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【読書メモ】『夕凪の街 桜の国』(著:こうの史代)

チャールズ氏は「原爆を落とされて米国への復讐(ふくしゅう)心を抱かなかったか」と質問。小倉さんは「被爆者は生き延びることに精いっぱいだった」と応じた。

出典:「原爆開発者、オッペンハイマー博士の孫が広島へ 被爆者の小倉桂子さんと面会」
(『産経新聞』2024年6月1日)

今年の春先くらいに公開されていた映画『オッペンハイマー』、広島、長崎に投下された原子爆弾(原爆)の開発チームを率いたひとりの物理学者の物語。そちらに関連しての来日とは思いますが、原爆というと思いだすのが『夕凪の街 桜の国』との一冊。

広島における、被爆者とその周辺から始まる物語。やさしいタッチで、穏やかな日々が描き出されていると、思います。それだけに、どうしようもない成り行きが、どうしようもなく、せつなく伝わってきます。

物語の軸は二つの時代、被爆者とその次の世代。

被爆されて、早逝した人も、長生きした人もいる。その生き方や在り様を、一つの枠組みだけで語ることはできない、そんな風にいってしまうのは、戦争を知らない世代の傲慢でしょうか。

子どもに読ませ伝えていくのであれば、、こんな優しいけれど哀しいコトが、まっすぐに伝わってくる物語がよいなと、そう思いながら。

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