一枚の紙切れに、半生を綴る。生年月日、出身校に出身校、資格や特技。震える手で歪む文字は心情を写し出す。志望理由の項目だけ、空欄のままだ。体裁の良い文章か本音の言葉か。正解は分かっているのに悩んでいる。どうしたもんか。ハンガーに掛かったスーツを見つめ、嘘が上手くなったかなと呟いた。

画像1 【140字小説21】

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