見出し画像

Jリーグ14万人無料観客招待キャンペーンは是か非か?前向きなアイデアをファンベース的に考えてみる


(4月21日追記)
リーグ側から、無料招待についてこのような戦略が発表されました。

ターゲット…
戦略…
ファン・サポーターも数値のひとつとして見ているんだろうなあ。
感情の部分は見てくれていないのだろうなあ。

うーん。



・・・・・・・・・・・・・

最近、テレビCMでJリーグのことをよく見かけるようになった。


今年は、リーグ開始から30周年という記念の年。
リーグ側もプロモーションに気合いが入っているのかもしれない。


でも・・・
このCMの内容が、これまでずっとJリーグを応援してきたサポーター的に少し引っ掛かるのだ。


https://www.jleague.jp/special/gw2023/other/ 


ゴールデンウィークにJリーグへ遊びに行こう!
全国で140,000人を無料でご招待!

どうやら、リーグ主導で新規の観客の大規模招待を仕掛けているらしいのだ。
昨年末のワールドカップの盛り上がりもあって、サッカーに興味を持った人も多くいるに違いない。
その方たちに観戦機会を設けることで、新しいファン・サポーターになってもらえることにつながると考えているのだろう。

リーグにとっても、各クラブにとっても、いい取り組みであるに違いない。


でも・・・
うまく言えないけれど、この大規模無料招待に引っ掛かる部分があるのだ。

それは、感覚的なものなのかもしれない。
でも、このまま心の中でうやむやにしておくのも嫌だ。


そこで、自分なりに、今回の無料招待キャンペーンのメリット、デメリットを考えてみることにする。



1.無料招待のメリット

❶新規の観客にスタジアムで観戦をしてもらえる。

昨年末のワールドカップの盛り上がりもあって、サッカーに興味を持った人も多くいる。この方々を国内のリーグにも興味を持って観てもらうことで、新しいファン・サポーターを獲得できるのではないだろうか。
また、過去に観戦経験がある方も、これを機に再度観戦をしてもらえるかもしれない。



❷来場者数が増え、満員のスタジアムで盛り上がることができる。

ゴールデンウィークとはいえ、現状ではスタジアムを満員にできないクラブは多いと思う。
無料招待をすることで、満員かそれに近いスタジアムを作りだすことができるかもしれない。

そうすれば、クラブやリーグとしても観客動員数も増えることになるし、プレーする選手たちも嬉しいだろうし、気持ちよくプレーできるだろう。
観客が増えれば広告の露出なども増えることになり、結果としてスポンサー企業を集めやすくなるかもしれない。


❸JリーグID登録者数が増え、多くの方に情報を伝えることができる。

今回の応募条件には、JリーグIDを登録することが入っている。

JリーグIDを登録してもらえれば、リーグ側から様々な情報をつながっている人に送ることができる。登録数は定量的な成果として現れるので、今回のキャンペーンのKPI(重要達成度指標)としても使うことができる。
企画を考え進めていく上ではとても大事なことなのだろう。



2.無料招待のデメリット

❶ライトな観客が増えて、相対的にスタジアムの熱量が低めになる。

今回の招待チケットは、席種もバラバラに設定されている。
その中には、もっとも熱い応援をするゴール裏などの座席も含まれていたりする。
初めての方が、このような座席に入ることは応援の熱を薄めることにつながるかもしれない。
スタジアムに観客は多いけれど熱量はそこまでになっていないという状況が発生する可能性がありえるのである。


❷既にチケットを購入しているファン・サポーターがいる。

既に試合のチケットを購入しているファン・サポーターは多いと思う。また、年間シートなどを購入している熱量の高いサポーターも多い。
同じ座席が後出しで、しかも無料で配布されるということを知って、この方たちはどう思うだろうか。

もしかしたら損をしてしまったと思うかもしれない。普段から支えてくれているファン・サポーターをガッカリさせてしまうことはキャンペーンの設計としていいものなのだろうか。


❸無料で観戦をした人が、その後に有料のチケットを購入して継続的に観戦をしてもらえるのかわからない。

無料のチケットと有料のチケットを比較した場合、やはり無料でもらったチケットで観戦ほうが思い入れも下がるし、気持ちのノリも落ちるだろう。

一度、無料で観戦してしまうとその試合の価値は安いものになる。
もし試合を見て魅力を感じて、その後、有料で試合を見ようとしても、必要以上に高いと感じてしまうのでないだろうか。



3.先週末の試合では、雨の中多くのサポーターが集まった


先週の土曜日に行われた埼玉スタジアムでの浦和レッズvsコンサドーレ札幌の試合。

朝から降り続く大雨の中、多くのファン・サポーターがするクラブを応援するため、スタジアムに駆けつけた。


「URAWA」
雨の中でも、美しいビジュアルを作って盛り上げる。


この日は、全国的に雨。 
他の試合会場でも雨の中、熱い試合が繰り広げられていた。

こういう試合を観ると、Jリーグは、熱いファン・サポーターたちがいて、その方たちと一緒に進んでいることがよくわかる。


もし・・
ゴールデンウィークに雨が降ったら、無料で招待した人たちはスタジアムに来てくれるのだろうか。
観戦を楽しんでくれるのだろうか。




4.この無料招待キャンペーンをどのように進めていけば良かったのだろうか


勘違いをして欲しくない。

無料招待キャンペーンが嫌だから、この記事を書いているわけではない。
その内容や進め方に足りない部分があるように感じているから、それがなにかを整理するために書いているのだ。


