89個めの星座
宇宙から落ちてきた星屑が
貝殻みたいに散りばめられて
わたしは、夜空を泳ぐ魚になる
「人間はね、地球を卒業したら
星座にしてもらえるんだって。」
わたしを形作っていた粒々たちが
ぱーんっと弾けて宇宙に散らばった
もしも本当に星座になれたなら
わたしのカケラをあの人の上に
降らせることも容易いことね
何度めかの春に見た
散りゆく桜の花びらみたいに
はらはらとあなたの肩に落ちて
きらきらとわたしを光らせたいの
そうすれば
あなたはきっと
わたしを思い出して
切ないため息をひとつ
落とすかもしれない
あなたがわたしをもう一度
思い出してくれるなら
星になる覚悟だってできてるわ
89個めの星座 / 月乃
今夜もあなたに星が降りますように。
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