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小説 詩篇

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聖書の中の「詩篇」と共に歩む大学生の日常を小説にしています。 人生のその時々に、必要な言葉が現れる。
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#主人公暗め

小説 詩篇 5篇

小説 詩篇 5篇

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「私のことばに耳を傾けてください!主よ!
 私のうめきを聞き取ってください!
 私の叫ぶ声を耳に留めてください!」

こんな祈りと共に目覚めたのは、
二日酔いの朝だった。

昨日読んだ言葉が祈りとなったのだ。
本気で苦しいからだ。

初めての二日酔い。
こんなにも苦しいのか。

しかし、朝から祈るのも初めてだ。
苦しみもまた、良いこと、ともなんとか言える気もしないでもないこともない。
「私の

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小説 詩篇 4篇

小説 詩篇 4篇

4

文学部の授業に真面目に受けている学生はいない。
ある日の一般教養の授業で僕は最悪な状況に陥った。

入学して三ヶ月が経っても僕は、当然のように友達のいない生活を送っていた。
その日も日本史の授業では前の方の人気のない席に一人座っていた。

しかしその日はたまたま、キリスト教について触れられたのだ。

「えー、このようにキリスト教でも十戒を中心とした律法が重要な位置を占めており、
 信者はそれ

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小説 詩篇 3篇

小説 詩篇 3篇

3

もう入学して1ヶ月が経つのに、僕には友達がいない。
どうしても、大学生のノリについていけないのだ。
当然のように彼女もできない。

墨田聖書教会が僕の逃げ場所だった。
教会はいい。
座っている僕に誰も話しかけることはなく、そっとしておいてくれた。
静かな空間の中で寂しさが癒されていく。

この日も静かに端っこに座っていた。
そのうちに古い讃美歌が流れてきた。

「主よ、わがあだびと、いとも多

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小説 詩篇 2篇

小説 詩篇 2篇

2

今日も大学は賑わっていた。

新入生を盛ん勧誘する先輩たちに、
はしゃぐ後輩たち。

どうしてあんなに騒いでるんだろう。
どうして、なにを企んでるんだろう。
僕が感じる虚しさは、いったいなんなんだろう。

足を進めると、僕も取り囲まれた。
「ぜひ来てね!」
と、心のこもっていない、数えきれないほど吐いたであろう言葉が聞こえる。

「そんなことでいいのか君は!」
「せっかく大学に来たんだから楽

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小説 詩篇 1篇

小説 詩篇 1篇

1

「しあわせだなぁ」
そんな言葉が口から出てきて驚いた。

昨日はクラブで、
大学の新歓があった。

目の前で男女のあれこれが起こり、
虚しさを抱えて帰った。
教会にいた大学生の兄ちゃんが言ってたことは本当だった。

そして今朝はなんとなく、早くに目が覚めてしまって散歩に出た。
1人、神戸から東京の大学に通うために上京してきたのは、つい2週間前のことだ。

大きな川の近くに住むのが夢だった。

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