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#058 高ければ高い壁のほうが。

のぼったとき、気持ちいいもんね。と彼は歌った。

今日も今日で、子どもたちの成長について記録する。
今日は長男の試練について。米国にきて、3週間くらい経ったある日、彼はお父さん(私)に些細なことで怒られました。今となっては、何の事で怒ったのかすら思い出せないですが、些細なコトだったのは確かです。少し言い合いになった後、彼は突然、泣き出しました。そして、日本に帰りたい、と。
あんなに将来はアメリカの大学に行って、アメリカの企業に勤めて、いくいくは投資家になりたい、と威勢よく言っていた長男の見る影もありませんでした。最近、毎晩、寝る前に涙が出てたそうです。

なぜに?

日本への郷愁やホームシックなのかな、英語が分からないことへの苛立ちなのかな、色々と考えて、聞いてみましたが、全部違ってました。
彼が辛かったことは学校での立場の違いでした。彼は日本にいるときには、勉強もそこそこに出来、スポーツもかなり出来、弁もたつので、いわゆるスクールカーストの中でも、最上位に位置していたといっても過言ではありません。それが、こちらの現地校、同学年が800人くらいいる中で、日本人は数人、アジア人という括りで見ても13%、そして、英語もチンプンカンプンのカットアイズの日本人のポジションは最下層です。それが耐えられなかったようです。言ってみれば、彼は空気と変わらないと。いてもいなくても、その組織にはなんの影響もなく、オレはここにいるぞ、と認識すらしてもらえず。この立場の違い、最上位から最下層への転落。これが彼の涙の理由でした。あー、なんか、辛そうです。状況はしっかり把握出来ました。

彼には、お前は出来る、お前は出来る、お前は出来る、と何度か言葉にして伝え、そして、「いつも前向きに、積極的に」。これが突破する呪文だという話をして、「逆に面白い」と逆境を楽しみなさい、今は無理だろうけど。と話をして、父からの講話を終えました。

奥さん、もらい泣きしてました。いやー、こういう壁にぶつかるんだと思いましたし、本当に良い経験だと思いました。

話は続き、次の日には、気持ちを切り替えて!というわけもなく、少し引きずっていましたが、彼には強靭なメンタルと知恵がありました。
彼はまず自分が英語力を必要とせずともプレゼンスを発揮できるPE(体育)で手を抜かず、全力でやることにしました。結果として、学校のサッカーチームにスカウトされることになり、来シーズンからサッカーを始めます。(アメリカは学校の選抜チームみたいものが作られて、学校間でリーグ戦が行われます。そして、1年が3シーズンに分かれていて、それぞれのスポーツは1シーズンしか活動しません)次に、日本人の得意領域である数学と理科のテストの成績を上げることに注力し、仕上げとして歴史好きな彼はアメリカ史の授業のレポートですごいのを作るコトにしました。結果として、10月の「Student of the month」に選出され、先日、母親も学校に招待され、ランチ会がありました。

お父さんが好きな言葉、捲土重来。
彼もまたしっかり戻ってきました。壁にぶつからない人生より、ぶつかって乗り越えての人生のほうが面白い、逆に面白い、と思ってくれたなら、それで良いです。今回はお釣りのほうが多い気がしますが。

今回の振り返りとして、中学受験をやっておいてよかった、と思いました。なぜにそう思ったかはまた次回書きます。

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