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総じて論ぜられてたまるか、自死

芸能人の自死が続く。悲しすぎて、すぐにはご冥福をお祈りしますなんて思えない。そんな方は大勢いるだろう。私もその一人だ。そのショックをさらに大きくしているのは、一般的に「自殺しそうにない」という人がそうなってしまったからなのかもしれない。自殺しそうにない、というのは単純にそういう部分が全くと言っていいほど見えないということだと思う。芸能界なんて特にそういう部分が見えにくいところだから、一般人の私たちは知り合いが亡くなったのとはまた別のベクトルで色々考えてしまう。
人間は想像力が中途半端に豊かだから、たくさん想像してしまう。過去のことやあるはずだった未来のこと。他の人のこと、自分のこと、いろいろ想像してしまう。しかし一方で、想像力に限界があるのが人間であり、人が死ぬ時の状況なんてこの世に生きてる人間の数だけパターンがあるんだってことを簡単に忘れる。人の死なんて完全に「個」なのに。想像するのは自由だけど、総じて論じてはいけない。これは自分の肝にも銘じたいことだ。

そう書いておいて、私は自死した人と自分を重ねて考えてしまっている。でもこれは「個」と「個」を重ね合わせているだけで総じて論じているわけではいないと信じたい。今日は自分のことを書こうと思う。


私はホルモンバランスに死ぬほど揺さぶられる。文字通り「死ぬほど」。ホルモンバランスが崩れ、ストレスにうまく対処できずまたストレスが溜まり、そのストレスは絡まり合って苦しさの原因が自分でも分からなくなってしまう。そこまで行くと原因不明の涙が出てくる。頭が沸騰したような感覚で、単純で極端な思考になる。繁殖だけが目的ではない生き物だからこそのシンプルな答え。

「こんなに苦しい気持ちが続くなら終わりにしたい」

ここまで書いたが、キッパリと言っておく。私は決して心配してほしくてこの文章を書いているわけではない。総じて論ぜられてたまるか、と個の自死への経験や考えを吐き出しているだけである。

話は戻るが、こんな単純で極端な思考しかできなくなった私が、他の人間を頼るなんて高度な信号を途中で割り込み入力できるはずがなく、いつまで経っても個人での処理だった。首の吊り方を調べ、ドライヤーのコードを首に巻いた。繰り返しになるが、ここまで死にたくなっている苦しさの原因は、このときの私には分かっていない。ここが本当に今考えると怖い。親の顔も友達の顔も浮かばなかったと思う。そういうもんだった。

苦しい。辛い。もう嫌だ。死のう。までいったけれど、その次にきたのは、怖い。だった。
私は本当に怖がりで、痛いのが嫌でピアスも開けていないし、霧の夜は事故が怖くて車の助手席で叫んでしまう。絶叫系なんて本当に無理でユニバのハリドリで泣く。運命的に怖がりだった。怖がりのおかげで死んでいない。

間抜けだと思うだろうが真剣な話だ。占いの話になって申し訳ないが、私には神秘十字線という先祖から守られる運命の超絶強運手相が両手にある。多分この怖がりな性格は先祖から与えられた最悪で最強の生存手段だ。間抜けでよかった。

そんなわけで生き延びている私だが、さすがに病院に行き薬をもらって今に至る。(ホルモンバランス激動3年目の今年は、今話題の小林製薬『命の母ホワイト』を飲んでみた。また別の記事で詳しく書きたい…。)
私の場合はうつ病ではなく体の調子が悪かったのが原因だった。でも、もし死んでいたら、私は周りの人に勝手にうつ病と診断されていたんだろう。

「自分は結果から原因を考えるための想像力や知識を十分に持っている」そんな傲慢な人は自死なんてしないだろう。そういう世の中になればいいんじゃないでしょうか。さらに、これを皮肉と捉えられなかった人も自死なんてしないだろう。そういう世の中になればいいんじゃないでしょうか。

そして最後に、自死した人の人間関係を想像して「誰か相談できる相手はいなかったんだろうか」と嘆くありきたりパターンについて。
嘆くこと、その状況を想像するのは自由だが、想像をよりめぐらせてみて欲しいと私は思ってしまう。まず相手がいるいないではなく、個人の問題だ。相談するという行動が取れる人は自死しないだろう。
ただ、苦しくて頭がアンコントロールだったあの時の私は、誰かに相談するという高度な信号を割り込み入力することはできなかった。いつもの脳じゃなかった。だから、「首の吊り方」と調べたときに案内されるのは、相談コールの電話番号よりも、最短で薬が手に入る方法の案内であってほしかった。頭を制御可能にする薬をとりあえず飲んで初めて個人の処理から抜け出せた。私の場合。

以上、自死に関する経験談と考えだ。非常に「個」であり総じて論ぜられたくない話。死んでしまっては主張できなかった話でもある。

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