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外国人を雇う企業には課税して行政コストを負担させよ

外国人労働者を雇う企業は、それによるメリットを感じているはずですが、一方でそうした企業が外国人を雇うことでデメリットを感じている人も大勢います。

第一は、外国人さえ来なければ国内の労働力不足が一層深刻化して自分たちの賃金が上がったはずなのに、そうならなかった日本人労働者です。

第二は、「外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策」が必要となってコストが増える政府です。

第三は、日本向け輸出が増えると期待していたのに、そうならなかった外国の生産者です。

日本人労働者の犠牲の上に企業が利益を稼ぐのは、日本経済のためとは思われませんし、労働力不足が緩和されてしまうと企業の省力化投資のインセンティブも削がれますので、私はそもそも外国人単純労働者の受け入れには反対です。

しかし、受け入れる事が決まってしまった以上、少なくとも受け入れた事に伴って発生する行政コスト等は、受け入れた企業に負担させるべきだと考えます。そう考える理由は三つです。

第一は、公平の問題です。利益を受ける企業がコストを負担するのではなく、むしろ被害者である日本人労働者が払った税金でコストを賄うことは、決して好ましいことではありません。

第二は、日本全体として受け入れるべきではない外国人が受け入れられてしまう可能性が高まるからです。いま、「外国人労働者を雇った事によって、企業の利益が1円増えた」とします。一方で「外国人が来日したことで、行政のコストが100円増えた」とします。

その場合、日本としては当該外国人を受け入れた事でマイナスの影響を被っていることになりますから、当該外国人は受け入れるべきではありません。しかし、企業は利益が増えるので、受け入れてしまうでしょう。それを阻止するためには、企業に行政コスト分を負担させるしかありません。

それでも企業が雇いたいというのであれば、認めるべきだという考え方もあるでしょう。「企業が外国人を雇うことによって利益が200増えるから、行政コストの100を負担して、残り100を企業の利益増とする」のであれば、誰も困らないから、という考え方です。

もっとも、私はそれでも反対です。日本人労働者が期待していた賃金上昇が外国人労働者というライバルの出現によって実現しなかった分が「損失」として残るからです。

第三として、外国人幸せにも反する事を指摘しておきましょう。たとえば日本の食料については、外国人が来なければ日本の農業の労働力不足から食料を輸入するはずです。そうなれば外国の農家が住み慣れた土地で家族と暮らしながら農業に従事して日本に輸出できるのに、外国人が来ると彼らの輸出ができなくなってしまうのです。


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