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#7 聞くだけで解決するって、そんな上手い話がありますか?

「うーん、どうしよっかなぁ・・・」


仕事をしているとこんな声が聞こえてくる。
何やらお客様への提案で悩んでいることがあるみたいだ。

僕はそっと近づいて、コーヒーを渡す。
「どんな案件なんですか?」という言葉と共に。

お手伝いさせていただいている中小企業。
これまでなら困った時は社長に直接聞きに行っていたようだが、
その社長は最近事業拡大に向けて事務所を離れることが多い。

そうなると、決定を下す方法がないため困った時に前に進めないことが増えてきたようだ。

案件の説明を受けながら、質問をしていく。
社員さんは、僕の質問に答えながら丁寧に説明をしてくれる。

しばらくしていると、「こうするのが一番だなぁ」と自己解決。

こういう場面とたまに遭遇する。

聞くことの目的は思考のフレームから外すこと


人は一旦、自分の考えが固まってきだすと、それ以外の考えを受け入れがたい状態に陥ることがある。思考のフレームだ。

人間という生き物は基本考えることはエネルギーを費やすから極力エネルギーの消費を抑えるために「こうだ」という思考のフレームを作り上げて省エネモードに入る。

しかし、それは本人に自覚することが難しく、一度ハマるとなかなか抜け出すことができない。

そんな場面に遭遇したら、僕は誰かに話をし、傾聴してもらうことが有効の一つだと考えている。

話は変わるが、僕は生徒指導で1対1で話をする時など、他の先生方より時間がかかるという印象を持たれることがあった。

現に「そんなに長い時間話してどうする?」と聞かれたこともある。

でもそういう教員ほど同じ話で何度も何度も話を聞くことになっていることが多い。

僕がなぜ1回の話が長くなるかというと、生徒の思考のフレームを話を聞くことで深く推察し、その中で本人の凝り固まった思考を質問でほぐしていく。答えていくにつれて、考えが少しずつ変化していくのを観察しながら、どういう行動を取るか自分で決めさせる。この工程を経るからであろう。

まぁ、うまくいかないことも多くあったけど。ほとんどの場合は、自分自身で納得してくれる。

まさに、「聞くだけで解決!」となるわけだ。

誰でも自分の話を聞いてほしいもの


脳科学者の研究で、「人が話をただ聞いてもらうこと」は「金銭を与えられたこと」と同等の報酬系が働くという。

報酬系が働くということは、気分も高揚し、前向きな判断や行動が増えていくだろう。

人はつい、相手に行動を起こしてほしい時に、直接的な言葉で指示をする。
時には、言葉を強めたり、断定的なものの言い方をして相手の思考のフレームを作り上げてしまう。

でも、よくよく考えるとその人の人生はその人のものであり、自分の人生も自分のもの。

その立場に立てば、話を聞くことでその人自身が納得するだけじゃなく、ちょっとだけ嬉しくなって、自分にも自信ができるような聞く役としての関わり方というのも悪くないのではないだろうかと考える。

話を聞いてほしいのは、大人も子どもも変わらない。

学校現場で身につけた傾聴のスキルは、ビジネスの現場でも大いに役立っているのだ。

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