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「うわぁそんなに稼いでるんですか…すごい!」ってのもうやめない??

ハンドメイド変態ツルカワらしく、ハンドメイドの話です。ひさびさですが。

もう表題でわかってしまうと思うんですが、いまさらですが、メディアの皆さん、ハンドメイドに対する、その反応、もうやめません?って話です。

わたしはテレビはあまり見ない(精神疾患のため集中して見てられない)方なのですが、この間、ひさびさにテレビのワイドショーのなかでのハンドメイド作家さん特集を、見ました、病院の待合室で。人気作家さんの実態、みたいな。そもそも何からして人気作家、というのかはよくわからないのですが、やはり、その基準は、「作品が売れてて、名が知れてる」ことらしいです。まぁ、「作品が売れている」イコール「作品に人気が集まってる」ということでしょうから、その基準に文句はつけません。

ただ、その作品を見ながら、その方が作る姿を見ながら、レポーターの方はたいがい言う訳です。
「月にどのくらい収入があるんですか?え?!そんなに!すごい!」

…もうみなさん飽き飽きしてるやりとりだと思うんですが、ね。

(さらに書いちゃえば、ついでに
「え、何時間くらいで作れるんですか?え、そんな時間で!すごい!」
というやりとりが続いちゃうともう最悪)

断っておくと、ハンドメイド作品で稼ぐのが悪いと言っている訳ではありません。むしろ自身のステキな作品のおかげで収入が増えるのなら、そりゃ、誰にだってハッピーです。そして誰も損することありません。みなハッピーです。こんなめでたいことない。

でもね、いつもそういう場面を見てしまうと、辟易してしまうんです。だって、そういう番組に限って、その作家さんのつくる「作品」の深さや素晴らしさ、作る姿勢、その奥にある苦労、には触れないのですもの。

ようは作品に込められた、その人間の可能性の素晴らしさをもっとリスペクトしないのかな。なぜ、「稼げる、すごい!」というところでハンドメイドの価値を括ってしまうのかな。そこですごい!って言うなら、こんなに面白いステキな作品作れるなんて、すごい!も、言いましょうよ、少なくとも同等のリアクションで、と思ってしまうのです。

思えば、同じもの作り、たとえばもっとクラフト寄り・芸術寄りの作品を作る「アーティスト」「職人」のドキュメントにはそういうやりとり、あまり、無いように思うんですよね。
そのものを作ることへの姿勢に目を向けて、それがどのくらいの市場価値があるか、は、二の次のように感じます。

この差は何だろう。
同じ「もの作り」であるのに。
考え込んでしまいます。

ハンドメイドは、親しみやすい。身近。すぐ隣の人がやってるかも、しれない。自分だって、その道に入りやすい、そういうものであるからかもしれません。「たかが手芸」というメディアの認識も、あるのかもしれない。

そういう身近なものが「こんな金額になるんですよ」というのは、とてもキャッチーなのでしょう。だからそういう視点でクローズアップされやすい。それはわかります。

でも。そろそろ、思うんです。
そういう身近な人が、ごく普通にそばにいそうなひとが、自らの可能性を開花させ、生活の雑事に追われつつも、ステキな作品を作り上げてしまう姿。それに目を向けてほしいんです。現代人の豊かな可能性が繰り広げるひとつの文化として、扱ってほしいんですよ。

だから、その、表題にあるようなやりとり、もう、メディアのみなさん、やめませんか?飽き飽きしてますよ、少なくとも作る側よりハンドメイドに関わる方々は。
視聴率は取れないかもしれない、キャッチーじゃ無いかもしれない。だけど、それを言ったなら、もっと作品をも掘り下げて、人間の持つ力にすごい!って言いましょうよ。それだって、視聴者の心を動かすなにかを持っているかもしれないんですから。そこから、現代社会でのものの見方や価値観が、変わるかもしれないんですから。

え?やっぱり、そんな誰が注目するかわからないリスペクトの仕方、できない?

…なら、わたしがしましょう、このハンドメイド変態ツルカワがいたしましょう。一生かけてリスペクトしましょう。うん今決めた。ハンドメイドってこんな豊かな文化なんだぜ、って。愚直にも、世界の隅っこから、叫んでみようじゃ無いか。

・・・とは叫んだが、どうしたらいいかな?と考えあぐねながら終わります。


※写真は人様のハンドメイド作品ではこういう話題のときどうかと思ったので、昨年秋、敬愛するパッチワーク作家さんであるAtelier443さん個展でのワークショップで作った、自作のカッパのぬいぐるみでお送りしました。可愛いんだぁこいつ(親バカ)。


いろいろがんばって日々の濁流の中生きてます。その流れの只中で、ときに手を伸ばし摑まり、一息つける川辺の石にあなたがなってくれたら、これ以上嬉しいことはございません。