未来の京丹後市へ、若者からの提案を。 〜若者と有識者で共催ワークショップを開催しました!〜 ワークショップ編
前回の記事にたくさん反響をいただき、ありがとうございました!
読んでいただけたこと、とても嬉しいです。
2022年10月28日(金)、『つくろう!みらいのまち、検討委員会との共催ワークショップ』を行いました。
7月3日にキックオフイベントをして以来、夏のフィールドワークも含めて約4ヶ月間、みんなで考えてきた提案をプレゼンテーションしました。その後、検討委員会の方からフィードバックをいただき、統合案に向けた議論を行いました。高校生や大学生、地域で長く暮らしてきた方、移住者、大学の先生、市役所職員も混ざった「共催ワークショップ」です。
若者からのプレゼンテーションの内容は、ぜひ「プレゼンテーション編」をご覧ください。
なぜ、共催WSを企画したのか
当初の予定では、若者からの提案内容をまとめて、京丹後市都市拠点等の在り方検討会議に提案をするというところまででした。
しかし、関わる若者(とくに学生)にとって、この機会が少しでも多くの学びの機会になってほしい、さまざまな立場や価値観を持つ人たちと意見交流をしてほしいという想いから、提案の後にワークショップを実施することにしました。
1. プレゼンテーションに対するフィードバックと質疑応答をチームに分かれて、丁寧に行う時間
2. 3つのテーマの統合案の方向性について、若者と検討委員の方とが混ざって、ざっくばらんにアイデアを出す時間
このように時間を区切り、メンバーを入れ替えて行うことで、意見交流の数を増やし、さまざまな人の意見を聞きあえるようにしました。
各グループには、ファシリテーターとして運営メンバーが入り、プレゼンテーション時間の10分間だけでは伝えきれなかった、それまでの若者ワークショップでの議論の詳細を伝えながら進めました。
大庭委員長からの講評
前回のプレゼンテーションについて、まずは京丹後市都市拠点等の在り方検討会議の委員長であり、京都大学大学院 大庭哲治准教授からコメントをいただきました。
1.「20年後の京丹後市のコンセプト提案」
このエリアの未来のまちづくりチーム
2.「内(地元)と外(観光客や関係人口)、両面で魅力的な施設・機能」
こんな施設・場所の機能があったらいいなチーム
3.「駅の考え方を拡張!「シン・エキ」の提案」
このエリアと他の地域との接続を考えた公共交通網チーム
大庭先生には、プレゼンテーションまでに何度もアドバイスをいただいたり、一緒に方向性を考えていただいたりしました。何より、若者ワークショップ自体を、とても楽しんでいただいていて、私たちは大庭先生に(オンラインも含めて)お会いするのが楽しみでした!
次のワークショップにつながるコメントをいただきました。
各チームのプレゼンテーションへのフィードバック
大庭先生からの講評の後、若者ワークショップの各チームのテーブルに、検討委員の方に数名ずつ入っていただき、フィードバックと質疑応答を行いました。
■このエリアの未来のまちづくりチーム
「地域独自の資源について自然と子どもの観点でまとめていて良かったが、高齢者や観光客の目線も加えて地域資源について考えて欲しい。若者と高齢者が一緒に考えていくことが大切」「率直な若者としての意見が他にあるのではないか」などのフィードバックがありました。
若者ワークショップのメンバーは、「インターネットが発展している中で、いわゆる都会を市の方針として目指すことは違うかもしれないと思ったことがきっかけで、”京丹後市らしさ”について議論するようになったんです」と答えていました。過去の議論の中で出てきた意見や、今回のプレゼンテーションに至った経緯を詳しくお伝えしました。
「市内のあいさつ文化や自然に着眼している点が非常に良い」「人口減少の中で、お祭りなどの伝統文化を継承することが課題になる」などの意見もいただき、それらについてグループの中で一緒に考える時間となりました。
■こんな施設・場所の機能があったらいいなチーム
「昔は、峰山町にも映画館が2つあったが廃業となった」「公共交通機関がKTRから、京丹後鉄道に変わった」など、過去の変化を振り返る意見がありました。
「行政と事業者との関係についての視点や、他世代に対して排他的な考えや思想でなく、理解を示すような点に関心した」というフィードバックもありました。
施設は、大きさではなくコンテンツにこだわりたいという話題にもなりました。人口減少の要因の一つとして、文化レベルの低下があるのではないかという意見から、施設や周辺地域にアートの視点を取り入れていくのが良いのではないかという議論になりました。
