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アーリーステージのスタートアップと連携するために私たちが心掛けていること
前回の座談会では東芝テックCVCがアーリーステージのスタートアップへ投資をする際のシナジーの捉え方や提供できる価値について投資チームに話を聞きました。
今回はアーリーステージのスタートアップのバリュエーション評価や事業の途中でピボットするケースについて投資する側の視点でどう捉えているのか、もう少し突っ込んだ話を投資チームのみんな(鳥井、小澤、吉村)に聞いてみたいと思います。
アーリーステージに高いバリュエーションがつくことのリスクとは?
最初にお聞きしたいテーマは、「フィナンシャルリターンについて」です。事業会社の投資というとフィナンシャルリターンのイメージがあまりないのですが、そのあたりはどう考えていますか?
小澤:前提として東芝テックはファンドではないので、フィナンシャルリターンが最重要項目ということはありません。もちろん、求めないことはないのですが、ゴールはさまざまです。
それに、これはよく言われることなのですが、基本的に成長しているスタートアップ企業と取り組んでいれば“フィンシャルリターンはついてくる”と思っています。
鳥井:そうですね、CVC投資をするからにはフィナンシャルリターンも意識しますという位置づけ。結局のところフィナンシャルリターンが得られないと、CVCとしての継続的な投資活動ができなくなってしまうので、各ステージに合った投資ハードルレートは設定して見るようにしています。
投資先企業の成長は、大きく2つの種類があると考えます。一つは、我々がそこまで深く介入することなく自力で成長し企業価値が上がること。
もう一つは、協業することで事業シナジーなどが生まれて共に成長していく、投資先企業の事業成長を加速させて企業価値向上に貢献できるケース。
どちらか一方だけではなく、投資時点では両方のケースを想定して投資検討を行います。
フィナンシャルリターンの話に関連して、アーリーステージのスタートアップに対するバリュエーションについてはどんなスタンスですか?シード期にCVCが高いバリュエーションをつけてしまい、その後のステージで苦労するというお話もあるようですが。
吉村:事業シナジーありきのCVCが現実的にはまだ多い中で、事業会社がつけたバリュエーションが客観的に必ずしも正しいとは限りません。シード期に高いバリュエーションがつくと、次のステージに進むときに相応の事業成果を示せないといけないので、実態と合っていないために苦労するケースがあります。
小澤:事業会社やCVCだけに話を聞いた場合、バリュエーションの議論よりも事業や技術の内容になってしまいがちなので、客観的にVCがどう見ているのかセカンドオピニオンみたいに聞いてみるのは良いと思いますね。
鳥井:1社からつけてもらった高いバリュエーションを鵜呑みにするのは避けたほうが良いと思います。資金調達をするときはVC、CVC両方の話を聞いて、自分たちの正しい企業価値を見据え、適正な資金調達を行うべきだと思います。
高いバリュエーションで調達するリスクを起業家には知っておいていただいたほうが良いと思います。あとで苦労する可能性がリスクとしてありますから。
なるほど、バリュエーションを評価する際に“客観性”が重要ということですね
ピボットも許容する。一緒に型を作っていきたい
もう一つ、気になることがあります。アーリーステージはまだ事業戦略が固まっていないので、途中でピボットするケースも往々にしてあると思いますが、それは大丈夫でしょうか?
鳥井:アーリーステージのスタートアップ企業にとって、生き残ることや成長するためにピボットすることも時には必要になります。
なので、必要に応じて当然ピボットは許容しないといけないと思っています。そのため投資当初から過大なストラテジックリターンを見込んだ高いバリュエーションをつけたり、事業の方向性をロックしたりというスタンスはとらないようにしています。
バリエーションに関しては、その後の資金調達ラウンドを見据えて、今後はいってこられるVCを含む投資家の視点も意識してお話をさせていただくようにしています。先ほども話した通り、高いバリュエーションを付けてしまってその時は良いかもしれませんが、次の資金調達の時に苦労するのは起業家だと思いますので。
吉村:我々の立場としては、ピボットすることも前向きに捉えて、スタートアップの状況に応じて柔軟に対応することが大事ですよね。
小澤:はい、ピボットも念頭に置きながらベストな連携の仕方を一緒に考えていきたいので、そこはご心配なく相談していただければと思います。
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CVC立ち上げから2年。私たちのプロジェクトも、まだまだスタートしたばかりです。大きな夢を描くアーリーステージのみなさんと、Win-Winの関係を築きながら一緒に成長していきたいと思います。
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