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東芝グループとしてスタートアップ企業に寄与できることは?-「100 Give, 1 Take」の気持ちを大切に。

私たちは東芝グループのオープンイノベーション活動にも積極的に参加しています。東芝グループとしての新規事業創出に向けた取り組みを少しご紹介させていただきたく、今回はゲストをお招きしました。

この度2021年3月に行われたPlug and Play Japan主催の「Winter/Spring 2021 Summit(※1)」で、東芝が「Ecosystem Builder Award」を受賞したということで、東芝グループのオープンイノベーションを推進している相澤宏行さんにnote担当上野がいろいろとお話を聞いてみることにしました。
(東芝はPlug and Play Japanとパートナーシップ契約を結んでおり、東芝テックも東芝グループとして連携してプログラムに参加しています)

(※1)シリコンバレー発グローバルVCアクセラレーターの日本法人Plug and Play Japanが開催した、スタートアップ企業と大企業の共創を生み出すカンファレンスイベント。

東芝が受賞した「Ecosystem Builder Award」ってどんなもの?

上野:相澤さん、“Ecosystem Builder Award”受賞、おめでとうございます。今回受賞されたAwardについて、もう少しどんなものか教えていただけますか?ちなみに、他にはどういう企業が受賞されたのでしょうか?

相澤:約40社の大企業の中で1〜2社しかもらえないもので、今回は東芝1社のみのようです。受賞のポイントを伺ってみたところ「東芝はいろいろな施策を有機的に結合させて、点ではなく面でスタートアップと連携している」というコメントを頂きました。

おそらく、「ifLink」のようなオープンコミュニティや、昨年も18社ほど採択した「Toshiba OPEN INNOVATION PROGRAM」などを実施する中で、Toshiba OPEN INNOVATION PROGRAMに応募したスタートアップ企業がifLinkに繋がったり、Toshiba Open Innovation Programに参加してくださったスタートアップ企業がPlug and Play Japanのプログラムに応募されるといった動きがありました。

そのような取り組みを評価していただけたようです。ひとえにPlug and Play Japanをはじめとする様々なパートナー企業、スタートアップ企業、そして東芝グループの仲間たちの協力のおかげですね。

スタートアップの情報を「必要としている人」へ届けることが大切

上野:東芝オープンイノベーションコミュニティ(※2)には私たち東芝テックも参加させてもらっていますが、まわりの人たちを巻き込む力、仲間が増えていく勢いがすごいですよね。私たちCVCチームも社内の仲間を増やす方法を模索中なので、相澤さんがどうやっているのかをお聞きしたいと思っていました。

(※2)東芝グループ内でオープンイノベーション活動等に興味のある人が参加するコミュニティ。横断的に情報共有することができます。

相澤:レスポンスはまちまちですよ。例えばPlug and Play Japanのプログラムでヒアリングシートへの記入をお願いしたとき、上野さんみたいに期日前にびっしり書いて送ってくれる方もいれば(笑)、リソース不足でなかなか返信ができない方もいると思います。でも、僕はそれでいいと思っているんです。なぜならば、スタートアップ連携の情報は本当に必要だと思ってくれる人に持っていかなければ意味がないからです。

上野:確かに、CVCのコミュニティも、私たちの活動に関心がある人を集めるために始めたものなので、興味がある人に情報を届けることが大切だと思っています。

相澤:私たちのプロジェクトで一貫しているコンセプトは、自発的に変化を生み出そうとしている人たちに情報や道具をお渡しして、持ち帰って育てていただくということ。熱意や興味がある人に対しては熱烈にサポートしますが、主体性を大切にしています。

一方でゆるく繋がっておくことも大事にしています。忙しいときは対応できなくても、必要になったら動き出せるように話だけは聞いておいてもらう。定例ミーティングの資料は広くお配りして、全体としてどんな取組みをしているか、常に丁寧にお伝えするようにしています。

上野:おっしゃること、良く分かります。とはいえ、興味がある人たち全員にまだ届いていないかもしれないという思いから、私たちの場合はセミナーを開催したり、こちらから定期的に情報発信できる場を作ってみました。

相澤:良い取り組みですよね。東芝オープンイノベーションコミュニティも、最初は10人ぐらいでした。そこから関心のある人をオープンに受け入れていき、徐々に仲間が増えていきました。そういう人たちと緩やかに繋がると、そのまわりの人たちにも情報が届くようになるんです。このような活動は、小さな成功を積み重ねていくことに尽きると思います。

「100 Give」の先に、新規事業創出がある

上野:ところで、東芝グループには東芝テックも含めて多くの分社会社がありますよね。スタートアップ企業からすると、分かりにくいような気がしますが、実際はどうですか?

