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詩とか歌

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#小説

鳥の糞

それは頭を鈍器で殴られた、そのままのような出来事だった。
私は同じ過ちを犯したのだ。
人の価値観とやらに口を出して、その人を『未完成』と名づけた。
それからというもの私は自分が、燃えるタバコの煙や灰に炙られ煤となることを夢見ている。
食べ物を選ぶ。
嗜好品ばかり食べていた昨日までと、とある出来事があった昨日今日の食事は人間と馬のように違っていた。
嗜好品ばかり追いかける胃は膨れ、顔も体も醜くなるば

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ヨーグルト殺人事件

その日は雨が降っていた。八月下旬。
蒸し暑さが雨によって少しましになった昼下がりに、東京の下町を一人の女がうつむき加減で歩いている。

家からほど近いドラッグストアに飼い猫のえさを買いに行った帰り、露原ゆうは言いようのない胸騒ぎをおぼえた。
彼女は買った餌を両手で抱きかかえ、その胸騒ぎの意味を思索していた。
元来勘が良かった彼女は、親族が亡くなるときや、事故にあう時、ひいては彼女の友人の結婚が破談

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今を見つめられないから。

お母さん、疲れちゃった。考えすぎて。
未来のことを考えすぎて疲れちゃった。
人に期待しないって難しい。

そうね、たしかに難しいわね。
未来を考えるのに疲れたら今を見つめる、過去を思い出す。それでいいんじゃない?

過去を思い出すことは出来るけど、上手く今を見つめることが出来ないんだよ。

うーん、なんでだろうね。
だってあなたが生きているのは「今」でしょう?

そうだけどあんまり今を生きてるって

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