では、どのようにこの無料招待キャンペーンを設計し、進めていったらよかったのだろう。

そのヒントになるのがファンベースという考え方だと思う。

ファンベース

ファンを大切にし、ファンをベースにして、中長期的に売上や事業価値を高める考え方。

企業やブランドが大切にしている価値を支持してくれるのがファンであり、その価値がどういうものかはファンが知っている。


ファンベースの考え方に基づくと、今熱く応援をしてくれて、クラブを支えてくれているファン・サポーターにそのクラブのいいところを聞き、そして一緒に課題を捉え、解決に向かって進んでいけばいいということになる。




5.ファンベースの考え方に基づいた無料招待キャンペーンのアイデア


👉ファン・サポータに無料招待券を渡して、周りの人を誘ってもらう

そのクラブの良さや観戦の楽しさを誰よりも知っているのは、ファン・サポーターである。

類は友を呼ぶということわざがあるが、その方の周りには、同じようにその良さを理解してくれる人が多いはず。また、テレビやネットの情報よりも、家族や友人と言った身近な人のクチコミがいちばんというデータもある。

つまり、テレビCMで大きな層にざっくり呼びかけるよりも、今支えてくれているファンやサポーターを通じて、スタジアム観戦の良さを感じてもらえるように周りを誘ってもらうほうがいいのである。

どんなに口達者なYoutuberよりも、本当に観戦の面白さを知っているファン・サポーターのほうが何倍も面白く誘うことができるはずだ。

もちろん、大切なことがある。
協力してもらうファン・サポーターにこの無料招待キャンペーンの趣旨をきちんと伝えて、理解してもらうことだ。
なぜ、この無料招待キャンペーンを行うのか。
自分たちのクラブには、どのような人たちを誘って欲しいか。
なぜ、ファン・サポーターに協力をお願いをするのか。

これをしっかりと伝えることができれば、ファン・サポーターはちゃんと動いてくれる。クラブやリーグのためにできることをそれぞれがやってくれる。

もっとファンやサポーターのことを信じてもらいたい。


👉観戦に招待するだけではなく、スタジアムの素晴らしさをファン・サポーターから伝えてもらう場を設ける

新規のお客さんに無料招待券を配布して、観戦をしてもらい、その結果、ファンやサポーターになってくれる可能性はあるのだろうか。

サッカーは勝ち負けのあるスポーツだ。無料招待券で観戦した試合で負けることだってある。その場合、次の試合を見たいと思うのだろうか。

ファン・サポーターからすると、スタジアム観戦は本当に魅力に溢れている。けっして勝ち負けだけの面白さではない。

例えばだけど、試合の前にその面白さをファン・サポーターが熱く語る「伝える会」を設けることはできないだろうか。

リアルでもオンラインでもいい。無料招待券が当選した方に集まってもらい、そのクラブを心から愛しているファン・サポーターの方々から、観戦のルールや楽しみ方、クラブの理念、応援やチャントの仕方、選手の特徴、おすすめのスタジアムグルメなどの話をしてもらうのはどうだろうか。
ファン・サポーターの目線から話をしてもらうことで、新規で観戦される方にも距離を近く感じてもらうことができる。

Jリーグの各クラブのファン・サポーターはおせっかいの人が多い。このような方々に協力を要請すれば、各クラブごとに特徴のある「伝える会」が開催できるのではないだろうか。

その様子を動画などで他のクラブと比べ合っても面白いかもしれない。


(クラブや応援のことを、ファン・サポーターから伝える場を作れば、スタジアム観戦がより楽しくなる)


(4月20日追記)
この記事のコメント欄でも、このあたりのアイデアを考えてみました〜
クラブごとに特色が出る方が面白いですよね。


せっかくやるのならば、昔ながらのやり方ではなく、もっともっと考え抜いてやるべきかなと思ってます。

松本山雅がどうしてJ3なのにあんなに熱いサポーターがついているのか。を考えていくと答えが見えてくるような気がしています。
例えば、無料観戦に行く前に集まってもらって山雅の映画を見る上映会をやるとか、前日まで使える喫茶山雅のコーヒー券をつけてみるとか…
そのクラブの良さに触れる機会を観戦のジャーニーに設けるのがいいかなと思います。



6.最後に


Jリーグは今年、30周年の記念の年だ。
もっともっと盛り上がって欲しいとファン・サポーターなら誰しも思っている。

だから…
今支えてくれているファン・サポーターをもっと信じてほしい。

単純に招待券を配って新規を集めるということではなく、ファン・サポーターのチカラを借りながら、周りに魅力を伝え広げていくこと。

30周年という年が、みんなの記憶に残る素晴らしい年になることを願っている。

・・・・・・・・・・


このマガジンでは、今年もスポーツファンの熱量を高め、熱狂のスタジアムを作っていくことを書いています。



過去の記事もどうぞ。




#日記 #エッセイ #コラム #Jリーグ #スポーツ#サッカー#サポーター#応援#ファン#スポーツマーケティング#スタジアム#浦和レッズ


ファンベースデザイナー、地域創生プロデューサーなどしてます。 おむすびnoteを毎日書いてたり、浦和レッズを応援したり… みんなが、好きなこと、応援したいことを素直に言える世の中にしたいなあ。 皆さんと、いろいろなコラボをしたいです! ぜひぜひご連絡ください!