国語を学ぶ会
3月例会は本校を会場校として実施しました。
佐野先生はじめ、ご来校いただいた各位、誠にありがとうございました。釧路、函館からも参加がありました。
十勝地区からの参加ももっと増えるようにまた機会がありましたら、広報活動に力を入れたいと思います。
三本の発表と濃密な討論から多くの学びを得ることができました。
千葉大学名誉教授の首藤先生から国語を楽しく学ぶために必要な考え方や実践の方法についてレクチャーしていただきました。
「習っていない漢字を書いてはいけない」「想定していない活動は許さない」ではなく、生徒の自由な学びを保証することがまず大事なのかなと思いました。
「同時異学習は指導案も使わない」大変共感します。個別最適化された学びは想定できない活動を子どもがすることになります。教師側に原案・腹案はあってもいいと思いますが、それにとらわれないようにしなくてはならないと思います。同時異学習の教室では、教師も学び手の一人になるのかもしれないなと思いました。
そのような教室において、学習者が「寝る」「窓の外を見る」なんていう行動も許容するという考え方に、私は大変共感いたします。本当の主体性は、何かのきっかけで、ある瞬間に発揮されるものです。無理やり出されるものではないと思います。無理やり出されるものは、誰かの意に添うように自分の意に反して発揮されるものです。その訓練を積むから自分の主体性を押し殺す大人が育つのでしょう。
教師が望む形にはまっていくのではなく、自分の学びたいことを学ぶ。教師が学びや課題について広く深く理解しているからこそ、そのような学習体制を用意してあげられるのかなとも思いました。
私は受験問題の解き方に造詣が深くないので、その練習をしなくてはという不安にさいなまれ、まいったをしそうになることもあります。しかし、挫けずに国語を楽しく学ぶ仕掛けも考えて実践していきたいと思いました。
国語科は日本においてどの教科よりも教科融合的になる可能性を持った教科だと思います。
学びが育つ遊び、素晴らしいテーマです。受験がある学校では、苦手科目や興味のない分野の勉強は苦行だと割り切っているところがあります。興味がない分野があって当たり前ですが、やらざるを得なくなる仕組みがあります。しかし、学びそのものは本来楽しい。これは実感として思います。学びを楽しいものとして、向き合うことができるような世の中になってほしいと常々思います。
質問にお答えいただく中で、「教師の暇を増やすのがいい教員を増やすには大事」と言うお言葉がありました。学校は、授業の拘束時間を増やし、会議や分掌業務を当て、「無駄なく」働き続けるように職場がデザインされています。
思えば、休憩しすぎる公務員や休み時間に休むようにみえた教員の姿を、メディアが叩いた時期があったように思います。その影響で、必要以上にいろんなものが削られているのでしょう。自分より楽しそうな人を許せない人の声は大きいことが多いものなと思いました。
帯広三条高等学校の山崎先生より、古典の見方・考え方の拡張とグローバルな教材、文化相対化の題材としての古典の可能性についてお話しを伺うことができました。
自身のテーマに日本語による国際交流の可能性についての考え方がありますので、大変興味深く拝聴しました。
源氏物語の価値観は世界では受け入れられにくいというお話を伺いました。多様性を受け入れるのがこれからの世界のあり方です。
空間を超えた多様性のほか、時間を超えた多様性もあるように思いました。本来古典作品の学習は時間を超えた多様性との出会いです。人殺しを美学ととらえる世界に生きる人。雅の世界に生きる人。その外で苦しい生活をする人たち。歴史の転換点で活躍する人たち。そのような人々と時空を超えて教えを乞うことができるのが古典教育なのかと再確認しました。
その意味で、現在の古典教育の問題点として、受験しかモチベーションがないかのように錯覚しているところがあるように感じます。受験がなくても学問をなくさなければいいだけだと思います。本当に価値があるものならなくなりません。ただし、国民全員が技術の完全習得を目指す類のものではないので、文化の提示と、興味を持った人が極めるための道を作るのが、ゆく先なのかなと思います。
これは現在学ばれているあらゆることに共通の課題だと思います。
私の研究テーマであるアイヌ民族の文学作品の紹介もさせていただきました。全国の有識者から応援と助言を賜りました。
日本に住まう様々な民族の文化を提示することが学問の責任でもあるのかもしれません。古典、言語文化は今ある形だけではないことを顕在化させていく活動にもなるのかなと感じております。
探究意欲が刺激される素晴らしい作品を多数紹介させていただくことができました。
編集者の方とつながり、全国にアイヌ民族の文学作品を読み、学んでもらえる日を夢見てがんばります。
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