相澤:みなさん、混乱しています(笑)。でも逆にピンポイントで「東芝テックを紹介してほしい」と指名してくださるケースもありました。実際に応募書類を見ると、東芝テックの事業のことをよく理解されていたりするので、その場合はこちらとしても紹介しやすいですよね。

上野:確かにそうでしたね。またそういうケースがありましたらお声がけください。ところで相澤さんは、スタートアップ企業にどんなことを期待していますか?

相澤:大きく3つありますね、一つは“スピード”。東芝の中だけで進めるよりも、短期間で成果を出そうと必死に取り組むスタートアップ企業と連携することで、私たちも必然的にスピードアップできるのではないかと思っています。そういう存在が東芝には必要ですね。

次に、“商売のセンス”。東芝は技術開発や研究分野に関しては世界に誇れるものがありますが、商売という観点ではスタートアップ企業から学べることがたくさんあると思っています。例えば、お客様の悩みを解決する技術を素早く実装してビジネス化するセンス、お客様の困りごとから必要なソリューションを見出すセンスですね。

それから、“ビジネスに対する真剣さや覚悟”。そこに関しては本当に学ぶことしかないと思っています。

上野:確かに、スタートアップ企業の方々のビジネスに対する姿勢は一緒に取り組む上でとても良い刺激になると思います。

相澤:実際に多くの学びと刺激を得られていますが、一方で東芝の立場としては、「100 Give, 1 Take」の精神を忘れないようにしています。これは組織としての総意ではなく、個人のスタンスとして大切にしていることです。当然ながら我々のほうが会社の規模が大きく、持っているものもたくさんあります。その立場の人たちがスタートアップ企業から数多く搾取するようなことがあっては絶対にならない。少なくとも私が関わるプロジェクトでは「100 Give, 1 Take」を心がけています

上野:Award授賞式で、モデレーターの方が「相澤さんが社内外の連携や橋渡しを熱心にしてくださったと、スタートアップの方々から声が挙がっている」とお話しされていたのが印象的でした。今の話を伺ってみても、スタートアップ企業を応援したいという気持ちがひしひしと伝わってきます。

相澤:特にシードやアーリーステージのスタートアップ企業とは、1回のコミュニケーションではなく、長くお付き合いをする中で投資や協業を模索するケースが多いです。その関係づくりの第一歩である窓口は、スタートアップ側に立つべきだと思っています。

上野:私たちもスタートアップの成長支援を第一に考えて、彼らが成功した先に新規事業の創出があると考えています。CVCはタイミングやスコープが重要なので、その時は投資に至らなくても、お互いにコミュニケーションを続けていく中で状況が変わるケースもあると思うので、オープンマインドで連携を続けていけると良いですよね。

相澤:もちろん、ビジネスなので「売上」もシビアに考えなければなりませんが、同時に「企業価値の向上」という観点で我々の活動が寄与できることもあると思っています。先進的なスタートアップ企業と、先進的な領域にチャレンジしている企業であることを、東芝グループ全体としてより強く発信していきたいと考えています。

上野:それは是非!私たち東芝テックCVCも一緒に取り組みさせていただきいと思います。

今日はありがとうございました。

【プロフィール紹介】
相澤 宏行
株式会社東芝
CPS×デザイン部CPS戦略室 エキスパート

大手Sler、電機メーカー、精密機械メーカーで新規事業の立ち上げ、コンサルティング、経営企画スタッフ、CVC運営などに従事。東芝入社後は、グループ全体に向けたオープンイノベーションを推進している。

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