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リモワク時代の『コミュニケーション・ランキング』

こんにちは。

今回のコラムは、熱海の保養所で書いています。
コロナが拡大するずいぶん以前から、私はあまり出社はしないで仕事をしていましたが、
今回こうして、窓の向こうに海を眺めながら仕事ができるようになったことは、時代が本当に変わりつつあることを実感してしまいます。

そして、いまやどんな企業でも、リモートワーク(以下、リモワク)への部分的、あるいは完全なる移行を推し進めていますね。
それにともない、これまでなんとなくズルズルと先送りしていた働き方改革が、一気に進んでいるようにも思います。

また同時に、世の中には、「リモートハラスメント」(リモハラ)なるものが取りざたされています。
リモワク中に行われるハラスメントのことを言うようですね。

そんな状況を反映してか、最近よくこんな質問を受けます。
「部下とのコミュニケーションが取りづらい。どんな方法が良いのか?」と。

ふだんのように部下の様子がわからず、どんな風に関わったら良いのか迷っている上司の方は多いと思います。

コミュニケーションを取ることは大切なのはわかっているが、なんとなく取りづらく、そのまま半分放置してしまっている。
こんな方々も少なくないようです。

しかし、こんな例もあります。
例えば当社なのですが、リモワクに完全移行後、社内コミュニケーションはむしろ増えています。
コミュニケーションの機会を、意図的に増やしているからです。
移行前に比べ、明らかに双方の様子が、齟齬なく把握できています。

では、当社での試みも含め、
「リモワク時代の効果的なコミュニケーション手段」について、勝手にランキングをつけましたので、共有したいと思います。

リモワク時代のコミュニケーション手段ランキング

1位:対面
2位:ビデオ通話
3位:電話
4位:チャット
5位:メール

各手段について解説する前に、まず、リモワク時代のコミュニケーションが、何を目的にしているのかについて触れます。
ここでいうコミュニケーションとは、

相互理解を深めるための、じゅうぶんな質・量の情報が共有される
という目的です。

相手についての情報の手がかりが多いランキング、といった感じです。

まず、1位から簡単に解説します。

1位:対面

ん?リモワクなのに、1位に「対面」?
と思う方もいるでしょう。

リモワク時代といっても、例えば週に1度、月に1度は出社をするのではないでしょうか。そのときに、チームメンバーを久々に顔を合わせるということになりますね。
あるいは、チームメンバー全員はそろわないけど、半分くらいずつに分けて出社し、顔を合わせるといった企業もいらっしゃいます。

結論として、対面に勝るコミュニケーション手段はありません。

時代が変わったとはいえ、私たちは相手を知るためには、
言葉そのものだけでなく、表情、声色、息遣い、しぐさ、など、
すべての感覚を無意識に総動員して感じ取るようにできています

中には、メールの下手な上司もいます。
空気を読まないチャットで、周りを凍りつかせたり、失笑を買ったりする上司もいます。

ですから、リモワク時代こそ、実際に顔を合わせる機会こそ、最大限に生かなければなりません。
ふだん、メールやチャットばかりで、ややギスギスした相互関係を、「生の対話」によって埋め合わせるのです

いわゆる五感をつかった対話によって、コミュニケーションで起きていたい齟齬を埋め合わせてください。

できればひとりひとりと話し、様子をじっくり見て、必要なサポートを確認してほしいと思います。
少人数なら、そのまま仕事帰りに飲みに行っても良いでしょう。

繰り返しますが、「対面」は圧倒的1位のコミュニケーション手段です。


では、ここから2位以下。
正直申し上げて、2位以下はいずれにしても、程度の差こそあれコミュニケーションに「誤解」や「齟齬」を生みます。
したがって、これらは「僅差」となります。


2位「ビデオ通話」

表情が見られるだけ、まだマシ、といったレベルです。
しかし、リモワク時代の現実を考えると、これに頼るほかありません。

かぎられた画面(スクリーン)のなか、視覚と聴覚に頼るだけのコミュニケーションのため、五感を使って相手を理解することは難しいですが、
それでも相手のなんとなくの様子はわかります。
まだマシです。

ですから、こちら側も、「制限された画面」という空間の中で、相手に「誤解」を生まないような努力が必要です。
以前のコラムにも書いたように、画面のみのやり取りになると、「忖度」や「空気を読む」ことができないからです。

「わかりやすい表現」「わかりやすいリアクション」をすることが何より大切です。
もともと「こわもて」の上司だったり、「雑談」の苦手な上司にとっては、リモワク時代は相応の努力が求められます。

しかし最近、こんな話を耳にします。

「背景が映って、プライベートを詮索されたくないから、画面はオフにしている。。。」
「お化粧をしていないから、画面はオフにしている。。。」

「え?」正直、耳を疑いました。

もちろん上司側も、リモハラと言われない程度にプライベートへの配慮は大切です。

しかし、それを差し引いても、「あなたたち、今、勤務中でしょ?」ということなのです。
勤務中、つまりたまたま環境が自宅になっただけで、仕事をしていることには変わりがないわけです。

お化粧していないから、映りたくない?
では、リモワク前に、
「あのう。今日はお化粧していないので、会議に間に合いません。別室から音声通話にします」と会社で上司に言うのですか?

たとえば、オンライン会議をひとつとっても、「突然」始まることは少ないと思います。
あらかじめて予定されていることが、ほとんどです。
それなら、お化粧くらい間に合わせたらいかがでしょう?
プライベートを詮索されたくなければ、バーチャル背景を使ったらいかがでしょう?

勤務中にも拘わらず、会社よりも自己都合を優先させ、
しかもそれを飲まない上司に「モラハラ」だと烙印を押す。。。

社会人としてのモラル崩壊も、リモハラ時代には起きているようです。

上司がビデオ通話で顔を出している。
上司だって、髭をそったり、それなりの身なりで画面に映っている。
そして、部下のことを知りたがっている。
部下としては、それに応じることが、マナーではないでしょうか。

3位:電話

リモワクのための環境設備が整っていない、という方も多いでしょう。

会えない。ビデオ通話もできない。
となったら、仕方ありません。

非常に消極的な選択ですが、電話となるでしょう。

五感に頼ったコミュニケーションは、もはや電話では成り立ちません。
想像力や集中力を、フルに発動するしかないですね。


4位:チャット
5位:メール

正直申し上げて、コミュニケーション手段だとは思っていません。

もはや情報を通達するためのツールでしかありませんね。
相手が正確に理解できているかどうかの確認もできません。

チャットがまだそれでもメールより上位なのは、
・形式ばったあいさつをしなくて良い
・タイムリーにやり取りできる
という2点によります。

こうなるとメールは、最後の手段です。

メールで送って良い内容は、「報告」と「連絡」のみです。
メールで、急な相談事などするのは、かなり身勝手な話かと思います。

相手は私のメールを読んで当然。
そして、相手は、私のメールに対して返信して当然。

要するに、このような潜在意識が働いているのではないかと思います。
まったく相手の事情を汲み取っていない、典型的な例ですね。


以上、リモワク時代のコミュニケーション手段ランキングでした。


私は組織開発の専門家ですが、

組織とは結局のところ、構成員ひとりとひとりの関係性から成り立ちます。
組織をどうこうしようと思ったら、まずは、自分と部下ひとりとの関係を見直すことから始めないといけません。

コミュニケーション手段の見直し、やってみませんか?


今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。


◆◇◆ 今週の箴言(しんげん)◆◇◆
(ラ・ロシュフコーより)

才があって
愚かな人はいるが、
分別があって
愚かな人は決していない。

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