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つれづれつづり

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それぞれ、おのおの、つれづれにつづります。
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#恋愛観

ふっと手を差し出すような

20代でそこそこ遊んだ自分は、30歳を前にして「ちゃんと」付き合いたいと思い出す。「ちゃんと」ってなんだ。当時、周りには結婚して子供が生まれる友人が増えてきた。自分にはそれと同じことはできないけれど、似たようなことはできる。家族みたいなものが欲しかったんだと思う。 その「ちゃんと」を追いかけて恋愛をする。当時はmixiというSNSが全盛期で、日記を見に行ったり、足跡を残したりしていた。そこからひょんな事で一人の人と付き合うことになる。きっかけが出会い系でもないし、ハッテン場

からむ手/からませる手

高校時代、先輩に恋をしていた自分は叶わないことがわかっていた。 だからそれを恋だと思わないようにしていたんだろう。 熱く重い恋でしかなかったのに。 大学に入ってローンを組んで買ったパソコンがゲイの道を大きく切り開いてくれたといっても過言ではない。とはいえ意気地のない自分は、ネット上でやり取りはするものの実際に会うのに躊躇していた。当時の自分に言ってやりたい。何ビビってんだ。その真面目な仮面をかぶった臆病さが自分を滅ぼすことになるぞ、と。 「初めての相手は好きな人としたい。

手をつなぎたい

子供の頃、憧れていた恋愛の形があった。 子供の頃だから恋愛って何だとかなんてちっともわからなかったし、世の中には色んな恋愛の形があることも知らなかったし、その色んな形の中でも少数派に自分が当てはまるなんて思ってもみてなかったから、自分はその恋愛の形に憧れた。 その恋愛の形は、テレビでよく見る老夫婦だった。 軽快なメロディに乗せて若い男女が歌いながら楽しく踊る。それを見ている老夫婦が、影響されてリズムに乗りながらお互いを見つめ合ったり、手を取り合って踊る。 チャーミグリーンと

「好きな気持ち」がうまく言えない

そんな私が、人を好きになった。 仕事の後輩。出会いは4年前。後輩君と呼ぶことにする。 はじめは、チームもちがうし、その子の指導係も別にいたから直接かかわることはなかったけれど、 シンプルに、かわいい。 一生懸命なところとか、ノリのいいところとか、見た目も含めてかわいいのだ。 遠巻きに見守るくらいだったけれど、たくさんいる中の一人、きっと向こうにとっては直接かかわろうとは思わないだろうなーと思い、何も変わらない日々が続いた。 その年の末、まだオフィシャルに“忘年会”が開け

「人」を好きになるということ

人たらし。ぼくは、仲良くなった人によくそう言われる。 「恋愛観」というテーマでつづり始めるにあたり、まずは自分の人とのかかわりについて振り返ることから始めようと思う。 もともと人とかかわることが、特別得意ではなかった子ども時代。三兄弟の長男として生まれた自分は、いつも親戚を前に「長男として」「立派でなければ」というものを求められてた、というかそう勝手に感じるような子どもだった。そうでなければ、自分じゃない、という思いをもつようになっていたとも思う。 そこからだと思う。相

思い出すこと。忘れていくこと。

こんばんは、今なにしてるの? 隣に恋人はいる? それとも好きな人はいる? おじさんになったぼくは恋人も好きな人もいない。予定では恋人と二人で、幸せな日々を過ごしているはずだったんだけどね。 いつからか、人を好きになることができなくなっていたように思う。時々恋人はできるのだけど、なかなか続かない。気を使いすぎるのか、傷つくのが怖いのか、傷つけるのが怖いのか、向き合うことができないのか、本当は好きじゃなかったのか。。 それでもやっぱり生きていくためには、愛は必要だと思う。

一番古い。青くて甘い。

恋愛観を3回に分けてということで、そうなるとやはり過去の恋を3分割に綴ることになりそうです。 ここのところ忙しくしていたこともあって、また私自身も日進月歩に変わっていくのでもう思い出せないことも多いのですが、書けるかなあ、面倒で可愛い文章。 まずは1回目。 経験豊富とはとても言えず、元彼と呼ばれる存在は2人しかいません。つまり1人目の話になるのですが、実はこの方 過去の記事(平成テーマの第4回) https://note.mu/2020220_007/n/n4da3e

