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高校3年生ののり子は就職試験を受けるために寝台列車に乗り、上野に向かった。

当時、新幹線はまだなかったから大都会の東京に行くには寝台列車が主流だった。


のり子の学校からは3人がその会社の就職試験を受けることになり一緒に東京へ試験を受けに行った。

のり子達が寝台列車に乗り込もうとしたら遠くに学生服姿の集団が目に入った。地元でスポーツ校として有名な学校の生徒達だった。

5~6人の彼女たちは

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のり子の学校は2年生の時に就職と進学のそれぞれの進路ごとにクラス替えが行われた。

のり子は母親から、「その高校に入り、そして電電公社に就職してほしい」と言われていて、何の疑問も持たずに自分はそうなろうと思っていた。


なぜ、のり子の母親はそう言っていたのか。


のり子の家はとても貧乏だった。のり子の家は、両親と姉と弟との5人家族だった。

お米の専業農家だった父は田植えと稲刈りの時期以外は

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入学したら部活動は必ず入るもので、入部したら絶対に辞めずに卒業まで続ける事。

のり子の当時の常識はそうだった。
だからのり子は部活に入ることは当たり前だった。


校門に入ると上級生が待ち構えていた。「合唱部に入りませんか?」
漫画でこういう「部員の客引き」の図を見たことはあったが、その光景を実際に目にすることは、のり子は今までなかったので、「へー、高校って大人の世界だなぁ」と感じた。

部活の

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