愛されるより愛したい女性達の話

 異性と付き合おうと決める時、男性も女性も3つのパターンがある。
 それは「好かれて付き合う」か「好きになって付き合う」か「お互い好きあって付き合うか」だ。

 女性向けコラムや恋愛本で「女性は愛された方が幸せになれる」というフレーズをよく見かけるのではないだろうか。
 「自分を好きになってくれる人の中から選んでいる」という女性。また「自分を好きになってくれる子が好き」という受け身な男性。
 これらは「好かれて付き合う」に該当する。

 「好かれて付き合う」タイプはいい。
 自分を好きになってくれた人の中から選ぶので、ありのままに近い姿を愛してもらえる。
 もちろん幅広く「好かれる存在である為に」努力はしているかもしれないし、本当は自分を偽っているかもしれないし、その為にあらゆる試行錯誤を繰り返しているかもしれない。
 それでも「自分を好きになってくれた人を選べる人」には変わりがないのだ。

 そしてこの「好かれて付き合う」になれないのが「好きになって付き合う」タイプである。

 決して相手の見た目が悪いわけでも、スペックが悪いわけでも、何かが悪いわけでもないのに、むしろいい人なのに、何故かその好意を受け取れない。
 私って熱しにくいのかな? なんでだろ? 全然ピンとこないんだけど……それでもデート続けるべき? でも好きになれるの? そんな自問自答を繰り返す。

 こういう女性は一度はこう思ったことがあるだろう。

「やっぱりいいなと思った人じゃないと……」

「自分が好きになった人と付き合いたい」

「結婚するなら好きになった人と結婚したい」

 彼女達は「自分が好きになった人に好かれたい」のだ。
 自分が興味を持っていない段階で好意を示されても何も感じないし、むしろその好意を受け取ることが出来ずにいる。

 「だって、私、あなたのこと好きじゃないんだもの」

 こういう女性は薄々気づいているのではないだろうか。

 自分が「愛されたいと思いながら」も「愛したいということ」に。
 私も誰かに「好かれたい」誰かの「一番になりたい」と思いながらも「好きな人が欲しい」「好きになれる人が欲しい」と思っているということに。

 愛されるより愛したい彼女が一番好きなのは、出会った彼ではなく「彼を愛している自分」なのだ。

 彼女が見ているものは「大好きな彼」ではなく「大好きな彼を好きな自分」だ。

 彼を好きになって高揚する気持ち、満たされる想い、全身を駆け巡るような快感が「好きになれてよかった」と実感させてくれるだろう。
 そしてそんな気持ちにさせてくれる彼に、更に想いを馳せるという悪循環を起こし、依存度を高めてしまう。

 狩猟本能が備わっている男性はいい。
 自分が好きになった女に好かれたい、落としたい、モノにしたい……そう思いながら狩りをする。

 どうしてそれを女性がしてはいけないのか。
 もちろんしていけないなんてことはないし、肉食女性と言われるストロングタイプ女性が強いのは事実で、そういう女性は強かさと積極性を勢いにのせて上手く男性を狩りとっていく。

 しかし女性は本来、男性のように多くの異性を愛するように出来ていない。

 シンプルに「この女とセックスがしたい」と行動に移せる男性とは違う。
 男性の多くは「この女を落としたい」と思いながら「この女を幸せにしたい」と考えながら、他の女ともセックス出来る生き物である。

 もちろんそうではない男性もいるが、彼女がいても妻がいても、大好きな人がいても、他の女性を抱いている男性がいるのはそういうことだろう。

 性欲モンスターな女性もいるが、基本的には女性にその原動力はない。
 だとしたら、その女性の原動力とはなにか。

 「感情」である。

 セックスの為に頑張れる男性のことを女性がアホだと思うように、男性からすれば馬鹿げているだろうが、女性とは感情的な生き物だ。「好き」という感情は充分に原動力になる。

 もちろんその好きは「顔が好き」「性格が好き」「雰囲気が好き」「セックスが好き」「収入が好き」など色んな「好き」があるのが女性だ。その中の一つに特化しているかもしれないし、複数の組み合わせかもしれない。

 その「好き」が発生した異性を求め、その「好き」という感情を欲し、「好きな人と付き合いたい」のが「好きになって付き合う」タイプだろう。

 ストロングタイプのように狩る人から、いつも追いかけてしまって失敗する人、好きな人側からのアプローチを期待する受け身な人、逆にアプローチさせるように仕向ける小悪魔な人……色んな人がいると思うが、共通して言えることは「そういう自分が好きな人」が多いであろうということだ。

 普段の自分のことは好きではないかもしれないし、自尊心だって低いかもしれない。

 でもこのタイプは気づいているだろう。
 好きな人がいる時の自分がとても生き生きしているということに。そして色褪せていた日常が一瞬にして明るさを取り戻すということに。

 そこで晴れてHAPPY ENDを迎えた人はいいが、上手くいかない人は恐らくすべてが中途半端なんだろうと思う。
 愛したいくせに傷つく勇気も覚悟もない。でも好かれたい、好きでいたい、彼を手に入れたい……と、願いだけを胸中に秘めて繰り返す。

 いつだって幸せを掴むのは、傷つくことを恐れないで前だけを向いて行動できる人なのだ。

 そして何故、言い切った書き方をするかというとすべてソースが私自身だからである。

 愛されるより愛したいがゆえに一方的な愛情を送りたくなるタイプなのだが、それを本来行っていいのは「我が子」にだけだろうと思う。
 そう、異性は他人であり我が子ではない。無償の愛は与えても、母性の愛は与えてはいけない、とたまに思う。

 愛されるより愛したい女性達は考えるべきなのかもしれない。
 本当の「愛情」というのが一体何なのか、ということを。

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