ピアス/妃阿甦/pierce



悲鳴を逃すために開けた孔に
今日もまた石を嵌める

夜道に月を探すように
蟻の巣に水を注ぐように
ラムネ瓶の中のビー玉のように

わたしたちは孔をもとめていた

孔の空いたからだに
その孔のひとつひとつに

石を嵌め指でなぞる
指の腹がすべてを覚えるまで さわる

グレゴール・ザムザにも
両の触覚を擦り合わせる瞬間はあっただろうか

自らを異形に変える孔を
わたしはもとめていた

望み通りの
望み通りの







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