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謎の10連休(ショートショート)【音声と文章】

山田ゆり
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※note毎日連続投稿1800日をコミット中! 1720日目。
※聴くだけ・読むだけ・聴きながら読む。どちらでも数分で楽しめます。#ad 




おはようございます。
山田ゆりです。



今回は
謎の10連休(ショートショート)
をお伝えいたします。




今回の年末年始は12月30日から10日間とします


年末年始休暇まであと2週間という時に会社の代表から全従業員へ向けて休暇の件でメールが届いた。

えっ!
ウソ!
今日は4月1日?


いや、外は窓の周りに雪がこびりついている。


これは本当に社長からのメールなのかと真っ先に疑った。

しかし、どうやら本当らしい。


「海外旅行に行ける!」

どうせ行けないのに、そんなことを思って見ていたら、自然に顔がにやけてきた。


しかし、メールを読み進めて行く内にガッカリしてきた。


連休の真ん中で、新年会がホテルで行われる。
特に参加できない人は社長へ理由を提出すること。当日は出勤扱いはしないとのことだ。


つまり、出勤扱いではないが絶対に参加しないといけないという意味だ。

これを10連休と言えるのか?



社外関係者宛ての年末年始休暇のお知らせが配布された。

そこには10連休の大きな文字が記されていた。

それを手渡しすると必ず先方は
「10連休ですか!凄いですねぇ!」と驚く。

実際は、真ん中で強制的に出席する新年会がある、とは、恥ずかしくて言えない。



長期休暇は嬉しいが、素直に喜べない。
外部に対して嘘をついているような後ろめたさを感じるからだ。


果たしてこれを10連休と言えるのだろうか。




新年会はホテルで盛大に行われた。
座るテーブルは入り口でくじを引き決まる形だった。

僕は社長のテーブルの隣のテーブルだった。

乾杯の挨拶が行われ、新年会は始まった。
僕は右手にビール瓶を持ちながら社長の席に近づいた。

社長に新年の挨拶を再びして社長のグラスにビールを注いだ。
大学時代ラグビー部だった社長は今はその面影もなく、タダの太めで体格がいい人になっている。
しかし、威圧感は十分あり、細めの僕が傍に立つと、獲物に睨まれた小鹿のように感じた。



社長に挨拶を終え、自分のテーブルに座った。
テーブルには前菜として「赤魚茸みそ焼き」と「紅白なます」が運ばれてきた。


僕はのんびりとそれを味わった。
その後、僕は同僚の高橋のところに行き長々と話をした。


高橋は一瞬小声で
「実は俺、今日、来たくなかったんだ。」と言っていた。

それを聞いた周りの人も
「俺もだ」「そうそう」
と口々に言っていた。


新年会には随分とお金をかけているというのが伝わってくる。


こんなことするよりも、僕たちのボーナスを多くしてくれた方が嬉しいのにと、口々に言い合った。




何はともあれ、義務の新年会はお開きになった。

休みの半分、あとどう過ごそうか。
独身の僕はなんでもできる。
どこでも行ける。


自由なのにその自由を満喫するすべを知らない。
こんなに長く休めるのに。


どうしようか?



僕はとりあえず身体を動かしてみることに決め、ジムに通い始めた。


入り口で手続きを済ませトレーニングルームをぐるりと見回す。
ランニングの機械で耳にイヤホンをし、長い髪を高い位置に結んだ女性がいた。




僕はそれから毎日そのジムに通うようになった。
謎の10連休は新しい僕の始まりのきっかけになった。







今回は
謎の10連休(ショートショート)
をお伝えいたしました。


本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。 

ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。

山田ゆりでした。








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