伝えないと伝わらない
今月から仕事先がひとつ増えて、3月まで働いてた職場に週1の半日だけ勤務することになった。端的に言って仕事を減らすために転職したはずが、結果的には前より勤務日が多くなってて、月に3日しか休日がない状態。量的な負荷はだいぶ減っているし、15時にあがれる日が週2日あるから、負担感としてはそれほどないのだけれど、完全オフの日が少ないのはやっぱりちょっと息が詰まる。今も20連勤の真っただ中。来年度はもう少し整理しないと。
休日や早上がりの日はもっぱら息子と近所の池に釣りに行っている。息子がまんまと釣りにハマってくれたので自分が行く口実になるし、好きなことを子どもといっしょに楽しめるのはやっぱりうれしい。魚は10センチ以下、大きくても15〜20センチくらいだけどそれでも釣りは楽しい。
子育ても4人目になると、子どもといっしょに遊べる期間なんて長いようで短いことを知っているから、現在進行系でとても幸せな時間の中にいることを認識する。いっしょに遊んでもらえる時期なんてきっとあっという間に過ぎていって、懐かしく思い出す日がくるのだろう。それまで生きていられれば、の話だけど。あとで「あの頃は楽しかったな」とか「幸せだったな」と思い出せるのもいいけど、せっかくなら、リアルタイムでも幸せを感じていたいと思う。
先月末、大好きなグループの、好きになるきっかけを作ってくれたメンバーが、急に辞めてしまう、ということがあった。Xの方ではポジティブなことしかかかないようにしているからこっちで泣き言をいうんだけど、しばらくアイドルヲタクから離れていた自分をまた引き戻してくれたきっかけになった大切な推しだったし、もちろん感謝しているしこれからを応援したい気持ちに嘘はないんだけど、それでもやっぱりショックだったしとてもさみしかった。もちろん今もとてもさみしい。半年以上もライブに行かなかった自分を覚えてくれていて、以前と変わらない笑顔で名前を呼んでくれた彼女は、あのとききっとつらかったんだろうな。また会いたいって気持ちと、でも辞める前に会えてよかったって気持ちが混ざり合っている。
俵万智さんの「最後とは知らぬ最後が過ぎていく その連続と思う子育て」という好きな歌があるんだけど、いろんなことがこれに当てはまるなと事あるごとに再認識させられる。「推しは推せるときに推せ」というのはつまりそういうことだ。
ただ、その数日後に、ほかのメンバーが引き続きグループを続けていってくれることと、先輩グループがしばらくサポートに入ることが発表され、とても胸が熱くなった。なんていうか、勝手に、メンバーも、先輩たちも、スタッフも、ヲタクも、みんな同じ気持ちなんだ、って思った。それがとてもうれしかった。簡単な結論じゃなかったってことは遠くにいる自分にもわかる。かかわっている全員に感謝と愛を伝えたい気持ち。本当にありがとう。
その翌日にも、別のグループで、自分にとってとてもうれしいニュースがあった。うれしいことはつぶやいていくし、直接感謝を伝えたいと思う。
人付き合いで大切なのは感謝と敬意と謙虚さだと思っているんだけど、最近それに「素直さ」も含めたいと思った。考えや気持ちにおいてももちろんのこと、伝えるということに関しても。
伝える、ということはとても大切なことだ。感謝や好意も口に出さないと伝わらない。言わずに相手にわかってもらおうというのは論外だけど、言ってわかってもらえなかったとしても相手を責めるのは筋違いだ。伝えることと伝わることは別。伝えようとしても必ずしも伝わらない。でも、伝えようとしなければ伝わることはない。
どうすれば相手に伝わるか、それを考えて話すことは大切だけど、それをしたからと言って必ず伝わるわけではない。伝わるかどうかは相手にゆだねられている。自分からしたら結果にすぎない。だから、伝えようとすること、それ自体に意味がある。
ポジティブな感情や評価に関して言えば、それを素直に伝えて、いやな気持になる人はほとんどいないはず。ならば、思ったことを素直に相手に伝えればよい。相手のよいところをほめたり、感謝を伝えたり、そういうことが素直にできていれば、ほとんどの場合、良好な人間関係を築くことができる。
…と、偉そうに言っているけど、自分にそれを教えてくれたのは、間違いなく今の妻であって、自分がひとりで気づけたわけではない。彼女はいつも感謝や好意を伝えてくれるので、自分も自然にそうなった、というだけのことだ。自分は妻のことをとても尊敬しているしいつも感謝していて、いっしょにいてくれていることをとても幸せなことだと思っている。そして彼女も自分のことをそう思ってくれていることを知っている。
そう思える人といっしょになれたことはとても幸運なことなんだけど、でも、きっと、付き合い始めの恋人たちは誰もが、そんなふうに相手に対して敬意や感謝を持っているはずなんじゃないか、とも思う。それがだんだん薄れてしまうのは、伝えることをおろそかにすることで、相手の気持ちを信じられなくなる、と同時に、自分自身の気持ちも認識しなくなっていってしまうのではないか、と思うのだ。
「言霊」というのは、なにもスピリチュアルな意味ばかりではなくて、その発した言葉を自分自身も耳から聞くことで、自分自身を変化させる意味合いがある。つまり「好き」って伝えることは、伝える相手を喜ばせる効果に加えて、「自分は相手のことを好きなんだな」って自分自身改めて認識する効果がある、ということだ。だから、伝えること、その行為自体に意味があるし、伝えるために、素直さが必要なんだと思う。
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