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楽団日記

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日々の活動の様子や大切にしていることなどを徒然と書いていきます。弦巻楽団の弦巻楽団による皆様のための日記です。公演の特別企画も掲載。
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#弦巻楽団

PEACE PIECE

弦巻楽団#39『ピース・ピース』、昨日無事に全10ステージの上演を終えました。 吹雪いた日もありましたが、毎日少なくない当日券をお求めのお客様が来て下さり、励みにコツコツ公演を続けることができました。ありがとうございました。劇場スタッフの皆様、札幌演劇シーズン実行委員会の皆様、本当にありがとうございました。 ちょっと実験的なことしたいんだ〜と呼びかけて(当時・気軽に)集まってくれた3人の出演者には感謝しかありません。騙し打ちみたいな呼びかけだったな…今思うと…。初演からわず

『ピース・ピース』本番迫る。(1/27!)

いよいよ今週1月27日(土)より#39『ピース・ピース』が開幕します。札幌演劇シーズン2024冬の、トップバッターです。 「冬」に開催される最後の札幌演劇シーズンとなります。 12年前、最初の演劇シーズンには出演者で参加しておりました。そう思うとちょっとだけ感慨も湧いてきます。 先日劇場のコンカリーニョで稽古してきました。公開稽古で、一般の方も見学可能でした。淡々と、いつものように稽古したのですが、もう少し盛り上がりを見せた方が…とか少しだけ反省しました。 今回の目玉で

【対談】塚本奈緒美×相馬日奈『セプテンバー』で母娘を演じた二人が語る「娘の気遣いの物語」|#39『ピース・ピース』

2024年1月27日(土)〜2月3日(土)に上演される弦巻楽団#39『ピース・ピース』。札幌劇場祭TGR2022で大賞&俳優賞をダブル受賞した本作を、早くも札幌演劇シーズンで再演します。 2022年の初演は、翌年に上演が決まっていた新作公演『セプテンバー』執筆のための"実験的公演"として創作されました。 3篇の「母と娘の物語」によって構成される『ピース・ピース』ですが、『セプテンバー』は4篇目の「母と娘の物語」とも言える作品です。 『ピース・ピース』初演で描かれた断片が

【対談】 藤沢レオ×弦巻啓太「椅子を共有する三人芝居」を語る|#39『ピース・ピース』

2024年1月27日(土)〜2月3日(土)に上演される弦巻楽団#39『ピース・ピース』。札幌劇場祭TGR2022で大賞&俳優賞をダブル受賞した本作を、早くも札幌演劇シーズンで再演します。 初演との大きな違いとして、北海道を拠点に活動する金属工芸家・彫刻家の藤沢レオさんの舞台美術が加わります。 作品の重要な要素として登場する「椅子」。これがレオさんによりどのように生まれ変わるのか。美術のコンセプトについて、劇団代表の弦巻啓太と対談していただきました。 藤沢レオ 金属工芸

2023年を振り返る

代表です。間違いなく年の瀬であります。 というわけで恒例の一年を振り返る投稿です。 今年、劇団の公演活動としては 以上です。 なんだ、意外に少ない…気もしますが、これにWSなどの活動や個人の活動を加算すると、 『セプテンバー』や「秋の大文化祭!」キャンペーンで7月以降はたくさんのWSも行いました。 実際6月くらいまではゆとりも多少あったのですが、個人的な事情もあり6月末からはほぼ休みなしでした。特に7月8月は『セプテンバー』準備以外にも色々あって、記憶があんまりありませ

【初演の感想】桑田信治さん「『言葉』そのものが作品世界を紡ぎ出す」|#39『ピース・ピース』札幌演劇シーズン2024-冬

桑田信治さん(TGR審査員)話が進み、本作における演者の役割分担が判ってくるにつれ、僕は物語に引き込まれていきました。 初演のことにパトスは、暖色系の控えめな照明にイス3脚だけのシンプルな舞台。離れて立つ語り(ナレーション)と、母親と、娘。(特に序盤は)大仰な感情表現も少なく、母と娘は演者としてそこに存在していますがセリフは控えめ。娘の一人称で進む物語は、ひたすら淡々とした「語り」がその多くを引き受けます。 強いて言うならスタイルとしては朗読劇に近いのかも知れませんが、セ

【初演の感想】飯塚優子さん「この手法の効果は、さらに生かすことが出来るのではないか」|#39『ピース・ピース』札幌演劇シーズン2024-冬

飯塚優子さん(レッドベリースタジオ代表)3方向に客席を設えた舞台、椅子のほか何もない空間に白ブラウスに黒スカート、全員ほぼ同じ衣裳の女性3人が立つ。 ひとりが読み、他の二人がそこに書かれてある母と娘を演じる。 読み手と演じ手を交代しながら、母についての3つのお話が繰り広げられる。 読むという行為、語り手という位置は、客観性を担当する。 あるいは内容のほとんどが回想なので「記憶」という主観もはらんでいる。 一方、演者の二人は、語りに合わせて行動するのではなく語られる母と娘の生

