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お金の流れ〜使う感覚と受け取る感覚〜

私は珈琲の世界で生きていますが、珈琲の中の、ほんの一部に身を置いているに過ぎません。

わかるだけ、ちょっとあげてみます。

【生産国】
植物としてコーヒーの木を育てて実を収穫してくれる農家さん。

農家さんから受け取ってコーヒーの生豆にまで精製加工をする業者さん。

加工された豆を輸出入する業者さん

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【消費国】
輸入業者さんから仕入れる焙煎業者さん←自家焙煎店

焙煎業者から仕入れる飲食店や飲料品メーカーさん←カフェ、喫茶店など

飲食店や家庭で飲むお客さん←エンドユーザー


先の記事で、お金をきちんと受け取り、お客さんに還元することが理想だと書きました。生産国での取引でも、そういった流れの起こりから「シングルオリジンコーヒー」や「スペシャルティコーヒー」といった概念が生まれて、消費国まで随分と浸透してきた感があります。

生産国でのコーヒーを取り巻く環境については、また別の機会に、というか私自身が全然無知なので、勉強したいです。
前置きが長くなりましたが、ここではこれから私がやろうとしている珈琲豆の販売のこと、その販売方法のことで考えていることを書きます。
まだ実店舗、焙煎所等がないので、オンライン販売について。

オンライン販売の方法

多くがECサイトというものです。
「Electronic Commerce=電子的な商売」です。訳すと不思議ですね。
今は特にSTORESやBASEなど、無料ECサイトをよく見かけます。
私たちのような小さな個人店はなかなか本格的なサイトを持ちづらいので。

軽く調べた程度ですが、特徴としては「初期費用0円」でショップを立ち上げて、「SNS」と連携しやすいため多くの人に知ってもらいやすく、「決済代行」もしてくれるもの、だと思います。
つまり、「簡単」なんです。
こういう書き方をすると、単純に「便利は悪いものだ」みたいな風に聞こえてしまいますが、もちろんそんなことが言いたいわけではなく。

私は今のところこういうところを利用する予定はありません。
その理由はひとつです。
払う人と受け取る人で気持ちにも金額にも差異が生まれるからです。

「手数料」とは

「手数料」は今の世の中で生活のあらゆる場面で遭遇します。
銀行の入出金や振り込み、クレジットの分割払い、役所の手続き、オンライン決済、不動産や投資手続きetc...
この手数料は、もちろんそのサービスを受けるにあたっての対価なので、それがおかしいというわけではありません。
ただ、クレジット払いや電子マネー等々の決済やオンラインでのショッピングが当たり前になって久しいこの社会で、手数料が非常に見えにくくなっているように感じるのです。

例えば身近なところでいうと、携帯電話=スマホの契約や解約、サービス変更や更新にかかる手数料でしょうか。
お金を支払う段になって突然「これに手数料○○円がかかりまして〜」のようなことがよくあります。
スマホの支払いに関してもう「金額の意味」を理解することはだいぶ前に諦めましたが(何にお金を払っているのかが全くわからないので)、ECサイトでも同じようなことになっていると思っています。

ひとつの販売が成立した時の手数料

無料ECサイトは、初期費用0円で、誰でも手軽にショップを開設できます。
だから多くの人が利用していて、なんとなく良さそうなのですが、売買が1つ成立すると、販売金額の中から数%の手数料がサイト運営会社に差し引かれます。
さらにこの支払われたはずの金額が直接販売側の口座に振り込まれるわけではなく、一旦運営会社側にプールされ、それを販売者側に振り込むという形をとるため、その振り込み時にも手数料がかかります。

例えば珈琲豆100g700円をBASEで販売したとします。
するとまず販売金額のうち決済手数料として3.6% (25円)+40円と、サービス利用料が3% (21円)かかります。
これだけで既に86円の手数料がかかっています。
販売金額の1割以上です。
なかなかの引かれ具合だと思います。

そしてさらに、そこから振り込みにかかる手数料を2種類引かれます。
振り込み手数料(一律250円)と事務手数料(2万円以下の振り込みの場合500円)です。

入金までの販売の流れと差し引かれる手数料

仮に、事務手数料のかからない2万円以上の珈琲豆を販売して、自身の口座に振り込もうとしたとしましょう。

100g700円の珈琲豆を合計3.2kg販売したとします。
700×32=22,400円
これが本来売り上げた金額です。

販売回数は、だいたい200gの購入だと見込んで16回だと仮定します。
22,400円 ー 1,478円 (販売手数料6.6%) ー 640円 (16回×40円)=20,282円
これが振り込み申請ができる=プールされている金額です。

振り込み申請をした場合、2万円以上で事務手数料500円は免除されますので、振り込み手数料一律250円のみかかります。
20,282円 ー 250円 (振り込み手数料)=20,032円
これが実際に手元に入ってくる金額です。

22,400 (本来の販売額) ー 20,032円 (差し引かれた後の金額)= 2,368円 (BASEの収益金額)
最終的に手元に入ってくる金額は11%減となるわけです。

「11%」をどうみるか

私はお金にはルーズでいたくないタイプなので、ツレとはずーっとガッチリ割り勘です。ケチくさいとか小さいとか言われようがそこはもう変わりません。
いや、話が逸れましたが、そういうケチとかいう話ではありません。ケチなのかもしれませんが。
多くの人にわかりやすく、クレジット決済など決済システムが整っているというメリットは非常に大きいです。売買において、双方の負担を減らせます。
その対価として「11%」を支払っている、と取るのであれば問題ないと思います。

しかし購入する人がその金額を想定して購入していることはまずありません。
「100g700円の珈琲豆」としてみて、その価値や期待の度合いで購入するか否かを決めています。
一方で、販売側は「100g700円の珈琲豆」として販売していつつも、実際に手元に入ってくる金額を計算すると、「100g614円の珈琲豆」(販売成立時点)に成り下がります。
ここで売買間での「価値の不均等」が起こります。

見えない大きなビジネス

こういうシステムは人々の生活を豊かにしてくれるし、楽しみの可能性が広がります。
私もAmazonで購入することはあるし、悪いというわけでは決してありません。
ただ、自分の知らないところでお金が増えたり減ったり、等価交換できるはずのものができないのが、なんとなく嫌なんです。

出版社で働いていた頃、季節ごとに大きな販売フェアを実行するためにたくさんの商材を売りました。億を超える規模です。
しかし私は実際に商材を手にしてお客さんには渡しませんし、金銭の授受もありません。
ひたすらエクセルファイルで在庫管理をしたり、資料を作って取次(卸会社)に営業に行ったり、売り上げ金額の計算をしたりしていました。
見えないところで大きな大きな、得体の知れない金額が増えたり減ったりしていたのです。
なんかゲームのようでした。「商い」というより「ビジネス」としてただ数字を追っていました。
本を全国に滞りなく行き渡らせるという壮大な使命があり、差異のない学習を提供するためには当然ながら必要な仕事でした。
ただ私のやりたい仕事ではなかったというだけの我儘な話です。

運営会社側はそれこそ大雑把にいうと家賃や人件費などの固定費を除けば「原価0円」で、収益を得ているのかもしれません。頭の良い儲かるビジネスです。
それがなんとなく嫌なんです。
システムとしては正しくても、私はお客さんから私に向かってお支払い頂ける大切なお金は、1円単位まで自分でちゃんと頂きたい
そしてお店を続けながら、お客さんにも還元するのがやはり理想なのです。

ECサイトを使わない販売方法

売る側も、買う側も、手間のかかる方法ではありますが、直接のメールやメッセージのやり取りになると思います。
メニューの提示はInstagramとこのnote、金銭授受はクレジット決済ができないので、口座振り込みになるでしょう。
いちいち手間のかかる作業になるので、多くのお客さんには対応できないかもしれません。多くの方に求められるかは別として。
しかしこういうやり取りがあることで、感じられる喜びもあります。
商売としては大変というか青臭いというか、下手くそな感じですが、10人に手早く簡単に手続きや手配を済ませるよりも3人に丁寧に味としても気持ちとしても満足したものを提供したいです。

という理想を一応思い描いてはいます。
まだやっていないので口先だけですね。
そう遠くないうちに始めようと思います。

長々とまた、失礼致しました。

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