人が怖くておりこうに、未練がましく。

そうして綺麗な恋を手にした気がしていました。 随分とおりこうな恋を。 彼は私に、心理テストみたいな質問ばかりするねと。 彼は私に、わがままだから、人のせいにするからと。 彼は私に、あなたが良くても僕は嫌なのと。 伝えるチャンスを潰し、怒り、圧をかけてくると感じていました。 彼の素敵なところは私には無い物で、当分手に入らない物で、もしかしたら手の届かないところにあるのだと思います。 羨ましくて悔しくて、美しくて苦しい。 私も1人の人であり、若く苦しい学生で。 つい皮肉を言

初心と共に。

第二回目の恋愛観。 過去2人中2人目の恋人との話をしていこうと思います。身勝手な傷心中なので、私自身の気持ちの整理の意も込めて。 出会いは5ヶ月前。菖蒲の花を見に行った時。 1人、ジャズを聴いて帰るとマッチングアプリにメッセージが入っていました。 「こんにちは、ストーカーみたいで気が引けますが、さっきすれ違って気になったのでメッセージをしました。菖蒲はお一人で見に来られたんですか?」 家では落ち着けない私は、忙しい日々の合間を縫って、花や演奏を鑑賞することが楽しみだったの

真実は、君と共にある。迷わず進んでくれ。

 というわけで、最近の話。あれこれ悩んでいた二十歳くらいから、さらに同じだけ長く生きてしまって、自分の価値観や恋愛観は変わったのかな。育まれたのかな。よく分からない。ただ、変わったこともあれば、変わらないものもある、ということだけは分かる。  現在進行形の恋愛も含めて、この10年間は何となく生きるための基盤を気づいてきた10年だったように思う(今更やっと?)。定職にも就き、仕事もまぁまぁ楽しいし、何とか生活できている。そして私生活でも自分の存在を無条件に認めてくれる存在がい

バラード 第1番 ト短調,Op.23.

恋はワタシを綺麗にした 恋はワタシを強くした 恋はワタシに涙を与えた 恋はワタシに絶望を教えた 誰かがワタシにいった 「キミは恋多き女だよね」と それにワタシは申したい 「恋をしないで生きられる人なんているの?」と お付き合いの数だけ数えれば 60数人の殿方との人生を歩んできたワタシにとって 誰かに恋して成就しなかった数なんて それこそ数え切れないくらいの恋の物語がある 本当に恋していないと生きていられないのかもしれないな なんて本気で考えたこともある でもふと思う

恋愛観:Q インタビュー

つれづれつづり 恋愛観 最終回 今回は趣向を変えて対談形式です。お相手はもちろん現在恋愛関係にある男性です。 過去の記事で何度か登場してきました彼に、つれづれつづりに綴ってきた内容や恋愛観、二人の関係について聞きました。 ****** ――今回はご協力いただきありがとうございます。個人を特定できない範囲内で自己紹介をお願いします。 「皆様はじめまして。酒と音楽とセックスをこよなく愛するしがないアラフォーです」 ――この企画開始前に少し相談させてもらったことがありましたが「つ

大海原でハゼが死ぬ

こんにちは。つれづれつづりシーズン2、恋愛観の最終回です。大海原に出たハゼが、あまりに異なる価値観に触れてボロボロになり、浅瀬に打ち上げられる話です。今となっては笑い話ですが、日本近海に出たつもりが、聞いたことのない熱帯の海に出てしまったかのようでした。 初めてお付き合いした方と別れたのち、二丁目で様々なキャラクターのお店に行ってみたり、どんなところか疑問だらけだった発展場(有料)に行ってみたり、当時は合法だったらしいものを経験したり、フリーセックスにチャレンジしてみたり、

ゲイの恋愛観 - その3

つれづれつづり、テーマ「恋愛観」の第3回。早いもので最終回です。 改めて今回のテーマで書いてきた自分の文章を読み返すと、やけにロジカルで淡々とした印象を受けて自分でもびっくりしてしまいました。 他のみなさんはもっとドラマチックだし、「こんな内容で大丈夫だったのかな…?」と今更少し不安になってきたり。前回の「平成」がテーマの時は、もっと感傷的に書いていたので、余計にギャップが気になる。 まあでも今更方向性を変えても仕方がないので、「ゲイの恋愛観がノンケと異なる3つの理由」の最