【初演の感想】むらかみなおさん「自分と母の歩いてきた道を、振り返らずにはいられない題材」|#39『ピース・ピース』札幌演劇シーズン2024-冬

むらかみなおさん(宣伝美術/デザイナー)「実験的な企画です」 弦巻さんより初演のビジュアル制作のご依頼をいただいた際に、そう伺いました。 脚本やあらすじもまだ未定。決まっているのはキャストのみ。 「3人の女性キャストから何が生まれるか」をイメージできるようなビジュアルで、というご依頼でした。 そのような創作の過程に興味を惹かれたのもあって、チラシを納品して以降、その後の過程をあえて見ずに本編を見ようと決めました。 SNSからの情報も一切入れないよう、1ヶ月慎重に過ごして劇場に

【初演の感想】末広亭柏倉恭三さん「我が事のように心を揺さぶられる」|#39『ピース・ピース』札幌演劇シーズン2024-冬

末広亭柏倉恭三さん(TGR2019〜2022審査員)TGRにかかわらせていただけた最後の年に観られた作品。わたくしは仕事中の事故でTGRから離れたのだけれども、その時点で大賞に推していたのはこの作品でした。 派手ではなく、奇をてらうでもなく、淡々と自らの裡にある思い出を紡ぎ織りなす掌編の私小説、三篇。 静謐な空間に、暖かくて優しくて、ほんの少し悲しい、いつだって思いどおりに行かない現実に翻弄される、どこにでもありそうで、どこにも無さそうな、母と子の物語。 そして、劇場で

【初演の感想】まとめ|#39『ピース・ピース』札幌演劇シーズン2024-冬

2024年1月27日(土)〜2月3日(土)に上演される弦巻楽団#39『ピース・ピース』。札幌劇場祭TGR2022で大賞&俳優賞をダブル受賞した本作を、早くも札幌演劇シーズンで再演します。 作品の魅力を多くの方に知っていただけるよう、2022年初演をご覧いただいた方に、ご感想を提供いただきました!ぜひ観劇のご参考にしてください。 01. 種村剛さん(北海道大学・教員)続きはこちら 02. 末広亭柏倉恭三さん(TGR2019〜2022審査員)続きはこちら 03. むらかみ

【初演の感想】種村剛さん「これまでになかった表現形式の発明」|#39『ピース・ピース』札幌演劇シーズン2024-冬

種村剛さん(北海道大学・教員)札幌演劇シーズン2024-冬で2022年の札幌劇場祭 Theater Go Round(以下、TGR)で大賞を受賞した『ピース・ピース』が再演されます。待ちきれなくなり、手元にある『ピース・ピース(小説版)』を読み直してみました。私が考えていた以上に小説として読みやすく面白い作品になっていました。 私は脚本を、演劇の骨だと捉えています。名作といわれるシェイクスピアの作品であっても脚本だけ読んで面白く感じることはほとんどありません(興味深い言い回

秋の大文化祭!終わりました。

代表です。 弦巻楽団秋の大文化祭!は12月3日に無事に全演目を終演いたしました。『冬の入口』『死と乙女』そして東京から参加してくれた劇団5454による『宿りして』、2ステージずつ全6ステージ、充実した内容でお届けできたと自負しております。 こちらではあまり途中経過をご報告できてませんでしたが、劇団5454の作演出である春陽漁介さんによるWS(5日間5箇所!)、『死と乙女』チームによる北海道大学の馬場先生を招いての勉強会、『冬の入口』の…さまざまな取り組みが行われました。

脚本の冒頭公開「母は冷たい女だった。」|#39『ピース・ピース』札幌演劇シーズン2024-冬

2024年1月27日(土)〜2月3日(土)に上演される弦巻楽団#39『ピース・ピース』。札幌劇場祭TGR2022で大賞&俳優賞をダブル受賞した本作を、早くも札幌演劇シーズンで再演します。 本作では、「母」と「娘」を巡る3つの物語が3人の俳優によって演じられます。彼女たちの口から語られる「母」の姿は、『冷たい女』、『弱い女』、そして——。 作品の魅力を多くの方に知っていただけるよう、脚本の冒頭を公開!観劇前にぜひお読みいただき、舞台を想像しながらお楽しみください! 第一話

【感想】舞台で演じるとはどういうことなのか(種村剛さん)|「秋の大文化祭!2023」

2023年12月1日(金)より上演された弦巻楽団「秋の大文化祭!2023」をご覧になった種村剛さん(北海道大学・教員)から、作品の感想をいただきました。 ご本人の了承を得て、公開させていただきます。 今年の弦巻楽団「秋の大文化祭!2023」(以下、大文化祭)は、弦巻楽団演技講座2学期発表公演として「冬の入口」(脚本:長谷川孝治)を、道外から劇団5454を迎え「宿りして」(脚本・演出:春陽漁介)を、そして札幌の3名の俳優による「死と乙女」(脚本:アリエル・ドーフマン、翻訳: