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【FPの防災】災害に備える〜リスクに強い家計を作ろう〜

日本FP協会愛知支部で、「災害に備える〜リスクに強い家計を作ろう〜」という体験型講座の講師を務めてきました。能登半島地震の直後でもあるため、参加者の関心は非常に高いと感じました。
大切な家や家族を守るための「家計の防災」について、自分なりにお伝えすることができたと思います。



 災害が家計にもたらす影響

様々な災害のリスクを、発生頻度と家計への影響度の軸で分類した上で、対策を検討していきます。
自宅への損壊を例とした場合、発生頻度が高く家計への影響度が低い部分では、とくに台所の冷蔵庫と食器棚の固定が重要と考えています。イメージしにくい方は、B-VR(ビーバー)による疑似体験をおすすめします。発生頻度が低く家計への影響度が高い部分は、保険による対策が有効なエリアです。
自宅のみではなく、勤務先や旅行先のリスク把握には、キキクル重ねるハザードマップ今昔マップなどが有用です。


災害に備える第一歩 緊急予備資金

被災した際に必要となる緊急時予備資金について、私のケース(5人家族・車あり・郊外一戸建て)で試算してみると、6ヶ月分で300万円、1年分で590万円となります。
また、東日本大震災の事例では、再建に必要な2,500万円に対し、公的援助は最大で約400万円でした。十分と言うには程遠い金額だと思います。
南海トラフ大地震では、推定全壊住宅は東日本大震災の約20倍になるとされています。資産に対する損害は、損害保険および各種共済への加入などにより、ご自身でリスクを軽減する対策も必要です。どのような被害でいくら補償されるか、また、ご自身が何の保険に加入しているのか保険証券で確認しておきましょう。


緊急予備資金の算出後にすること

財産目録を作成しておくことが大切です。資産・負債を表にして、見える化しておくことで、準備可能な資金や問合せ先が分からずに困るリスクを軽減できます。
東日本大震災の際は、金融機関で本人確認ができれば10〜20万円程度の引出しに対応してもらえました。運転免許証・マイナンバーカードなどのコピーも用意しておくと安心です。
また、災害に必要な準備と現時点の財産がわかっても、災害はどのタイミングで発生するか分かりません。将来のライフイベントを想定し、家計の収入・支出を算出することで、緊急予備資金として準備できる貯蓄残高を把握するために、キャッシュフロー表を作成してみることも大切です。


(参考) 緊急予備資金以外の制度

支援策活用の第一歩は、罹災証明申請書の作成です。被害状況を記録した写真と一緒に、市町村へ提出します。写真は、片付けや修理する前に、様々な角度と距離から、例えば浸水した場合には深さが分かるように撮影し保存しておくことが大切です。市町村からの支援を受ける際や、保険会社への請求の際に役立ちます。
この他にもたくさんの支援制度があります。日本FP協会の災害に備える くらしとお金の安心ブックが参考になります。災害により使用できる制度が異なる場合や、数字が変化している場合があります。内閣府・自治体などの情報を、積極的に取りに行く習慣を付けると良いと思います。


能登半島地震で被災された皆様、大変な思いをされている皆様に、心からお見舞いを申し上げるとともに、早期の復興を願っております。


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