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革新の2010年代、僕の魂を震わせた洋楽10曲

ビートルズの登場から今日に至るまで。ポップ・ミュージックは、半世紀以上にわたり絶え間なく革新を続けてきた。新しいジャンルが次々と生まれ、テクノロジーの進歩によって表現の可能性は無限に開かれていく。その過程で、それぞれの時代を象徴する数々のポップ・スターも誕生した。

それでは、その激動の歴史を刻む音楽史において、「2010年代」とは、いったいどのようなチャプターだったのだろうか。あまりにも混迷を極めたこの10年間の音楽史を、あらゆる観点から考察して、総括することは、もはや僕一人では不可能なのかもしれない。

開き直るようではあるが、だからこそ今回は、僕自身が魂を震わせられた洋楽10曲を紹介したい。

この先、僕の人生を何度も彩り、導き、救ってくれるであろう10曲を、正直にセレクトした。極めて個人的なことを言ってしまえば、高校生〜大学生〜社会人という感受性が多感な時期に、この楽曲たちに出会えてよかった。この10年で、この10曲と出会えていなかったら、僕は、「音楽」の可能性を今ほどに信じられていなかったかもしれない。

僕の大切なプレイリストをまとめた本記事が、あなたにとって、新しい音楽との出会いのきっかけになったら嬉しい。

以下、リリース順で発表していきたい。


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Perth/BON IVER(2011)

当時、大学生だった僕に、「音楽」が秘める眩い可能性を伝えてくれたのが、この曲だった。静かに巡り始める季節。大地の呼吸に合わせて躍動する生命のリズム。そして、僕たちが胸に抱き続ける普遍的で切実な願い。「音楽」は、その壮大な景色を、これほどまでに美しく描写することができるのか。初めて聴いた時の鮮烈な感動は、今でも忘れられない。


Varuo/SIGUR ROS(2012)

静寂の景色の中に、透徹な祈りが込められた音と言葉たちが、ゆっくりと洪水のように押し寄せていく。いつしか、眩い光の中にリズムが生まれ、そして最後には唯一無比のカタルシスに至る。たった6分37秒のこの曲が映し出すのは、そんな、あまりにも美しい音楽的旅路だ。シガー・ロスにとっての、一つの到達点ともいえる傑作だと思う。


Skyfall/ADELE(2012)

映画『007 スカイフォール』の主題歌。優雅で、華麗で、美しい。そして、これから幕を開ける物語の壮絶さを想起させる。ボンド映画サイドが要請する全てのポイントを完璧に押さえながら、時代の歌姫・アデルのポテンシャルを最大限に発揮させた奇跡のような一曲だ。その必然として、同曲がアカデミー賞・歌曲賞に輝いたことも印象深い。


Overgrown/JAMES BLAKE(2013)

デビュー作『James Blake』が、全世界の音楽シーンに与えたインパクトの大きさは計り知れない。それでも、僕が本当に驚かされたのは、その次の作品『Overgrown』であった。今作においてブレイクは、極めて普遍的な「歌」を志向する方向へ表現の舵を大きく切った。時代の革命児、その孤独な魂がありのままに歌われるこのオープニングナンバーは、息を飲むほどに美しい。


Do I Wanna Know?/ARCTIC MONKEYS(2013)

いつの時代においても、「ロックの時代は終わった」という声は上がる。それでも、「ロック」が窮地に立たされるたびに、その反動として新たなロック・スターが、新たなロック・アンセムが生まれてきた。これは、いつだって僕に「ロック」の絶対的な可能性を信じさせてくれる信念の一曲だ。そして今、かつてユースカルチャーの王道であった「ロック」は、完全に相対化され、その輝きを本当に失いつつある。だからこそ僕は、早く、アークティック・モンキーズの新作を聴きたい。


A Sky Full Of Stars/COLDPLAY(2014)

コールドプレイとアヴィーチー、両者の邂逅によって、ロックとEDMの新結合が実現した。極めて静的でパーソナルな感情が、星空が煌めく夜空へ向けて鮮やかに飛翔していく。まさに、魂の解放。僕は、この曲を聴くたびに、心を洗われ、奮い立たされる。たった4分28秒に、「音楽」の輝かしい可能性が凝縮されている。本当に凄い。


Chandelier/SIA(2014)

圧倒的な「歌」の力。リスナーが胸に抱く想いを代弁する、という役割を超えて、シーアの「歌」は、僕たち・私たちの感情を無制限に増幅する。これほどまでに高い強度を誇るポップ・ソング、他に思いつかない。何度聴いても、魂が震える。


True Love Waits/RADIOHEAD(2016)

僕が最も敬愛するアーティスト、その一組がレディオヘッドだ。これまでに彼らが発表してきた楽曲の中でも、この曲には何度も救われてきた。この世界には、これほどまでに美しい音楽がある。たったそれだけのことを気付かされるだけなのに、繰り返し聴くたびに涙を堪えられなくなる。この曲に出会えて、本当によかった。


Something Just Like This/THE CHAINSMOKERS(2017)

ロック・スター不在の時代、多くのティーンがザ・チェインスモーカーズに憧れる理由が、僕には分かる気がする。リスナーの心の声をストレートに代弁する歌、ありのままの感情を世界と共有する高揚のサウンド。これまでロックバンドが担ってきた役割を、今、EDMユニットの彼らが全力で引き受けているのだ。その事実に、ただただ感動する。


when the party's over/BILLIE EILISH(2018)

瞬く間にして、新時代のポップ・アイコンとなったビリー・アイリッシュ。まだ18歳の彼女が表現する、いや、まさに18歳の彼女だからこそ表現できるティーン特有の儚いリアリティーに、強く胸を打たれる。いったい、これから彼女は、どのような表現者となっていくのか。2020年代も、期待しながら追い続けていきたい。


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