犀川 苑

ガラス瓶

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しじま に

折角作った砂の城 再三あるいた夜のしじま 握り込んだガラス片 綺麗という理由で 離せず あなたみたいだったから 夢の中では風は吹かない 箱に収めて思い出せない 道端の光の巣 木漏れ日と呼ぶらしいです さわれず あなたみたいだったから しじまに咲いた花を摘まないで 砂の城の国には 天気予報がない 明日良いことがありますように ありますように

    • これは詩ではないです

      鍋の底が焦げる あなたから電話が来る どこかでサイレンが鳴る 信号が6秒後に変わる 全て予感がする 魔法を使ったから そこの角で会える 迎えは永遠に来ない 明後日きっと眠れない 袖のボタンをなくす 全て予感がする 魔法を選べなかったから 良いことがありますように ありますように 特大魔法陣 チョークが折れる音が嫌い 嫌いだけど祈る どうしようもないです、でも祈る まだ まだ使い切ってないから 愛は祈りではない 祈りは愛ではない それでも良いことがありますように 奪われま

      • 花言葉は嘘

        花言葉は嘘  蓋が開く事 リフレインは狂気を呼び起こすから 嫌いだったけどね 膿を逃がす事 息を切らす喉 胸を焦がす音 灰皿へ投げた火種 呼んだら来てくれるんなら もう少し生きよーか、てみようか 青は藍より出て 愛より深い穴の底へ 底へ 鍵を置いておくので 後味はキャラメルの 花言葉は嘘

        • 約束と境目

          一昨日溶かした境目がまだ少し混ざってる 渡した言葉がまだ喉奥に残ってる 君が触れた肌で生きていく しかない またこんどね 私のじゃない物で溢れる電気街 ヘッドフォンしたら光だけになった 涙流したら色だけになった 雨の日の窓みたいな視界 またこんど 渡された約束を味がしなくなるまで噛んでる 自分だけのジンクスを大事に握ってる 君が触れた肌で生きていく しかない またこんどね

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        • エッセイ
          7本
        • 小説 
          1本

        記事

          ピアス/妃阿甦/pierce

          悲鳴を逃すために開けた孔に 今日もまた石を嵌める 夜道に月を探すように 蟻の巣に水を注ぐように ラムネ瓶の中のビー玉のように わたしたちは孔をもとめていた 孔の空いたからだに その孔のひとつひとつに 石を嵌め指でなぞる 指の腹がすべてを覚えるまで さわる グレゴール・ザムザにも 両の触覚を擦り合わせる瞬間はあっただろうか 自らを異形に変える孔を わたしはもとめていた 望み通りの 望み通りの

          ピアス/妃阿甦/pierce

          あ、傘だ、浜、やらは紅と置いてきた交差点に ずっと勘違いだった ドレス破きたくなかった どのやつ?黒のやつ。 和音 和音は怖かった 脳に残ってしまうから あお、仰向けで痛かった 痛かったね あを、い青い空見たくなかった いつも闇に隠れて あなたの背に隠れて 人見知りの笑顔わらって藁?って掴んで捕まえて 見ないで。 知らなかった  知れば、知れば知って欲しかったと 分かった。それだった。 壁をたくさん作っては倒したドミノ 倒して見つけて欲しかった 定理とかそんなのをは

          くらく

          少しだけ脳を覗かせて 才能なんてなかったんだ 君の天使でいたかったから 石とか飲み込んだりしてみたり 口から鳥とか飛ばしたり お前の言ってる不幸の中に、きっとそんなには果実は残っていない あるのは苦い種ばかり 諦めて幸せになろうよ 君の天使になりたかったから マジックショーで切断されてみたり しても舌足らずの笑顔

