのかな、と。

あらゆる可能性があるということは、あらゆる価値観が混在していたということでもあり、その中を泳いでいくには、自分の軸をしっかりと定めた上で、常日頃からの「学び問いかけるとの行為を続けていく」姿勢が大事なのかな、とも。

現代に置き換えてみても、今はまさにその時ではないかとあらためて痛感しています。人はどこでもいつでも、学ぶことができる。それこそ生涯を通して、、その上でそれを伝えていくという「想い」を実現していくのが「学問をする人」なのかな、と、個人的には。

日本において、生涯学習との言葉が定着してきたのは、戦後の高度成長期以降になりますが、その萌芽はもっとはやくからであったのではないかと、そんな風に感じた一冊です。

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