■このエリアと他の地域との接続を考えた公共交通網チーム
「シン・エキ」の概念について、確認する質疑応答から始まりました。新たに鉄道の駅を作るのではなく、「既存の鉄道駅にモビリティ拠点、即ちシン・エキ機能を付加させるアイデア」だという共通理解へ。
「既存駅をモビリティ拠点とするアイデアが良い」というコメントがある一方で、電動キックボードなど利用対象者によって、舗装が十分になされていない場所では危険が伴うのではないかという意見もありました。
今回の提案では、具体的な条例の整備までは検討しきれていなかったのですが、今後もし「シン・エキ」の概念を進めていく場合には、ユニバーサルデザインを意識することが、非常に重要であると改めて感じる機会となりました。
■統合案の方向性についての意見交流
グループのメンバー構成を変更し、次の1ヶ月半でまとめていく統合案の方向性について議論するワークショップを実施しました。各グループには、若者ワークショップの3つのチームから最低1名は入るようにし、どのテーマについても話ができる状態にしました。
初めてお話しする方も多かったので、付箋を使ってまずは自分の意見を書き出し、それらをシェア&整理する形で議論を進めました。約20分間の話し合いの後に、各グループより全体に対して簡単に発表しました。
1つ目のグループでは、こんな意見が出ました。
高校生からは、このような声もありました。
「京丹後市には、魅力的な人々が集まっている」ということには、全員がそう感じている様子で、最後に大庭委員長から「京丹後の独自性や自然の話につながるが、反東京・非東京といった意見や人々のつながりの場の提供に関する意見が多く出ていたが、これが地域愛着につながる。また、安心・安全が必須であり、ちょっとした楽しさといった身近な幸せが求められているように感じる。地域再発見をみんながすれば、新たな気付きを得られるのではないか。京丹後市らしさ、京丹後市での幸せを考えることが大切」というまとめがありました。
続いて2つ目のグループでは、「情報のバリアフリー化」「SNSでの情報発信と、双方のコミュニケーションのバランス」という情報と場所としてのコミュニティの両面に着目していました。
特に場所については、移住者と地元の人との交流や、移住検討者にも入りやすいようなコミュニティが外から見えること、同時に居場所だと思えるようなサードプレイスも必要だという意見がありました。
高齢化が進む中で、どうしてもネガティブな考えになりがちですが、新しい未来が少しでもポジティブに転じるような統合案にまとめてほしいという声が、検討委員の方からありました。
最後のグループでは、高校生のこのような声にみなさん耳を傾けられていました。
このグループでも、京丹後にしかない資源とは何かという議論になっていました。「観光客にとって唯一無二というものはなくても、ここで暮らす人たちにとって愛着があり、そう思えることを目指すのも良いのではないか」という意見にまとまっていきました。また、高齢者に目を向けることももちろん大切だが、人口比率が変わっていく中で子育て世代への支援も重要になるという声もありました。
最後に、大庭委員長からまとめをしていただきました。
気づいたことがあります。
都市計画という一見難しそうなテーマでも、まちは一人ひとりの集合体であり、みんなの意見を丁寧に交わすことで、世代や立場を超えて、一緒に考え一緒に未来をつくっていけるということです。
たった数ヶ月という時間の中では考えられなかったこともたくさんありますが、この共催ワークショップの3時間の中で、新たな未来への種がたくさん生まれたように見えました。
これからの統合案の作成には、全員のメンバーが関わるわけではありません。しかし、この4ヶ月に交わしたたくさんの想いをまとめ、自分たちの未来に対する一つの答えを見つけたいと思います。
共催ワークショップが終わったあと、別室で今後のスケジュールを伝えながら、その部屋に漂っていた達成感とメンバーの誇らしげな顔を忘れることはないでしょう。
学業や仕事との両立が大変な中でも、「楽しかった!」みんながそう言ってくれて、新しい形の仲間ができた期間だったと感じました。
次回の記事は、ついに「統合案」の内容となります。どんな提案になったのか。その経緯も含めて、たっぷりとお伝えします!
どうぞ、お楽しみに!!!
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