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久しぶりに味わった行列で感じたこと~小売業の課題について(社内セミナーを一部抜粋)~

年末のデパ地下で、久しぶりにレジの行列を体験

ここ最近、スーパー、コンビニ、パン屋さんなどでセルフレジ(セミセルフレジも含む)が増えてきたと感じています。

そんな中、年末にデパ地下でおせちや食料を買いに行ったときのこと。カゴいっぱいに商品を入れて、いざ会計に行こうとすると、どのレジも大行列

最近はこういう光景を見ていなかったので、さてどの列に並んだものか…と考えてゴール(レジ)が見えない中、何となく動きの早そうな列に並びました。

しばらくすると、後ろの方から「隣の列が空いたのでこっちに並んだほうが早いですよ」と声をかけられたので、言われるがまま隣の列に並び直しました。

しかし、結果的にその列は、もともと並んでいた列の倍以上に動きが遅く、会計に時間がかかってしまったのです…。

なぜこの列が遅かったのかというと、もともと並んでいた列は3つのレジで対応しており、他の列は1つのレジで対応していたからです。

当然スピードは早いわけですが、列の最後尾に並んだときはまだゴールが見えなかったので、こちらは知る由もありません…(もちろん、おすすめした方も同じように並び直していたので悪気はなかったのだと思います)。

ふと「どの行列に並ぶのが一番早いのかAIで判断できたら便利だな〜」とか考えてみたりしたのですが、セルフレジやカートPOSの導入でそもそも行列を作らないようにするなど、ソリューションはたくさん考えられるのだと思います。

ちなみに、行列を進んでいく間、商品棚の横をゆっくり進むわけですが、その中でほしい商品があるとつい手を出してしまうってことありませんか?私はよくあります(実際買ってしまいました)、笑

商品を見ている間に「あ、あれも欲しかったんだ」と、ほしくなってしまう。今買わなくてもよかったけど、ついつい手を出してしまう。そんな消費者心理と行列を逆にうまく生かして、待ち時間に提供できるサービスもあるかもしれませんね。

最近は(セミ)セルフレジの普及やコロナ禍での三密回避のながれで、行列に出会う回数は減ってきていましたが、久しぶりに出会うといろいろな課題を考えるきっかけになりますね。

そんな中、CVCチームは昨年末に小売業の課題をテーマとした社内セミナーを開催しました。当社はリテールソリューションを展開していることもあり、予想以上にたくさんの人たちが参加してくれました。

小売業で起きているテクノロジー発展で変化している店舗の在り方、そしてコロナ禍で新たに発生している課題も含め、社内でもとてもポジティブな反響をいただけたので、今回はその内容を一部紹介したいと思います(以下の内容はゲスト講師に掲載許可を得ております)。

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登壇していただいたのは、ドラッグストア経営やココカラファイン子会社の社長を経て、現在は小売業のDXに関するコンサルタントなどを展開する「店舗のICT活用研究所」代表の郡司昇氏。ICTの進化、そしてコロナ禍で大きな変革の時期を迎えている小売業の新たな課題と未来展望を語っていただきました。

■加速する「店舗の情報メディアの多様化」と「店舗のメディア化」

テクノロジーの発展により、店舗の在り方に様々な変化が起きています。その中でも郡司氏が着目しているのが、店舗における情報メディアの変化、そして店舗自体のメディア化です。

従来、店舗の情報メディアとして代表的なものはプライスカードPOPですが、実は言語情報が相手に与える影響は7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%の割合だと言われており、言語情報であるPOPが顧客に与える影響は十分ではありません。

そこで近年注目されているのが、デジタルサイネージの活用です。デジタルサイネージは言語情報のみならず、聴覚情報や視覚情報を組み合わせることが可能です。さらに郡司氏は「ふいに目に飛び込んでくる強制視認性」が強みであると述べます。

一方、店舗自体をメディア化する動きも現れています。アメリカ発のb8taはシリコンバレーのスタートアップが作ったITガジェットや食品などを展示する体験型店舗。商品の売上は全額が各出店者に入りますが、b8taは家賃のように店舗の区画を定額で出店者に提供することで、モノを売らなくてもマネタイズできる仕組みを構築しています。さらに、店舗の天井にカメラを設置し、商品の前に来た人数、滞在時間、購入数などのデータを計算し、各出店者にフィードバックしています。

「まだ無名に近いスタートアップのブランドの場合、リスティング広告で集客するのは簡単ではありません。b8taリスティング広告よりも高い成果が得られるポテンシャルを持ったメディアとして、注目を集めています」と郡司氏は述べました。

■「客単価と顧客満足度アップに貢献するタブレットカート」

小売業のICT活用事例として郡司氏が取り上げたのが、レジ機能付きショッピングカートのタブレットカート

「年配の方にも使われていて、“今いくら買い物しているのかが把握できる”という点が支持されています」と郡司氏は言います。

人はカートを使うことで商品をたくさん購入する傾向にあり、さらにカートのデジタルサイネージで関連商品やクーポン訴求などを行うことで客単価アップを実現しているのです。

この領域で郡司氏が注目しているのが、アメリカでスタートしたAmazon Dash Cartです。Amazonのアカウントを専用アプリに登録し、カートのQRコードスキャナーにアプリのQRコードをかざすと、アカウントが認識されます。その後、マイバッグをカートにセットし、バーコードスキャナーでスキャンしながら買い物。そのまま専用レーンを抜けてマイバッグごと持ち帰れば、あとで電子レシートがアカウントに届く仕組みです。

レジで決済する必要のないシームレスな買い物体験を実現しています。これがラクで楽しいと感じる人たちにはものすごく支持されるサービスだと思います」と郡司氏。

このサービスで気になるのが万引き対策ですが、店内カメラに加えてカートに重量センサーが付いているので不正がしにくく、不正行為が多いユーザーのアカウントを停止するなどの処置も取れるため、顧客体験を損なうことなく不正防止ができていると考えられます。

■「レジオペレーションの最適化が急務」

日本における小売の課題として、ビニールシートマイバッグの問題を郡司氏は挙げました。

飛沫感染防止用のビニールシートをレジに取り付けることが一般化していますが、マスクの着用も相まって店員と顧客のコミュニケーションが取りにくくなっています。さらに、レジ袋の有無や決済方法の確認といったコミュニケーションも増えているため、両者にとって不便でストレスがかかる状況が発生しています。

遮音性の低いアクリル素材を使用する、BGMのボリュームを抑えるといった工夫が不可避でしょう」と郡司氏。

また、2020年7月からレジ袋の有料化が義務付けられたことにより、マイバッグを利用する顧客が増えました。しかし、サッカー台を用意していないコンビニやドラッグストアなどでは、顧客が袋詰めすることによるレジ待ち時間が発生しています。

レジのレイアウトとオペレーションの最適化が急務です。レジベンダーとしては新しいレジのカタチを提案するチャンスがあると考えられます」と郡司氏は述べました。

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セミナーでは他にもたくさんのお話を頂きました。今回紹介したような生活者のPainを解決するスタートアップ企業に注目が集まりそうですね。

私たちは引き続きリテール業界の今後について学びながら活動していきますので、皆さんのお役に立てそうな情報があればシェアしていきたいと思います。

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