「環境」「チーム」勧誘編①

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私が「環境」の構成員と最初に関わりを持ったのは、新宿のとある社会人飲み会でした。私は大学時代の友達(「環境」の構成員ではありません)に誘われ、勤めていた会社の閉鎖的な人間関係に疲弊していたこともあり、参加を承諾しました。

元来人見知りながら、「もっと交友関係を広げたい」という希望を持っていた私にとってこのようなイベントは大変有難かったです。ただ、幹事がそれぞれ友達を呼ぶシステムのため、ほぼ初対面の人が多数集まる飲み会ということで、私はコミュニケーション能力の高い参加者のハイテンションなノリについていけませんでした。偶然共通の知り合いがいた人としばし歓談する他は、テーブルの隅で話に相槌をうつふりをしながら、ひたすらこの居心地の悪い時間が過ぎることを願っていました。

そのときに、明らかに浮いていた私に声を掛けてきたのが、「環境」の構成員Aでした。Aはとある企業からベンチャーに転職しており、元の会社と私の勤めている会社の業種が近いこともあり、業界あるあるなど共通の話題で盛り上がりました。この日はA含め数人と連絡先を交換し、人見知りな自分に自己嫌悪を感じながら会場を後にしました。

次の日、Aから翌週末の飲み会に誘われました。前回同様、複数人の幹事がそれぞれ友達を呼ぶ形式のようでした。人見知りな私はここでも場に馴染めず、唯一の顔見知りであったAと話していました。元の企業でも充分に活躍できそうな学歴とポテンシャルを持ったAが、なぜベンチャーに転職したのか興味があった私は、そのことをAに尋ねると、「ベンチャーに転職したのは自由な時間を増やすため。いずれは起業するつもりで、そのステップと捉えている」とのことでした。

そしてその場で、同じようにベンチャーに転職しつつ起業を目指しているという、幹事のBを紹介されました。Bは「今後、今の会社で働き続けるにせよ、僕らのように自分なりのキャリアを描くにせよ、『キャッシュフロー・クワドラント』という本は読んだほうがいい」と教えてくれました。元来読書好きな私は、すぐに本を買って読むと伝えました。飲み会の後、AはBと私を含めた3人のトークルームを作成し、「本読んだら感想教えてね!」と連絡をしてきました。

2日ほどして、本を読み終えた、勉強になったという旨のラインをトークルームに投稿すると、Aから「今度Bとお茶するんだけど、そこに来ない?今後のキャリアを考える上で、色々な話を聞くのって大事だと思うし、元々近い業種だから、いま会社がどんな感じなのかも知りたい!」と返信がありました。自分のキャリアを考える上で、転職や起業を選択肢に入れるのも悪くないな、と考えていた私は、二つ返事で承諾したのでした。

『キャッシュフロー・クワドラント』の内容について軽く触れておくと、社会人を4つの「クワドラント」という属性に分け、なぜ同じように働いているのに、なかなかお金が貯まらない人と資産家という違いが生まれるのか、ということを説明している本です。それぞれのクワドラントはE(Employee、労働者)、S(Self-employed、自営業者)、B(Business owner、ビジネスオーナー)、I(Investor、投資家)と呼ばれ、前者2つは「時間」により収入を得る人々、後者2つは「資産」により収入を得る人々と説明されています。そして、時間により得られる収入には限界があり、さらにお金を得ようと思うなら、資産から収入を得なければならない、と語っているのです。

Aに平日の夜の時間を指定された私は、五反田の喫茶店に赴きます。AもBも五反田に住んでいるから、とのことでした。Aに本の感想を問われた私は、「資産から収入を得るという考え方は素晴らしいが、ビジネスの権利にせよ、不動産にせよ、まずはある程度まとまった貯蓄を作らないと購入できないと思う」と答えました。するとAは「会社員の収入から貯蓄をして、資産を購入できるようになるまでには非常に長い時間がかかるよ。これは『働き方の損益分岐点』という本にも書いてあるんだけれど、そもそも会社員の収入は会社にとってできるだけ切り詰めるべき経費なのだから、そこから貯蓄をしようと思ったら、自分の生活の楽しみを何かしら犠牲にしないといけないんだ」と言いました。確かに、日々飲み会や趣味、デートなどにお金を使っていると、そうそうお金など貯まるものではありません。

Bは「僕にはタワーマンションに住みたい、高級車に乗りたい、年に2回は親を海外旅行に連れていきたい、等々たくさんの夢があるんだ。その夢を叶えようと思ったら、会社の給料では全然足りないことに気がついた。でも資産はすぐに手に入らない。だから起業することに決めた」と言いました。そして「もちろん起業にはリスクもあるけれど、僕は既に起業している師匠に起業のノウハウを教えて貰っているんだ」とも語りました。様々な仕事を掛け持ちしているらしく忙しいBはすぐに帰り、Aは「今の話どうだった?」と聞いてきました。「師匠に起業のノウハウを教えて貰えるなら、自分で起業して失敗するリスクは減るし良いと思う」と話すと、「そうだよね!俺も夢が色々あって、それを叶えるためにはサラリーマンじゃダメだと思って、師匠に弟子入りしたんだよ。本当に親切にしてくれるし、整った環境だと思う」と言っており、私はその師匠という人物に興味を持ちました。

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