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投資先支援プロジェクト:プロジェクト開始から3か月。大企業がなぜスピード感をもって取り組めたのか?

先日、出資先との「裾野市×トラジェクトリー×東芝テック」の共同プロジェクトを紹介しましたが、今回はプロジェクトがひと段落したタイミングということで、プロジェクト推進主要メンバー(勝又、南日)と投資担当の鳥井を交えた振り返りの座談会を実施。投資先スタートアップ企業とのプロジェクト立ち上げの経緯から今後の方向性まで聞いてみました。

※プロジェクトのレポート記事はこちらをご覧ください

スタートアップ企業とのプロジェクトってどうやって始まるの?

トラジェクトリーに東芝テックが出資後、短期間でプロジェクトを実施したと思いますが、「CVC投資=すぐに協業スタート」となるのが普通なんでしょうか?

南日:今回、私たちは可能性を広く探るため東芝本社とも連携してドローンの活用ニーズについて話し合いを行うことから始めました。トラジェクトリーと一緒に取引先企業の倉庫へ見学に行くこともしました。そういった活動を通して彼らの強みを整理していく中で、トラジェクトリーのソリューションが自治体と相性が良いことも分かってきたのです。

ちょうどその頃、東芝テックが参画している静岡県裾野市のSDCC(スソノ・デジタル・クリエイティブ・シティ:次世代型近未来都市を作るためのコンソーシアム)でドローン活用についての話が出ていて、実はトラジェクトリーもSDCCの会員であることが分かり、彼らも裾野市でドローン活用にチャレンジしたいという想いがあったことを知りました。

勝又:そうですね、その流れでドローンを活用した3Dマップ作成の話が具体化していきました。ちょうど年明けでしたよね。

鳥井:投資担当者としても、定期的に彼らの事業進捗や注力領域、プロダクト開発状況などを聞いている中で、東芝テックとどういう接点を持つと面白い取り組みができそうか常にアンテナを立てていました。その中で、ドローンを民主化するというトラジェクトリーの事業コンセプトは、自社(トラジェクトリー社自身)の注力する取り組みと、弊社の取り組みがマッチしていると考えました。

スピード感をもって取り組めたワケは?

南日:振り返ると1月末にプロジェクトがスタートして、3月には測量を完了しています。なかなかのスピード感でしたよね。

大企業とスタートアップの違いとしてよく言われるのが「スピード」です。その点、今回はプロジェクト全体を通してかなりのスピードで進められたと思いますが、それはどうしてだと思いますか?

南日:3Dマップはあらゆるソリューションの基盤となるものです。新年度の4月以降SDCCのさまざまなプロジェクトを活性化させるためには、少なくとも3月中には測量を終わらせて3Dマップ作成を進めたいという想いが共通認識としてありました。

なるほど、では短期間で測量を完了させるために工夫したことはありますか?

勝又:そうですね、トラジェクトリーと日々コミュニケーションを交わす中で、彼らは本当に忙しいことを目の当たりにしました。限られたリソースで活動しているので、1分たりとも無駄にしちゃいけない、まさにTime is Moneyです。

なので、コミュニケーションを簡潔にすることはもちろん、情報の整理や文書にまとめる作業など、こちらで手を動かせることは積極的に行い、なるべくトラジェクトリー側の手を煩わせないことを心がけました。

鳥井:いちおう3者の役割分担はあるけれど、そこをきっちり守っていたらプロジェクトのスピードはいつまで経っても上がりません。思い描くゴールはみんな同じなので、動ける人間が動く、ぐらいのスタンスが大切ですよね。


勝又:トラジェクトリーが関係各所に提出する書類も、「近くにいるんでやりますよ」と言って代わりに提出しに行ったり。とにかく何かがストップしている状態をできるだけ作らないようにしていました。

鳥井:それから社内的な動きとしては、担当役員への説明や法務などの承認作業も分担して迅速に対応するようにしました。

勝又:最終見積の承認が、ものすごく早くて驚きました(笑)。

鳥井:必死に回しているプロジェクトにブレーキをかけるわけにはいかないですからね。でもプロセスが確立されているわけではないので、今回はイレギュラー対応だったと思います。そこは、これから制度化していく必要があると思いました。

名称未設定のデザイン (6)

測量の様子

今回のプロジェクトは次にどのような取り組みにつながるの?

PoC(概念実証)を実施しても次につながらないという話もよくありますが、今回のプロジェクト終了後、社内からの反応や、今後につながるような動きはあったのでしょうか?

南日:まだ3Dマップが完成していないので、正式な報告や反応はこれからなんです。それでも東芝グループ会社から、ドローンを活用したソリューションについて問い合わせが来ています。正式な報告書を出してから、またいろいろと動くのではないかと思います。

鳥井:役員の方からは、「とても社会的意義のあるプロジェクトだ」とコメントを頂きました。やっぱり、カタチにすることが大事ですよね。机上で「こんなことができます」とどんなに説明しても、実際に実施したプロジェクトの説得力には到底及びません。

勝又:裾野市役所でも、建設部や産業部など他の部署から3Dマップの活用方法について提案・相談が来ているようです。

南日:どんな規模のプロジェクトであっても、具体的事例があるのとないのとでは、話を聞いてくれる人の数や熱量が違いますよね。失敗を恐れずに「打席に立ち続けないと球は打てない」ということを、改めて実感しました。

鳥井:ただ、今回の取り組みは、あくまでもスタート地点。ここから新規事業を創出できるかどうかが本当の勝負です。東芝グループのアセットもうまく活用しながら、社会課題の解決に寄与する事業を検証していく必要があります。

勝又:地図というインフラの上でどんな価値を創出できるか、裾野市役所やトラジェクトリー、うちの営業所メンバーや事業部、パートナーの力も借りながら幅広く考えていきたいですね。

鳥井:何か新しいことにチャレンジするとき、大企業でやろうと思ったらもっと時間がかかったであろうことも、彼らがノウハウを持っていたからこそスピーディに取り組めました。スタートアップ企業と大企業のベクトルが合えば、スピーディに物事が立ち上がるんだなということを改めて感じましたね。

東芝テックとしても、スタートアップ企業と同じスピード感で動いて実績が作れたことは良かったです。

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「スタートアップ企業の成長のために、私たちが支援できることを」という想いで取り組んだ今回のプロジェクト。実際に一緒にプロジェクトを進めることで、私たちも多くの学びを得られ、一緒に成長していくということを体感できたように感じました。

※プロジェクトのレポート記事はこちらをご覧ください


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