新聞と私

中学生で生まれて初めて受験を迎えた。
当時の私は国語という教科がなぜ存在するのか考えてばかりいて、肝心の問題を解くことや文章を読むことに取り組もうとしていなかった。
評論を中心に点数はそこそこ取れていたが物語の読解となるとからきしだった。

見かねた先生が、受験対策として朝刊1面のコラムを書き写すことを提案してくれた。夏休み前のことだ。
毎日、父のとっている新聞のコラムを原稿用紙に書き写し続けた。
何の意味があるのだろう、とは考えず、ただ受験のために書き続けた。

すると、どうだろう、偏差値が信じられないほど上がった。
それに加えて国語への苦手意識もなくなり、また他の教科の問題文への理解も早まったおかげで全体の点数が上がった。
何の気なしに書いた小さな文章が父の読む新聞に掲載され、原稿料を受け取った。その記事を見て、友人の父親が喜んでくれた。
私の父はおそらくその文章を読みさえしなかったと思う。

先生は高校・中学両方の国語免許を持っていて、経歴も不思議な人で、とても霊感が強かったのだが、そのお話はまた別の機会に。
先生、お元気でしょうか。

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