          ブローチ

          光掬う午前0時 バラバラになって砕けてあなたの肩に 留まってそしてなにかから なにものから 魔法みたいに全てを 避けられたなら良いのに バラバラになって砕けてそれでも 破片のひとかけらでも 他の人に渡したくはない 胸元に留まるから たまに話しかけてね クロゼットから見つけ出してね 酔いどれ街も寝静まる午前5時 宝石になるから握りしめて願ってね そしたら 全てを賭けてあげる 魔法を 昏い部屋の夢の通い路 瞼を閉じて光を 光を

          むすんで

          エレベーター 待合室  あのスーパーの精肉売り場 延々と雑音が永遠と雑踏に 解けそうになる 意識が  すべてほどけそうに なる 衝動に塗れて、化け物の顔して、 凍えそうに崩れそうに壊しそうに全てしそうに なりたくないしたいしにたい 結び直して欲しい、わたしを 結び直して欲しいの どこも行かせないで 今すぐ捉えて魅せておいて 視線を捕まえられて手を握られたら 爪も隠せるわ

          土星と破片

          踊れ!と言われた その怒声で聖書は落下した じゃなきゃ、でなくてはならないものばかり ならないものしかないのに 透明な糸でビーズを掬う時、それはやがて一遍の詩になる この星のどこかに片割れの獣 凪いだ海に投げる夾竹桃 脚はもつれるのに 耳鳴りは止まないのに 腕は震えるのに 破片を探す 差す陽に目を灼かれぬよういつも目を瞑っていて 凍てつく耳鳴りの夢の中で手を握っていて

          土星と破片

          がらんどう

          空の身体はガラス瓶 美しい透明は遠い 歪み気泡灰吸い込んだがらんどうの目を覗き込まないで 空の体に詰め込むリボンと睡眠薬とルージュ、 1mgのラメ 致死量のラメ 瞬きの致死量 下手なウインク 歪に曲がった右の親指は楽器を持って居たからです  遠い昔の足首の傷の瘡蓋の赤い赤黒いのが 昏い 視線を掴み取るのは あなたを知りたいからで 目を伏せるのは 汚さに触れないで欲しいから あやとりみたいに上手く触れないで その糸のポリエステルの毛羽立つのを 口に入れて噛んで含んで吐いて

          がらんどう

          うさぎ (1)

          足首の傷をまた掻いてしまった。革靴が擦れた所為でできた傷だった。 かさぶたを剥ぎ、薄い皮膜を掻き毟る。皮膚片が粉になって床に落ちた。右手中指と爪の間に液が付着するのを感じ、はたと手を止め見ると既に傷跡は醜く広がって、奥にぽつりと赤い血が滲んでいた。 その赤を見ると、暮子はまたうさぎのことを思い出した。暮子を悩ませるうさぎ。 透明な軟膏を塗り、戸棚からバンドエイドを出し傷口に当てがう。身体を丸め、暮子はまた眠った。 これは彼女のうさぎの話だ。 暮子は3歳のある朝、大きな枝を

          うさぎ (1)

          掻き傷

          また触れてほしくて少しだけ爪を立てて傷跡を広げておいた 鱗のよう剥がれる落ちる皮膚片を集める触れる背中の傷に

          tide

          コップ一杯の冷水が体内に満ちやがて海になるまで眠る

          上澄の対義語ってなんだっけ

          (雑記です。多分去年くらいに書いたやつです。なぜ雑記かというと、日本語が雑だからです。)  随分と昔の話になるが、短い期間心を通わせた友人がいた。何故そのような表現をするかというと彼女とはもう10年ほど前に疎遠になっているからだ。  別段仲良しグループというわけでもなかった。比較的インドアな人間同士ではあったが、そこには幼い子供なりに繊細な「人種」の「分類」があり、私と彼女はそれが別だった。  彼女は絵を描くことが好きなようだった。休み時間は教室で自由帳を何やら細々としたイ

          上澄の対義語ってなんだっけ

          city

          僕ら日時計だけ持って夜の中(まだ)深く(まだ)潜っていたい