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4スタンス理論は科学か宗教か -完結編-


はじめまして。本題より無駄話の方が長いもっちです。

長々と書いてきたこのテーマもついに完結編です。今回も有料部分含め理論解説は一切ありません

※この記事では一般の方に分かりやすくするため、REASH理論全般を指して4スタンス理論と呼んでいます。

科学編はこちら
宗教編はこちら


はじめに

宗教編の後半(有料部分)で「世の中の指導法ってほとんどが宗教なんじゃないの」という話を書きました。

自分の経験則だけで指導したり、生徒の伸び悩みを才能のせいにしたり。ひどい場合には派閥があって、あの人の教え方は間違ってる!と大声で言う人がいたり。

どの先生も素晴らしい実績をもち、教え子がちゃんと活躍しています。にもかかわらず教え方が間違っていると言う人がいるのです。

極論、100人を切り捨てたとしてもチャンピオンを1人育てれば優秀な指導者と呼ばれる世界です。指導者の良しあしはいったい何が決めるのでしょうか。

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指導法の乱立はある種の宗教戦争

学問を元に提唱されたものから個人が言い始めたものまで、世の中にはたくさんの指導法(方法論)があふれています。どれが正しいかは今回のテーマじゃないので置いといて、それぞれ一定数のフォロワーがいて実際に成果を出しています。

おもしろい(生徒にとっては笑えない)ことに同じスクールでも先生によって意見が違い、陰では他の先生のやり方を批判している、なんてこともあるので大変です。

吹奏楽部出身の方はこんな話を聞いたことあると思います。

・サックスのマウスピース(吹き口)は噛む?噛まない?
・トランペットは口に押し付ける?押し付けない?
・楽器を口に当てる位置は真ん中じゃないとダメ?

スポーツも同じです。
例えば野球では桑田真澄氏がデータを基にプロ選手の動きを実際に示すまで、「ピッチャーの右肩は下がってはいけない」が割と広く信じられてきました。今でも信じている人が結構いるかもしれません。

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人は初めて見る情報を目にしたとき、「知らないものを恐れる」本能によって自然と否定したくなります。

怖いと嫌いは結構近い感情なんですね。
一種の「正常性バイアス」によって自分の知識は絶対正しいと思い込み、異論に対してつい攻撃的になってしまうことは誰にでもあります。

もちろんそれは悪いことではありません。正常性バイアスが強い人は我慢強い人でもあります。上手くいかなくてくじけそうなとき、もう少し頑張ろうと努力できるからこそ成功する人もたくさんいます。

まじめで堅実な仕事が強みの人も正常性バイアスが強い場合が多いです。逆に上手くいかない時にどんどん方法や目標を変えることで成功する人もいます。良いか悪いかではなく個性に近いですね。

ちなみに歴史において宗教戦争と呼ばれるもののうち、実際に宗教が原因なことはほとんどありません。元々は土地が欲しかったりお金が欲しかったり、単純にあいつらムカつく!だったりが始まりで、宗教の違いを理由として後からこじつけていることが多いです。

自分と異なる指導法を目にして否定したくなった場合、本当に根拠があって否定しようと思っているのか、ただの正常性バイアスなのか、もしかして自分の飯のタネを奪い合ってるだけじゃないか、など考えてみるのも面白いかもしれません。

私が4スタンス理論のトレーナーになって一番よかったと感じるのは、学べる範囲が広くなったことです。実は様々なメソッドの専門家の先生と対談をしているのですが、根底にある考え方や感覚を理解できるようになったのは4スタンス理論を専門的に学んだおかげでもあります。


本来の宗教は身内に厳しくよそ者に優しい

皆さんはロジャー・ウィリアムズという人物をご存じでしょうか。イギリス生まれの神学者で、1603年に生まれました。「政教分離(=政治と宗教は分けましょうね)」を提唱した人です。

なんとなく中学校の公民で習った覚えがあるかもしれません。宗教団体が政治すると思想が偏っちゃうからダメだよってやつですね。

ちなみに1603年と言えば日本では江戸時代が始まった年です。もちろん日本ではまだ政教分離の概念など生まれておらず、徳川一族も日光東照宮をシンボルにしたように宗教を政治利用していました。

さて、ロジャー・ウィリアムズは厳格なピューリタン(熱心に宗教を信じて規律を守る人)で、上司に対しても違うと思えばめちゃめちゃ反抗するすごい堅物だったと言われています。

しかしこの人、異教徒にはめちゃくちゃ優しくて慕われていたのです。宗教が違うはずの先住民たちと仲良くして土地売買の契約まで取り付けてしまう程です。

これは日本のウチソト論に近いものがあります。日本に旅行に来た外国人の方々は日本人のやさしさとおもてなしにとても驚きます。しかし、そのイメージで日本に移住してみると手のひらを返されます。

日本の慣習を知らない外国人は近隣住民からあまり声もかけられず、急に冷たくされたように感じてしまうというのです。

たとえば道を尋ねてきたのが日本人ではなく外国人旅行客ならわりと警戒感なく助けようとおもっちゃうアレです。

もっと身近な例では、お仕事で身内が失敗したらすごく怒るけど取引先の人が失敗したら「1回くらいはまあいっか」となるのも典型例です。

こういうのも広義の宗教的思想で、完全な異教徒・異人に対しては人々は寛容になれるのです。それこそ全然しらないスポーツで不思議理論が展開されていてもあまり気にならないですよね。

4スタンス理論ではタイプ別の解析が詳しいためそのあたりが徹底されています。たとえば別の理論やメソッドを聞いたときに「これはA1タイプの人に特に良い練習法だな」と分かるので、短絡的に批判・否定しなくて良くなるというメリットがあります。


スポーツはもっとドライになっていく

スポーツはみなさんご存じのとおり代理戦争です。選手の汗と涙の結晶なんて綺麗な側面ばかりではありません。

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