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初心と共に。

第二回目の恋愛観。
過去2人中2人目の恋人との話をしていこうと思います。身勝手な傷心中なので、私自身の気持ちの整理の意も込めて。

出会いは5ヶ月前。菖蒲の花を見に行った時。
1人、ジャズを聴いて帰るとマッチングアプリにメッセージが入っていました。
「こんにちは、ストーカーみたいで気が引けますが、さっきすれ違って気になったのでメッセージをしました。菖蒲はお一人で見に来られたんですか?」

家では落ち着けない私は、忙しい日々の合間を縫って、花や演奏を鑑賞することが楽しみだったのです。もちろんお金がかからないこともあって。

私は取り繕っていた気もするけれど、彼は私に興味を抱き何度かご飯に誘ってくれました。

他愛もない他人行儀な話をして、適当に笑いながら表情筋を痙攣らせたりもしつつ。それでも彼を好きになるだろうと感じたのは、本屋に寄った際、彼の知人とばったり出会した時でした。拒絶もされず、そこにいる事を許されたのです。もちろん会話には参加せずに本を見るばかりでしたが、やましさも後ろめたさも無く、むしろ私たちの関係を彼自身が肯定してくれていたのです。きっとその時は。

セオリー通りの3回目のデートの前、勇気を振り絞れない私は先に、次は絶対にハグをしますねと伝えたのです。
結局のところ、その晩に「家に来ないかと言ってくれないんですか?」なんて言って朝帰りを果たしました。

4度目に会う約束をして、次は告白をしますと告げ、しかし堪え性のない私は電話口で言ったのです。
お付き合いをしませんか?

どう返事をいただいたのか、もう記憶になくて残念なのですが、そこから先はスムーズで。デートを重ね、片道1時間を原付で通い、より近く、より長く。相手を知れたらと全てを肯定し、触れて受け入れて、相手に知ってもらおうと一歩を踏み出そうとしながら。


鍵を渡そう、お互い検査に行っておこうと提案をくれたり、浮気はないよと私の目が入る余地を与えてくれて、知り合いにも会わせてくれて。彼からの関わりが白く透明であったから、私は彼には敵わないし、裏切れないと思ったのです。
私も彼に応えようとアプリはやめ、暗証番号を教え、疑いは口にせず、鍵を渡し、家に招き、緊急連絡先を教え、知り合いにも会ってもらったりしました。
結局のところ勇気が出ずに中途半端になってしまったこともあるけれど、誠実であると伝えられたでしょうか。

ちなみに2度目の恋のコンセプトは相手よりも好きを大きくしないこと。相手の事はどうしても想像になってしまいますが、お互い情動だけで、欲求だけでここまで来たわけではないので、始めこそ好きを探さないと、理性的に付き合わないと先には進めなかったのだと思います。相手の家に通う私は特に、少し油断をすると依存をしてしまいそうだったので。前回の二の舞を踏まないように、2人して潰れないように、明るい未来を呼び込むように。

言葉で想いを伝えようと、彼を理解しようと一生懸命でした。

彼の流す曲を聞き、映画を見て、お酒をいただき、遠くても少し不便で趣味の良い部屋に通う。
私の話もしつつ、しかし彼に質問をしました。
「好きな事は?」
「どのタイミングで幸せと感じる?」
「最近、涙を流した事は?」
「あなたは価値をどこに感じる?」
聞かないと滅多に自分の話をしないから、そんなことも思っていたのだけれど、価値観をすり合わせられるように。理性的に。好きでいられるように。

「セックスが全てとは思わないんだけど、会うとどうにもならなくなっちゃうね。」

彼の好きは私の好きとは限らず、私の好きは彼の好きでもない。だからこそ、どこに魅力を感じているのか、あなたの価値観はどこにあるのか、そんな事を聞きたかったのです。

言葉はどうしても足りず、薄暗い過去は言うに言えない。
できることなら今を楽しく、でも深く分かり合いたい。幸せを、分かち合いたい。なんなら苦しみも。

思い返すと、始めは、そんなあなたも好きですよ。好きでいられる努力をします。とたくさん言ってくれていた。


最高に素敵な人。

都会に出て、沢山の良いものに触れて沢山の人に会って、物の味わい方を知りセンスが磨かれていた。
家族とも友達とも明るく長く付き合いつづけられる人で、開けている親交を深められる人。
来訪する人が満足してくれればと、おもてなしに全てを費やせる人。優しい人。

たくさん外にも連れ出してくれて、美味しいお酒とご飯も食べさせてくれて、はちきれそうな程に愛してくれた人。
どれほど腹が立とうとも荒もうとも、拒絶をしない人。

優しさに甘えられる程には親しくなれていたと思います。私は。

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