コンカツ -石田衣良-
高校生の時、英語の先生が「本は読むべきだ。特に石田衣良さんの作品は。」ということを言っているのがずっと心に残っていた。
記憶に残ってはいるものの、全然読んでおらず、今回初めて手に取った。「なぜ、もっと早くに石田衣良さんの作品を読まなかったのだろう。」これが最初の感想だった。今回読んだ”コンカツ”は、1日で読みえおる程読みやすく、共感でき、そして惹き込まれる作品だった。
あらすじ
感想
”コンカツ”の中で、いくつか心に響いた言葉があった。
主人公の1人である彩野が「自分のタイプじゃない男ばかり寄ってくる」と言ったセリフに対して、その他の主人公達が思ったことだ。確かに自分が持ち合わせている雰囲気がどういうった人達に刺さるのかを理解していると恋愛市場では強いのでは?と思わされた。
ただ、自分のタイプの人に好かれるためには、基本だが相手がどういうタイプの人が好みかを探り出し、そのタイプに近づくよう努力していくのがベストなのだろう。
頭も良くて仕事もバリキャリの主人公智香。仕事でも恋愛でも男性と対等に勝負したいと考えている彼女の前に現れたのは、「いまだに何かができない」「(一般的に考えて)何かを知らない」それで好条件の男性とするっと婚約をした女性。
考えれば現実の世界にもいるのではないだろうか?少し常識離れした子からどんどんと結婚していく…でも、戦い方など人それぞれ。自分が自分らしくいられない戦い方をしてもしょうがないなと考えさせらる。
やっぱり、隣の芝生は青い。自分は自分と言い聞かせ、自分なりに納得のいく人生を歩もうと決めても、結局はないものねだり。きっと人間の性なのだろう。逆に、ないものねだりしてしまうのが人間だと考える方が幸せなのかもしれない。
博士号まで取得した友人が、就職先がなく卒業後何年経っても非正規雇用で働いており、正社員である主人公の智香に愚痴を吐いている時のセリフである。
確かに一理あるかもしれないが、政治家でもない以上、一個人が働き方の枠組みを大きく変えることはできない。これもないものねだり。愚痴を吐きたくなる気持ちもわかるが、それを智香に当たるべきではないし、少しは納得がいくよう行動すべきでは?と、この小説で初めて反感を覚えた箇所だった。
恋愛とは少しそれるが、どうしてこんなにも母親など信頼している人からの言葉には安心感があるのだろう。根拠がある訳でもなく、楽観的だがどこかスッと胸に入り込んでいる。
私もよく祖父から同じような言葉をかけられ、いまだに辛い時は思い出す。家族でも友人でも、そのような関係があること自体が財産なのかもしれない。
こんな人に読んでほしい
題名の通りではあるが、結婚を考えている人にぜひ読んでほしい作品だった。特に30代手前の女性は共感の嵐ではないだろうか?また、婚活に疲れて「本当に結婚ってすべき?」と考えている人も、結婚に対する自分の考えについて改めて熟考できるかもしれない。
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