スクリーンショット_2019-11-23_14

横浜流星は、「ロック」に愛された男だ

amazarashiの新曲”未来になれなかったあの夜に”のミュージックビデオが公開された。



《まさかお前、生き別れたはずの  青臭い夢か?恐れ知らずの/酒のつまみの思い出話と  成り下がるには眩しすぎたよ/なじられたなら怒ってもいいよ  一人で泣けば誰にもバレないよ/そんな夜達に「ほら見たろ?」って  無駄じゃなかったと抱きしめたいよ/未来になれなかった  あの夜に》


7分29秒を通して紡がれるのは、まるで、「秋田ひろむ」が「amazarashi」になる過程を描いたかのような物語だ。

きっと彼自身が体験してきた苦悩や葛藤が表されているからだろう。そのあまりにも切実な展開に胸を締め付けられる。


《醜い君が罵られたなら  醜いままで恨みを晴らして/足りない君が馬鹿にされたなら  足りないままで幸福になって/孤独な奴らが夜の淵で  もがき苦しみ明日も諦めて/そんな夜達に「ざまあみろ」って  今こそ僕が歌ってやるんだ/未来になれなかった  あの夜に/ざまあみろ》


そして、だからこそ、これまでの一つ一つの全ての「夜」が結実するクライマックスでは、清廉なカタルシスを味わうことができるのだ。



今作の監督を務めたのは、『デイアンドナイト』、『新聞記者』と話題作を連発する藤井道人。

主演は、新しい時代を力強く牽引する若手俳優の一人・横浜流星。今年だけでも『チア男子!!』、『いなくなれ、群青』と2本の主演作が続いている。テレビドラマ『あなたの番です』の好演も記憶に新しい。


僕はずっと、横浜流星は「ロック」がとてもよく似合う男だと思っていた。

繊細な心情と、迸る激情。その2つを、あくまでも自然体のまま演じきることのできる若手俳優は決して多くはないだろう。藤井監督の『青の帰り道』での熱演も印象的だが、青春の煌めきを真っ直ぐに体現する横浜に、僕は輝かしい「ロック」のバイブスを感じていた。


スクリーンショット 2019-11-23 13.35.37


そしてその思いは、今回のamazarashiのミュージックビデオを観て確信に変わる。

秋田ひろむが歌詞に込めたエモーションを、一つも溢すことなくスクリーンにぶつけてゆく彼の表現姿勢に、僕は強く心を打たれた。そんな横浜は、やはりバンドマンの役柄がとてもよく似合う。

「ロック」に愛された横浜流星が、amazarashiのミュージックビデオに主演。これが、単なる一度きりの企画で終わるとは、僕にはどうしても思えない。

藤井監督たちによる、次の企みに期待したい。



【関連記事】


この記事が参加している募集

コンテンツ会議

最後までお読み頂き、誠にありがとうございます。 これからも引き続き、「音楽」と「映画」を「言葉」にして綴っていきます。共感してくださった方は、フォロー/サポートをして頂けたら嬉しいです。 もしサポートを頂けた場合は、新しく「言葉」を綴ることで、全力でご期待に応えていきます。